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木村圭吾(新潟アルビレックスBB #14)
高校卒業後に渡米した木村圭吾は、NCAAディビジョン3でプレーする機会を得たが、コロナ禍の影響もあり、日本に帰国してBリーグの選手になる決断を下した。新潟アルビレックスBBでのプロ1年目は、個人として悔しい思いや長い連敗に直面してきたが、21歳で経験できることをプラスに捉え、レベルアップしたいという思いで日々を過ごしている。群馬クレインサンダーズ戦で5本の3Pを決めるなど、アメリカでも評価されたシュート力で存在感をアピール。これからが楽しみな選手であることは間違いない。(2月21日の練習後に取材)
Q セントジョセフ大学でのキャリアを途中で切り上げ、Bリーグでプレーすることになりました。B1の新潟でプロデビューできたことを一人のバスケットボール選手としてどんな意味を持っていますか?
「新潟は小さい時から知っていたチームで、しかもB1という高いレベルでプレーできるというのは、若いときにそのレベルで日々練習できるというのがすごくプラスで、意味があると思っています」
Q 10月16日のレバンガ北海道戦が初出場となりました。8分間で10点というスタッツでしたが、出るぞと言われるまでが長かったと思います。あの日が来るまでの道のりがどうだったか振り返っていただけますか?
「プロでやる以上試合にすごく出たかったので、本当にプレシーズンは何もできなくて悔しい思いをしていました。1、2節はロスター外、アウェイのときは一緒に(遠征に)行けないという本当に悔しい思いをした。北海道戦もゲームが結構決まってしまった状況で出させてもらったのですが、それでも僕にとっては試合のベンチに入ってコートに立つことに意味がありました。今まで練習してきたことを勝敗に関わらず、自分のプレーをやろうとずっと思っていたので、コートに入れた瞬間はちょっとうれしかったです。やっとスタートに立てたのかなという感じでした」
Q チームは苦戦を強いられ、今まで経験したことのない長い連敗に直面しました。どんな心境で日々を過ごしていましたか?
「こんなに連敗したのは自分のバスケットボールキャリアの中でも初めてですし、すごくチームの雰囲気が悪くなることもあったんですけど、プラスに考えたらこんな経験を1年目からすることはないことです。連敗を脱出した試合にも自分は絡めて少しでもチームに貢献できました。若いときにそういう経験ができたのは、チームにとってマイナスなことかもしれませんが、僕個人としては本当にプラスになったと思います」
Q 1月29日の茨城ロボッツ戦で連敗が止まり、その試合で13分間で2本の3Pを決めるなど8点、4リバウンドを記録しました。この試合は自分がようやく勝利に貢献できたという点で、大きな意味があると思いますか?
「そうですね。その前も2ケタとか3Pが入る試合があったと思うんですけど、それでもチームは勝てなくて、個人として満足できなかった試合がずっと続いていました。自分のパフォーマンスが悪くない試合でさらに勝てたということで、茨城戦は貢献できたいう意味ですごくよかったと思っています」
Q 4試合先発で起用されましたが、基本的にはベンチからの試合に出ています。チーム内で自分が求められている役割とは?
「スタメンのプレーヤーがいつも調子がいいわけではないと思うので、調子よかったらそれが一番いいですけど、スタメンの人たちが調子悪くても圭吾が後にいるからちょっと安心できるなって思えるくらい流れを変える選手、得点かもしれないし、ディフェンスかもしれないですけど、何らかの形でチームに勢いをつけることが自分の役割なんじゃないかと思っています」
Q そういった意味では、2月6日の群馬クレインサンダーズ戦で3P5本成功、トータル18点とB1における自己最多を更新しました。正にOn fire、火がついてしまった感じで、自身のシグネチャーと言える腕時計を指さすジェスチャーをしたのですか?
「どの試合でも自分的にはいいシュートを打てていて、それが群馬戦でたまたま入ったというか、On fireしてたかに見えるかもしれませんが、僕の感覚としてはまだ全然してないというか、もっと決められるというか、いいパスが来たので普段通りに打った感じでした。群馬の1試合目もそうでしたけど入らなくて、2試合目は入ったというか、練習通りにしてきたシュートが入ったという感じなので、まだ時計のパフォーマンスは早いというか、僕の中でできないと思っています」
Q 今シーズン中には実現したいという思いでやっていますか?
「自分でOn fireしたと思ったらやろうかなと…」
Q 八王子学園八王子高校卒業後、スラムダンク奨学金でセント・トーマス・モア・スクールへ留学しました。ジェリー・クインコーチから学んだことで印象に残っていることは?
「クインコーチはあまりバスケの技術面で言ってくるコーチではなく、技術面は(アシスタントコーチの)息子さんとかが結構言ってくれました。クインさんから言われていたのは、とにかく空いたら打てと。あとはファンダメンタルをすごく、例えば、トランジションのときにコーナーまで走ることとか、細かいことを言われたという印象が強いですね」
Q アメリカに渡ってから、バスケットボールにおけるカルチャーショックで最も印象に残っていることはなんですか?
「スラムダンク奨学金で行ったときの夏にショーケースがあったんです。即興でチーム分けされ、参加したキャンプのメンバーで7人を十何グループに振り分けて、1日中試合をするというのがありました。僕はそこで本当にカルチャーショックを受けたんです。英語が全然喋れなくて、バスケをやっている人は結構早く喋るというか、より難しく聞こえて、本当に頭がパニックになっている中でショーケースも初めてだったので、どうすればいいかわからない感じで入りました。やはり、(試合に)出るのは5人なので2人出られないじゃないですか? 僕は“次に入る!”と言っているんですけど、無視されるというか、相手にもしてもらえなかったので、そのときは本当にショックでしたし、もっと強い気持ちでいかないとダメだと思いました」
Q 留学したことによって英語でコミュニケーションができるようになったことは、外国籍選手から直接多くを学べるという利点につながっていますか? 何かエピソードがあればぜひ。
「本当に英語力は2年目にグーンと伸びたんですけど、外国籍の選手と仲良くなれていますし、ジェフ(エアーズ)は特に経験が豊富で、いろいろな選手とNBAでやっています。そういう選手に自分からアドバイスを聞ける、もらいに行けます。オフコートでもご飯に行ったりしていますけど、その時の何気ない話も通訳を通すのではなく、自分で直接話せるのが僕にとってすごくよかったこと、英語を学んでよかったと思います」
Q 試合中はすごく気合の入るエアーズ選手ですが、オフコートではどんな感じの人なのですか?
「The Big Broって感じです。本当にお兄ちゃんというか、お父さんというか、なんでもすぐにジョークで笑わせてくれたり、アドバイスもくれます。オンコートになるとすごいモードに入るんですけど、オフコートでは本当におもしろくて、優しい人だと思っています」
Q B1でプレーしてきた中で、ここはレベルアップが必要と感じたところは?
「まだディフェンスの部分で僕のところで相手がリズムに乗ってしまうというか、僕のところでギャップができてしまうのは練習中にコーチから言われていて、それをもっともっと成長していかなければいけないなと思います。あとはフリーのシュートの確率を上げることです。これからどんどんピックを使って打っていきたいと思っているので、ピックからのシュートとキャッチ&シュートは本当に落とさないくらいの気持ちでいかないと、厳しいんじゃないかと思っているくらいです」
Q 残りのシーズンでなりたい自分がどんな選手で、チームに何をもたらしたいと思いますか?
「今は僕自身に波があって、交代で出てきて流れをよくすることもあれば、悪くしてしまうこともあります。バイウィーク明けの試合からは、“圭吾が出てくると何かが変わるな”と、スタメンや他の選手に安心してもらえるような選手になっていきたいなと思っています」
Q 新潟でプレーしていてよかったなと思えることは?
「プレータイムが他のチームに行くよりはもらえているんじゃないかなと。さっきも言ったんですけど、コービー(パラス)、ロスコ(アレン)、チリ(ネパウエ)、ジェフは経験が豊富。コービーだったら身体能力が高い選手とかと毎日一緒にやれますし、新潟はベテランの選手が多いのでしばしばアドバイスをくれます。長年Bリーグでやっているからこそ、アドバイスの一つ一つに説得力がありますし、みんなが自分をよくしようと声掛けをしてくれるのは、他のチームに行ったらどうなったかわからないですけど、新潟に来て本当によかったなと思います」
Q 最後の質問になります。この24時間でちょっとだけ幸せだったこと、何かありますか?
「今外国籍の人と1オン1をしていたんですけど、勝ちました」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
【Bリーガーインタビュー】新潟アルビレックスBB 14番SG 木村圭吾(取材日:2022年2月21日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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