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ラグビー コラム 2026年6月8日

【ハイライト動画あり】プライドをかけた3位決定戦は白熱の好ゲームに。埼玉ワイルドナイツが東京サンゴリアスに競り勝つ

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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まさにプライドをかけた一戦だった。準決勝で敗れ、失意の中で自分たちを奮い立たせ、チームメイト、応援してくれるファンのために戦い抜いた80分だった。リーグワン2025-26プレーオフトーナメント3位決定戦、6月6日(土)、秩父宮ラグビー場で行われた。観客は14,280人。晴れ、微風の好コンディションのなかで、午後1時30分にキックオフされた。

序盤は東京サンゴリアス(東京SG)が早いテンポで攻め続ける。FB松島幸太朗も相手キックをキャッチしてはカウンターアタックを仕掛け、徹底して「アグレッシブアタッキングラグビー」を貫いた。しかし、堅守速攻の埼玉ワイルドナイツ(埼玉WK)も激しいタックルを連発してトライを許さない。前半12分には坂手淳史キャンプテン、15分にはFBトム・パートンが相次いで負傷交代を余儀なくされ、HO島根一磨、SO楢本幹志朗が交替出場し、SOで先発していた齊藤誉哉がFBに下がる緊急事態となったが、埼玉WKは崩れなかった。

今季初登場となったLOルード・デヤハーは、身長206㎝、体重125㎏の巨体で激しいタックルを繰り出し、前半15分にはLOリアム・ミッチェルのパスを受けてディフェンスを突破。東京SGのトライラインに迫ったが、ここはボールが繋がらず。直後のラインアウトから埼玉WKから再び22mラインを越えて攻め込んだところで、ハンドリングエラーが起きる。このミスボールを松島幸太朗がキャッチ。一気に約90mを駆け抜けて先制トライを奪う。SOケイレブ・トラスクがゴールを決めて、7-0とリード。その後も一進一退の攻防が続き、前半は7-0のまま終了した。

引退を表明している東京SGのPR垣永真之介は久しぶりの先発で奮闘したが、足を痛めていたこともあって前半で交代。竹内柊平が投入された。後半、先にトライを奪ったのは埼玉WKだった。後半1分、自陣10mライン付近でFLラクラン・ボーシェーがタックルで倒した選手から瞬時のスティールでボールを奪うと、ボーシェーからパスを受けたミッチェルが好判断でSH小山大輝にパスを送る。小山はタックルをかわして一気に加速、約50mを走り切ってトライエリア中央に飛び込んだ。楢本がゴールを決めて、7-7の同点となる。

ジャパンラグビー リーグワン2025-26(6月6日)

【D1 プレーオフトーナメント 3位決定戦 ハイライト】東京サンゴリアス vs. 埼玉ワイルドナイツ

勢いづいた埼玉WKは続く前半5分、島根がトライして14-7とリード。10分にはWTBモーリス・マークスがキレキレのステップワークでディフェンダーを翻弄すると楢本がリーグワン初トライをあげる。ゴールは決まらなかったが、3連続トライでスコアは19-7となった。ここで、今季限りで引退を表明しているCTB中村亮土が登場し、サンゴリアスファンから大きな声援が沸き上がる。その中村はすぐに相手の攻撃を読み切ってパスをカット。その後の連続攻撃の中でパスを受け、左タッチライン方向に走ってスペースを作り、背中越しのパスで尾崎泰雅のトライを導いた。「あれが僕の持ち味なので」とまさに経験値を感じるトライアシストだった。

ここで東京SGは同じく引退を表明していたSH流大が登場し、さらにテンポを上げる。しかし、埼玉WKはマークスが爆発的スピードでトライを奪い、26-12とリードを広げた。互いにミスもあるが、それに即座に反応する攻防で観るものを魅了する展開が続いた。後半34分、東京SGは尾崎がトライして、26-19と7点差に迫ったが、あと一歩届かなかった。しかし、ノーサイドの笛が鳴るまで全力で戦った両チームに盛大な拍手が送られた。プレーヤー・オブ・ザ・マッチは、埼玉WKのモーリス・マークスが受賞した。

勝った埼玉WKの金沢篤ヘッドコーチは、フィールド上でのインタビューで観客に感謝を述べた上で「(ケガなどで)いろいろコンビネーションも変わって、綺麗なラグビーではありませんでしたが、選手が意地を見せてくれたと思います」と語った。「ファイナルに行けなくて悔しい結果ですが、これもラグビー。最後まで意地を見せた選手を誇りに思います」。坂手淳史キャプテンは負傷退場に悔しさをにじませながら「最後にワイルドナイツらしさを取り戻せたと思います」と話した。ただ、優勝を目指しながら3位に甘んじた悔しさは、2人の表情からありありと読み取れた。

そして、引退を表明している東京SGの3名が登場。中村亮土は「最後の試合ということで感情のコントロールが難しかった」と話し、「来てくださった皆さんのために、一個一個真剣に全力でプレーしようと思ったので、最後にそれをお見せできてよかったです。また明日、ファイナルがあるので、全員で応援しましょう」と締めくくった。垣永真之介は「何度も終わりかけた僕のラグビー選手という物語を、みんなが何度も救ってくれて、書き続けてくれました。これ以上幸せなラグビー人生はないと思います」とコメント。流大は「勝つことがサンゴリアスのプライドなので残念ですが、こんなにたくさんのお客さんの前で最後にプレー出来て幸せでした」と話し、3人に大きな拍手が送られた。流も「ファイナルを日本全体で盛り上げて、これからの日本ラグビーにつなげていきましょう」と観客に呼びかけ、日本ラグビーを引っ張って来た選手としての矜持を感じさせた。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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