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終盤戦でスパートをかける小林陵侑(土屋ホーム)
ようやく戻ってきた。
個性派の飛ばし屋が揃うノルウェーチームの面々と、北欧のノルディックスキーファンが待ちこがれたW杯大会「RAW AIR(ロウエア)」が久しぶりに開催されたのだ。
歴史的にとても親しい間柄の日本とノルウェーは、日本選手へ大きな応援を寄せてくれる。
かつて幾度も訪問したオスロ市内の北西部に艶やかに構えるホルメンコーレンの丘には、オスロ中央駅前からプレスシャトルバスに乗るか、のんびりと地下鉄のホルメンコーレン駅で降りるか。駅からてくてくと歩いていくと伝統あふれるクロカンスキー50kmと30kmコースに周回コース、バイアスロンの射場さらに扇形に広がるホルメンコーレンシャンツェが見えてくる。それこそ各所で観戦しやすさに富んでいるノルディックスキーの聖地である。
観客たちはジャンプ台の階段状に作られたエリアで、日向ぼっこしながら選手たちの熱い飛びを眺め、そこから隣にあるクロカンコースサイドへ歩いて、すぐに声援に出られる。
ある時ジャンプ取材終了後にそのコース奥に行こうとしていると、コースそばにある雪山テント前で焚火をしている人々に呼び止められ「これ食えよ、あれを飲め、元気が出るから」と、渡されたのがシュナップス(濃い蒸留酒)と缶詰。匂いがきつ過ぎる魚でおやと思ったが、意外といけるではないかいとお代わりまでした。たいそう喜ばれ、その勢いを借りて山奥へとずんずんと進んでいった。濡れ雪だった身体がポカポカして取材がはかどった。
観客がコース沿いから後方にかけてたくさん集まり、文化としてノルディックスキーが根付いている地を歩き回るのも、なかなか憧憬が深くなりであった。
あの頃は、連戦連勝のシュリレンツアウナー(AUT)のノルウェーの英雄ヤコブセンが、ジャンプ台のサッツ横で談笑していたのを、とても仲が良いのだなあと見つめていた。
続く五輪開催地の小さな町リレハンメルでは、ジャンプ台の改修が済み2025世界選手権を待つ北部港湾都市トロンハイムの代替え1試合が組み込まれた。
そして最後はオスロからバスで3時間以上かかるビケルスンのフライングがRAWAIR最終戦。各国の選手たちは、オスロ市から南にある湾岸都市のドランメンに宿泊、そこから1時間余りをかけてビケルスンへ通う。ここでは男子W杯とともに、女子トップ15人による初めてのフライングジャンプが行われ、クリネツ(スロベニア)が最長226mを記録して優勝。ロングジャンパーで名高い伊藤有希(土屋ホーム)は200.5mで3位となった。
このRAW AIRのチャンピオンはグランネルー(NOR)、彼のW杯個人総合優勝もこのシリーズ内において決定した。
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