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サイクル ロードレース コラム 2017年7月25日

「いろいろありがとう!」「こちらこそ!また来年ね!」「うん、また来年!」

ツール・ド・フランス by 寺尾 真紀
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選手たちがスタートラインに向かったのを確認して、お願いしておいたチームバスに乗り込んだ。最終日のパリへの移動はこうやってバスに乗せてもらうことが多い。チームカーはコースを走ることができるのでスポンサー関係のお客さまでいっぱいなのだが、バスの場合そんなこともない。席に座らせてもらい、ルートブックを開くと、すぐ動き出し、選手がスタートを切ったばかりのコースを走り始めた。

異変に気がついたのは、モンジュロンを出て、1時間くらいしたころ。それまでにぎやかにおしゃべりをしていたドライバーが少し無口になり、時計を気にし始めた。スタート直後から始まった渋滞は、高速道路A6号線に入って、ひどくなる一方。見渡す限りが車で埋め尽くされている。道がカーブすると、スタートで一番前方にいたロトNLユンボのバスから、ずらりとチームバス、チームカーの車列が見える。1台残らずが渋滞にはまってしまっているのだ。後方のラウンジ席でたまりにたまった睡眠不足を解消中だったソワニエも、運転席の真横に来て、渋滞の様子をチェックする。他のバスドライバーとも相談し、しばらく検討した結果、警察車両の先導を要請することになった。レース終了時にバスが到着していなければ、選手たちには座るところも、着替えるところもない(2台の監督車はあるが、着替えも補給も積んでいない)。

しばらくして、遠くからサイレンが聞こえてきた。青ランプをピカピカさせて、警察のモトが到着した。モト2台に先導されて、バスの車列がスピードアップする。急加速、急ブレーキで車列にすきまを作らないように走っていく。少しでもスペースをあけるとレースとは関係ない車が間に割り込み、先導から千切れてしまうためだ。

しばらくするとまたスピードが落ち、車列が進まなくなった。モトのサイレンも聞こえない。前方のバスが、誘導モトから千切れてしまったようだ。レースはシャンゼリゼの集会に入っている。一刻も無駄にはできない。再び追加の先導を要請する。

寄り道をしてピザを買いに行ったチームカーだけはゴールに間に合いそう、ということで、実際は状況にほぼ全く変化はないのだが、少しホッとした空気が流れる。
「あと3周回くらい増やしてくれんかな。。。」
ドライバーが切実な声で言うが、そういうわけにもいかない。

これはもうだめかもしれない、と思ったころに、警察モトが、新たに4-5台ほど到着した。バスドライバーがギアを上げて加速し、パリ環状線を猛スピードで回り込んでいく。サイレンとバスのクラクションがにぎやかに鳴り響く。あとちょっとだ。

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