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野球 コラム 2018年7月15日

マエケン、平野、田中、ダル、岩隈は「買い手」、大谷や牧田は「売り手」のチームという現状

Do ya love Baseball? by ナガオ勝司
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オールスターゲームに日本人メジャーリーガーが一人も出場しないので、せめて「プレーオフには大勢、出て欲しいもんだ」と願って、とりあえず日本人メジャーリーガーが所属する球団を中心にノンウェイバー・トレード期限を考えてみることにした。

まず、日本人メジャーリーガーが多いナ・リーグ西地区は、地区6連覇を目指しているドジャースが序盤の不調を挽回して地区優勝に必要な勝率を上げたため、当初は「東地区と中地区から2枚出る」と見られていたワイルドカードも獲得可能な地区になった。

前田健太投手が先発で健闘中のドジャースは、4月終了までに12勝16敗と負け越していたものの、6月以降は25勝12敗と大きく勝ち越して「現有戦力には何の問題もない」ように見える。だが昨季、「絶対的な地区王者」から「ナ・リーグ王者」と駆け上がった彼らにとっては「ワールドシリーズに勝つこと=メジャーリーグ王者」だけが究極の目標であるべきで、昨夏、ダルビッシュ有投手を獲得したように、「最後の1ピース」になるべく補強は必至とみる。

幾つかの米メディアの報道では、マニー・マチャド内野手(オリオールズ)の獲得を狙っていることになっているが、打線のテコ入れはそれほど必要じゃないような気がする。それよりもフィリーズ時代に世界一になった経験のある左腕コール・ハメルズ(レンジャーズ)やカージナルス時代に同経験を持つランス・リン(ツインズ)、左腕A,J.ハップとマルコ・エストラーダ(ともにブルージェイズ)、大きな戦力となりそうな先発投手は市場に多い。

元オリックスの平野佳寿投手が救援投手陣で重要な役割を果たしているダイヤモンドバックスは昨夏、タイガースからJ,D.マルティネス外野手(現レッドソックス)を補強してワールドカードを獲得した。傘下のファーム組織に抱える若手選手を交換要員に差し出す覚悟はできているはずだ。現地7月12日(以下同様)、救援投手陣のチーム防御率がリーグ最高の2.88、先発投手陣の防御率が同9位の4.18で、先発、救援併せてもリーグ4位のチーム防御率3.66と補強ポイントではないように見えるが、選手たちの疲弊を考えれば、「頼りになる救援投手」、もしくはその負担を減らすための「3本柱に入るような先発投手」を補強する可能性もある。

もっとも、チームの弱点は打線で、チームの総得点はリーグ6位の415点と健闘しているものの、チーム出塁率は同13位の.309、長打率は同10位の.397と低迷しているだけに、出塁率と長打率を併せたOPSの高い選手、ドジャースも狙うマチャド内野手(オリオールズ)やDL入り中のジョッシュ・ドナルドソン内野手(ブルージェイズ)のような選手の補強が望まれる。

田中将大投手がDLから復帰したばかりのヤンキースは、ア・リーグ東地区で宿敵レッドソックスと熾烈な首位争いを展開中で、開幕からずっと高い勝率を維持していることもあり、優勝を逃しても昨季のようにワイルドカードでプレーオフに進出する可能性が高い。

彼らの補強ポイントは先発投手だ。チーム防御率3.43はアストロズの2.97に次ぐア・リーグ2位だが、同1位を記録している救援投手陣の2.68に対して、先発は同6位の3.91と数少ない補強ポイントになっている。前出のハップやハメルズといったベテランの獲得を目指していると伝えられているが、ヤンキースを率いているのは、過去に何度も仰天トレードを仕掛けてファンやメディアを驚かせてきたブライアン・キャッシュマンGMである。ア・リーグの最高防御率を記録している左腕ブレイク・スネル(レイズ)のような若手の一線級投手を強奪するかも知れない。

気になるのはチーム総得点や出塁率でレッドソックスの次ぐ成績であること。本塁打や長打率でライバルを上回っているだけに、守備位置別でチーム最低の数字が残っている一塁手(打率.205、出塁率.286、長打率.393)の成績を上げるために、前出のマチャドやマイク・ムスタカス(ロイヤルズ)、ニコラス・カステラノス内野/外野手(タイガース)のような強打者を獲得して、チーム内で守備位置を動かす可能性もあるのではないかと思う。

昨オフ、当時パイレーツのエースだったゲリット・コール(現アストロズ)の獲得を狙ったものの、23歳のミゲール・アンドュハー三塁手を要求されて破談となっているだけにナンセンスに聞こえるが、過去にそれ以上のことをやってきたのがキャッシュマンGMだから油断はならない。

ダルビッシュ有投手がDLからの復帰を目指すカブスは、同投手の復帰が遅れているために先発投手が補強ポイントになっている。ダルビッシュが抜けた穴は左腕マイク・モンゴメリーが埋めたものの、先発5番手のタイラー・チャトウッドが16試合で3勝5敗、防御率5.01と苦しんでいるだけに「ダルビッシュが復帰すればチャトウッドと交代」という見方もある。つまり、昨季アストロズがタイガースからジャスティン・バーランダー投手を獲得したように、ノンウェイバー・トレード期限ではひとまず静観して、ダルビッシュのリハビリの結果を見据えて8月末までに先発投手の獲得を目指すことになるかも知れない。

2001年以来のプレーオフ進出の期待が高まるマリナーズは、昨季のメジャーリーグ王者で地区首位のアストロズの後塵を拝しながら、後からは3位アスレチックスの猛追を受けており、先発投手の補強に迫られている。有望株を大量に手放して「大物」を獲得するのが困難なら、タイソン・ロス投手(パドレス)や、すでに今季メッツからトレードされたマット・ハーベイ投手(レッズ)らの「準・大物」の先発投手を補強する可能性はあるだろう。昨オフ、右肩を傷めてマイナー契約からの再スタートを切った岩隈久志投手が復帰するか否かも気になるが、いきなり先発ローテに組み込んで活躍することを期待するのはフェアではないし、同投手がどうであれ補強に動くのではないか。

大谷翔平が「打者限定」で復帰したばかりのエンゼルスは、そろそろ「チーム再建」に舵を切った方が良さそうだ。先発のギャレット・リチャーズ投手、イアン・キンズラー内野手、クリス・ヤング外野手らを放出することで有望な若手がどれぐらい獲得できるかは不明だが、「大幅な再建は必要ない」現状を考えれば早い決断が迫られている。「投手・大谷」の復活も含めて来季を見据えた動きをした方が賢明だろう。

それは牧田和久投手がマイナーにいるパドレスも同じだ。エンゼルス同様、根本的な再建は必要ないチームなので、今後2年の間に契約が切れる先発左腕クレイトン・リチャーズ投手や救援のクレイグ・スタメン投手、A.J.エリス捕手などのベテランを放出して、他球団の有望株を少しでも多く獲得した方が未来につながるのではないかと思う。

ナガオ勝司

ナガオ勝司

1965年京都生まれ。東京、長野、アメリカ合衆国アイオワ州、ロードアイランド州を経て、2005年よりイリノイ州に在住。訳書に米球界ステロイド暴露本「禁断の肉体改造」(ホゼ・カンセコ著 ベースボールマガジン社刊)がある。「BBWAA(全米野球記者協会)」会員

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