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サイクル ロードレース コラム 2017年7月25日

「いろいろありがとう!」「こちらこそ!また来年ね!」「うん、また来年!」

ツール・ド・フランス by 寺尾 真紀
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環状線を降り、パリ中心地の石畳に入った。マドレーヌ広場を通り過ぎ、サントノレ通りを渡る。正面にオベリスクの尖塔が見えてきた。
「着いたぞ!」
所定の位置に誘導されて駐車し、前後の扉がプシュー、と開いた。この音をこんなに待ちわびる日が来るとは思わなかった。別に何のレースを走りきったわけでもないが、ドライバーも乗客もみんなが握手だ。慌ててバスを降り、コース脇に走って向かった。人垣の向こうを、プロトンが駆け抜けていく。白地にイエローのラインが入ったスカイの選手たちに、マイヨジョーヌが囲まれている。集団はすでにスピードアップしており、車輪が石畳を駆け抜けていく音も緊迫している。シャンゼリゼの周回入りは見逃してしまったけれど、この石畳を彼らが駆けていくのを見ていると、ああ、今年もツールがパリに着いたんだ、という実感がふつふつとわいてくる。各チームがトレインを組み始めた。あとは、ゴールのスプリントを残すのみだ。

アルプスでの傷がまだ痛々しいクリストフが、まず左手から仕掛ける。その脇から、フルーネウェーゲンが力強く駆け上がっていく。追いすがるグライペルがハンドルを前に投げ出す。

ラインを越えた瞬間、フルーネウェーゲンは、体を起こし、右手を振り上げた。祖父に組み立ててもらったバイクで強くなった24歳が、2年目のツールで初優勝をあげた。スプリンターならば誰もが夢見るシャンゼリゼでの勝利が、彼の初めての勝利になった。

代替画像

寺尾 真紀

東京生まれ。オックスフォード大学クライストチャーチ・カレッジ卒業。実験心理学専攻。デンマーク大使館在籍中、2010年春のティレーノ・アドリアティコからロードレースの取材をスタートした。ツールはこれまで5回取材を行っている。UCI選手代理人資格保持。趣味は読書。Twitter @makiterao

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