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ラグビー コラム 2026年6月29日

【ハイライト動画あり】JAPAN XV、マオリ・オールブラックスに逆転負け。 前半リードも勝ちきる試合運びに課題

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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勝利は手の届くところにあった。しかし、勝ち切る力が足りないと痛感する試合でもあった。「リポビタンDチャレンジカップ2026」JAPAN XV(ジャパン・フィフティーン)対マオリ・オールブラックス(MAB)は、6月25日(木)、愛知県名古屋市のパロマ瑞穂スタジアムにて行われた。台風の影響が心配されたが、キックオフ30分前の18:30には雲の切れ目から青空が顔をのぞかせた。それでも湿度は高く、滴り落ちる汗と濡れた芝がミスを誘う難しいコンディションになった。

両国国歌斉唱のあとはMABが独自のハカ「ティマタンガ」を披露。スタンドをまんべなく埋めた23,165人の観衆を沸かせた。午後7時5分、MABのSOリヴェス・レイハナのキックオフで激闘の幕は上がった。スーパーラグビーの精鋭が揃うMABに対して、JAPAN XV(以降JXV)はフィジカルバトルで真っ向勝負。前半8分には相手陣深く入ったラインアウトから左方向に展開してトライラインに迫ると、左中間のラックからパスを受けたSO伊藤龍之介が右タッチライン方向へ低い弾道のキック。WTB植田和磨がバウンドするボールを丁寧にキャッチして先制トライを奪った。ディフェンスがラック周辺に集まったところを見逃がさず、ディフェンダーが届かないように低く速いキックを蹴った伊藤の技ありのトライだった。FB松永拓朗のゴールも決まって、JXVが7点を先取する。

 

MABもすぐに反撃。14分、JXV陣内に5mほど入った中央スクラムから左サイドに展開すると、FBコール・フォーブス、CTBゼイビ・ラエリのオフロードパスが次々に決まって、SHアダム・レノックスがトライ。7-7の同点になる。JXVのディフェンダーがスピードで振り切られた失点だった。しかし、その後はJXVがボールを支配する。ディフェンスに手を焼くMABは反則を繰り返し、前半31分にCTBベイリン・サリヴァン、32分にNO8トリアン・バーンズが相次いでイエローカードを受け、10分間の一時退場となる。

ラグビー日本代表強化試合 リポビタンDチャレンジカップ2026(6月27日)

【ハイライト】JAPAN XV vs. マオリ・オールブラックス

13人になったMABに対して、JXVは33分、モールを押し込んでHO原田衛がトライすると、36分、伊藤のフラットなパスを受けたCTBディラン・ライリーがトライ。39分にもモールを押し込んだあと、伊藤がディフェンスのいなくなった左中間のトライエリアにボールを蹴り込み、WTBイノケ・ブルアがトライ。24-7とリードを広げた。一つひとつのトライにスタンドは大いに沸き上がった。

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前半はスクラム、ラインアウトも安定し、「超速ラグビー」でSO伊藤がディフェンスを破るなど、MABのディフェンスを翻弄したJXVだったが、後半は一転、MABの猛攻を受けることになる。「ボール保持を心がけた」(サリヴァンキャプテン)という言葉通り、MABは密集周辺をしつこく前進してディフェンスを崩し、9分、サリヴァンがトライして、24-14と差を詰める。JXVもFB松永がトライし、31-14と再び突き放したが、JXVのスコアはここまでだった。

MABは経験豊富なSHサム・ノックが前半終了間際に登場し、攻守に格違いの動きでJXVにプレッシャーをかけた。後半23分からの4連続トライは圧巻。縦突進を軸にFW・BKが連動した動きでディフェンスを崩すと、FLテカマカ・ハウデンがトライ。31-21とすると、27分、サム・ノックのトライで、31-28と3点差に迫り、35分、交代出場のタハ・ケマラのトライで31-33と逆転。自陣から反撃に出たJXVのパスミスを誘ってさらに1トライを加えて、勝利を決定づけた。

最終スコアは、38-31。JXVにとって惜敗ではあるが、リードを広げてからの戦い方は、自陣から攻撃を仕掛けて手詰まりになるなど、確実に勝利をもぎ取るには拙い判断が多かった。JXVのキャプテンを務めた原田衛は攻守にチームをけん引し、スーパーラグビーで過ごした1シーズンの成長を感じさせた。「前半はプラン通りだったのですが、後半、相手の勢いが強くて受けてしまったのが、こういう結果につながったのかなと。後半は、ボールがすべりやすいので、ボールを大事にということと、ジャパンらしく、常にアグレッシブにアタックしようというのは常に声をかけていました」。
「JAPAN XVが前半強いのは分かっていた」(CTBベイリン・サリヴァンキャプテン)と言う通り、MABは後半に自信を持っていた。JXVは前半から飛ばして後半疲れた感があった。勝ち切る試合運びには課題が残った。非凡な才能を披露したSO伊藤龍之介も、トライエリアに入ってから持っていたボールを叩かれ、パスの直前にタックルされて落球するなど、判断スピードのさらなるレベルアップが必要だと痛感しただろう。主力選手が実力を示し、若い選手が貴重な経験値を高めた試合ではあったが、次は応援し続けるファンに勝利を届けてほしい。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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