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【ツール・ド・フランス2022 レースレポート:第16ステージ】亡き弟との夢が成就 40km独走のユーゴ・ウル「10年かかったけど、僕は勝ったよ!」
ツール・ド・フランス by 福光 俊介ウル本人はそれほど勝負にこだわらない性格だったというが、弟は負けず嫌い。幼い時に一緒にトライアスロンを始めたけれど、自身はロードレースへ、弟は競技から身を引いていた。だから、いつも兄に「今度のレースは勝ってほしい」と告げていたという。
「あの日から僕たちの夢になった。プロで1勝するってね。今日がそれにふさわしい日だと思う。彼は僕が勝ったことにまだ気づいていないかもね(笑)。だけど僕は勝ったよ。10年かかったけどね」(ウル)
勝ってみて1つ、気づいたこともある。“勝利の味”というものがこんなに美しいものなのかと。
「僕たちの大きな夢だったからね。プロで勝ったら僕は走るのを辞めて良いと思っていたんだ。でも辞められないってすぐに分かったよ。もっと勝ちたい。決めたよ、もう少しトライするって」(ウル)
かつて、あるチームと契約する際に「君はマーケティング要員だ」とはっきり告げられたこともある。ヨーロッパへ渡ってからいろんなことが身に降りかかってきたけど、それも含めて糧にしてきた。どんなことがあっても前を向いて歩く。そして、亡き弟との夢の続きが、これから始まる。
さて、話を1級山岳ポール・ド・レルスに戻して、マイヨ・ジョーヌ争いを見ていこう。
ポガチャルとヴィンゲゴー
先手を打ったのは、個人総合2位でマイヨ・ブランを着るタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)。マイヨ・ジョーヌのヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)が一瞬反応に遅れたもののうまく対処すると、それからはヴィンゲゴーがポガチャルを完全マーク。頂上手前1kmでまたポガチャルがアタックし、頂上通過後の下りでも仕掛けたけど、マイヨ・ジョーヌは揺らがなかった。
「ポガチャルが攻撃してくることは分かっていたからね。最後から2つ目の上りでそれを実行してきたけど、驚きはなかった。彼の加速に対応こそできたけど、とても強くて、追うことは決して簡単ではなかったよ。それでもリーダーの座をキープできたから良かったよ」(ヨナス・ヴィンゲゴー)
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