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ドライチ左腕・田嶋大樹は急な傾斜を描いている。投じる変化球の軌道でなければ、リリースポイントの話でもない。新人サウスポーの非凡さが一目でうかがい知れるのは、その左肩だ。
ユニホームの上からではわかりづらいが、試合前の練習やヒーローインタビューなど、シャツ姿のときには注目してみてほしい。首の付け根から左肩にかけて、それこそ「45度」を思わせるイメージで下っている。
いわゆる“なで肩”は、肩がこりやすいとされており、検索すると解消法ばかりがヒットするが、ピッチャーにとっては悪い要素ではない。それどころか可動域の広さから、ボールにより力が伝わることを根拠として「理想の体型」とも言われる。
その特異体質について、ピッチングのプロはどのような考え方を持っているだろうか。
ブルーウェーブとタイガースで通算176勝を挙げ、昨季までバファローズで投手コーチを務めていた星野伸之氏に尋ねると、「 “いかり肩”よりは“なで肩”の方がいいイメージがあります」としながらも、前者で活躍した選手もいるのだから、一概にどちらがいいとは言えないとの見解だった。
現役時代は同じく左投げ。プロ実働18年の星野氏はレフティーの身体の使い方を熟知する。
「“なで肩”だから(田嶋は)腕の位置が低いのかな。横ではないけど低くて、独特のところからボールが出てくる。可動域が広すぎると、ルーズショルダーのように、変なところにぶつかる怖さがありますけどね」。
「僕もルーズショルダーで肩が痛くなりますけど、医師いわく、投手は自分でうまく腕の位置を探すらしい。だから彼も、下がり気味の位置がちょうどいいのかもしれませんね。合っているなら問題ないと思います」。
“なで肩”は生活習慣によって生まれることもあるそうだが、生まれ持ったものがピッチングへプラスに働くのであれば、それは天が与えた才能というほかにない。
プロ野球をあまり見てこなかったというマイペースな性格も、同様だろうか。ところが、マウンドに上がると雰囲気がガラリと変わる点にも、星野氏は期待を込める。
「『なんじゃこら』というキャッチボールをしていますけど、逆に言えば力が抜けているのかな。ブルペンに入ったら、すごいガッと向かっていくようなピッチングになるから楽しみ」。
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