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レジェンドたちの飛翔に魅せられた雪印メグミルク杯
雪印メグミルク杯で優勝した葛西紀明
雪印メグミルク杯の優勝インタビューで『帰ってきたぞー、もうすぐ50歳ですよ!』と葛西紀明選手が叫んだ。飛距離は138mと137m。すかさず下でさっと吹き上げてくる神風を呼び寄せるのだから、これはレジェンドというより往年の“カミカゼカサイ”そのもの。どこまでも限りなくやれることを証明した彼の姿を懐かしそう感じ入り、目を潤ませたファンは多かったに違いない。
同大会にはさらにもうひとり生ける伝説のジャンパーの姿があった。かつてジャンプ週間で3連勝し、最終のビショフスホーフェンでは湿雪でスピードが出ずに8位に甘んじながら、初のジャンプ週間総合優勝を成し遂げた船木和喜(FITスキー)だ。肩を怒らせる独特のシルエットによる低めな伸びは変わっておらず、1998 長野五輪で地元日本の重圧の中、緊張することなくいともさらりと飛んだあの金メダルジャンプを彷彿とさせていた。
大会後「相変わらず良い風で飛ばせてくれなくてね」とジョークをかませていたが、金メダリストたる偉大なジャンプを見せてくれた。
長野冬季五輪金メダリスト船木和喜
晴天で絶好のスキー日和、雪がたくさん残る札幌大倉山だったが、もし今年1月に札幌W杯が行われていれば…と想像を巡らせてしまった。
日本のエース小林陵侑が2度目のジャンプ週間総合優勝というビッグなタイトルを引き下げて凱旋帰国、それをリアル・レジェンド葛西紀明監督(兼選手)がにこやかに迎え入れる。大会では前回の札幌W杯で敗れたクラフト(オーストリア)とライエ(ドイツ)を軽く一蹴、見事に札幌で3連勝を飾る。そのFIS公式記者会見で3人揃い、中央で胸を張って発言する小林陵侑というシーンが目に浮かぶ。その席で、ややシニカルな微笑みこそ見せるが輝きのイエロービブも晴れやかに、勝者として真摯に受け答えに終始。さらには五輪への豊かな感情を吐露しながら目を細めて。
札幌W杯3連戦はそうあるべきであった!
そして国枠で出場した葛西紀明選手が世界中の度肝を抜く、慣れ親しんだ大倉山で一桁入りから、ついには表彰台へ昇りつめて…など、実に夢のあることが起きるかもしれかなったのだから。
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