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日本勢では、あくまでマイペースにW杯で一桁入りを重ねる小林陵侑(土屋ホーム)が、もうスーツ違反などにはならないと、無理をせずセイフティなマテリアルでコンスタントに好ましい飛距離を出している。いつも風が荒れがちな三連シャンツェで有名なラハティ(FIN)を無難にこなし、なんと1本目に136.5mを記録。そのまま乱れた強風により、試合は1本勝負となって、ついにW杯30勝目を遂げた。この先の狙いは得意とするプラニツァ(SLO)のフライングにおける超ぶっ飛びジャンプであるから、これを見逃す手はない。
最終戦プラニツァともなれば、そこまで厳密なチェックがある意味イージー(!?)になり「さあ行け、どこまでも」状態となる。それがシーズンエンドの爆発的な盛り上がりでプラニツァ音頭が鳴り響き、たくさんのビールが消費され、みんな幸せな表情になり帰路につく。
苦難を乗り超えようとする佐藤幸椰(雪印メグミルク)
中村直幹(フライングラボラトリー)はビケルスンで良い風に乗り11位を記録。佐藤幸椰(雪印メグミルク)にはようやく希望の光が見えて今後の体力トレーニングにその浮上がかかってきそう。加えて敏腕な鈴木サービスマンによる心が込められたスキーワクシングとスキーチューンナップが後押しする。
身体の調整を終えた小林潤志郎(雪印メグミルク)がW杯に戻り、腰を据えて各国のジャンプ台を飛びこなした佐藤慧一(雪印メグミルク)、高名なシャンツェで試合経験を積んだ二階堂蓮(日本ビール)、W杯出場のチャンスを得た竹内択(チームタク)が勇躍した。
ラハティとプラニツァでの団体戦ではひとえに5、6位からの脱却を目指していきたい日本チームだ。
また、今シーズン限りで引退するW杯選手が2人いることを忘れないで欲しい。世界選手権で銅メダルを獲得した栃本翔平選手、ケガから復帰した原田侑武選手の雪印メグミルク戦士だ。
左から雪印メグミルクの岡部孝信監督、原田侑武、栃本翔平
3月18日に札幌大倉山で行われた伊藤杯ファイナルでそれぞれがラストジャンプを飾った。
特に2007札幌世界選手権団体戦で銅メダルを獲得した栃本選手は、若き精鋭の登場で将来を嘱望された。それを見送るファンの皆さんの姿は、実に感慨深かった。
文・岩瀬孝文
岩瀬 孝文
ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。
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