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野球 コラム 2024年9月4日

大谷翔平はチームへの献身の先に偉業がある

野球好きコラム by 山田 結軌
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大谷翔平選手

「それが目的にならないように勝つための手段としてやりたい」

淡々と当然のこととして語った言葉に大谷翔平という野球選手が凝縮されているように感じた。

8月23日のレイズ戦で史上6人目の「40本塁打。40盗塁」を達成した。出場126試合(チーム129試合目)での到達は歴代で最も速いペース。大記録に対して「勝つための手段」と繰り返した。

「それ(記録達成)自体が目的になるというよりかは、勝つための手段としてそういった記録が作れたのは、大きなことかなと思います」

とにかく勝ちたい。地区優勝したい。プレーオフで戦いたい。大谷は心底、勝利を求めている。勝つためにナンバーワンの野球選手を目指している。大谷の言葉を借りるならば、ワールドシリーズ制覇の「手段」として世界一の野球選手になろうとしている。

「40-40」はパワーとスピードを兼ね備えた選手が叶えられる。今季の大谷の目標設定が「40-40」だったのか、あるいは史上初の「50-50」なのか、本人は明かさない。本人のコメントを“鵜呑み”にするならば、数字の目標は立てず、勝利を目指す過程で結果として残るもの、という捉え方なのかもしれない。

「ポストシーズンにもちろん進出してワールドシリーズに勝つというのが一番の目標なので、自分の数字っていうのはあとから付いてくればいい」

仮に「50-50」の偉業を達成しても、もしかすると大谷にとってはさほど、うれしい記録ではないのかもしれない。ただ、それがチームの地区優勝につながった、と自他ともに実感することがあれば、心から喜べる数字になるかもしれない。もちろん、本塁打王や打点王など各種のタイトルや個人成績は大谷にとってもドジャースにとっても、野球ファンにとっても価値あるものに変わりはない。リーグを変えて、2年連続のMVP獲得にも期待が高まる。

「チームスポーツなのでみんなが自分自身の役割を重ねていく。自分の数字が上がってくると同時にチームが勝てるように頑張りたい」

フォア・ザ・チームに徹することが大谷の野球哲学だ。レギュラーシーズンは、あと1カ月。移籍1年目、ドジャースへの献身が、想像の遥か上を行く未来につながる。

MLB(メジャーリーグ)

(文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツには2007年4月入社。阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。

Twitter
@YamadaSANSPO

Instagram
sanspomlb

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