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ヘンリック・クリストッファーセンの正確無比な角づけ動作と スムーズなカービングターン │ 岡田利修のアルペンWC解説 vol.3
SKI GRAPHIC present’sアルペンスキーコラム by SKI GRAPHICヘンリック・クリストッファーセン
滑りの技術やコースレイアウト、マテリアルの特徴など、さまざまな角度から2023シーズンのアルペンスキー・ワールドカップを解説していく本コラム。第3回は、長身を生かした鋭い滑りを武器に、ワールドカップでの勝利数を重なるノルウェー技術系のエース、ヘンリック・クリストッファーセン選手の滑りを解説します。
クリストッファーセン選手の滑りは非常に繊細。常に2本のレールの上をトレースしながら滑走している印象を受けます。そんなクリストッファーセン選手のスタイリッシュな滑りは、多くの日本人レーサーも目標としているようです。
具体的な特徴としては、切りかえ時の解放動作からスキーがフォールラインに向いていく中で、角づけを行なうタイミングが早く、ターン前半からしっかりと弧を作り、スキーの推進力を得ているように見受けられます。ただ、そうしてタイミングが合っているときには圧倒的なタイムを出しますが、タイミングが合っていないときには、エッジングが強くなりすぎて、スキーが抜けずにタイムが伸びなかったり、ターン後半に乗り過ぎて解放動作のタイミングを遅れ、ミスを誘発したりするケースも見られます。
それでは、ウェンゲンでのスラローム競技の映像を見ながら滑りを見ていきましょう。
アルペンスキー FIS W杯 2022/23 男子 スラローム ウェンゲン大会(1/15)
【ハイライト動画】H.クリストッファーセンW杯通算30勝!
この日のレースは気温が高く、水分を多く含んだ雪となり、多少のコースの荒れが予想されました。1本目で2位となり、2本目が29番スタートとなったクリストッファーセン選手が滑る頃には予想通り、深い溝ができていました。
そんな中、スタートを切ったクリストッファーセン選手は、出だしの中緩斜面を巧みに溝に合わせながら、持ち前の高い位置での角づけにより、スキーの推進力を得てタイムを稼ぎ、急斜面は少しラインが遅れたもののタイムロスを最小限に抑え、ゴール前の斜面は直線的なライン取りによってタイムを伸ばし、見事優勝を果たしました。
最速のターンをしていくためには、角づけでの最適な動作が必須です。クリストッファーセン選手の角づけのポジションを参考に、さらなるタイムアップを目指しましょう。
【プロフィール】
岡田利修(おかだ・りしゅう)
1978年生まれ、北海道札幌市出身。アルペンレーサーとしてワールドカップを転戦。最高位はSL24位。世界選手権では23位を記録。レーサーを引退後、全日本スキー技術選手権大会に出場(最高位4位)。SAJナショナルデモンストレーターを2期務め、現在は解説者や指導者として精力的に活動中。YUASA SNOW ACADEMYコーチ
SKI GRAPHIC
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