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大接戦に14人の攻守はきつい。ダイナボアーズは追いつかれ、終了寸前の失トライとゴールで26ー33と敗れる。いささか同情する。判定が間違っているのではない。国内外の現行のルール適用では「頭部正面衝突」の非は総じて「タックル側にある」とされる。そこが割り切れないのだ。
パスが想定の軌道、普通のコースや速度ではなく、ふわっと浮く。それを跳んで捕る。すると倒そうとする者の視線や肩の向きも自然に上に引き寄せられる。激しい攻防のさなかにそこはコントロールできない。いわば本能。跳んだ相手が着地、ただちに前傾する。守るほうの意識は「上」にいくらか残る。目の前の標的に急ぎタックルを仕掛ける。頭×頭の悲劇だ。
実際はタックルの質を決めるのはボールを持つ側ではあるまいか。ステップを踏み、上体を揺らし、ときに敵陣に背を向けてジャンプしながらクルリと回り突然加速したりもする。そうした動作に防御は対応する。ことに不規則な出来事(パスが地面にはねる。後方へそれる。キャッチする選手の腰がふいにくだける…)が発生すると、正しくあろうと構えた防御の姿勢や足の位置も乱れる。妙な角度や高低でクラッシュ、運が悪ければカードにつながり、緊迫のシーソーがコトンと傾く。誤りなく攻めてくれたら、こちらも誤りなく倒せた。言い分はそれなりに成り立つ。
結局、レフェリー、オフィシャルのチームによる「合法非合法」の完全なる把握は無理なのだ。スクラムのミクロの駆け引きを「法医学者」のごとく解釈する。そんな難題をひとりに課すのは酷だ。同情したくなる。
ここは「常識」の力を借りるほかない。ともに鍛えられたスクラムを組み、どちらのチームもあまり気にしていないなら、厳密なルールにもれなく重なってはいなくとも、そのままラグビーをさせる。次のラインアウトの前にでも「さっきのはちょっぴり反則」とフッカーにささやけばよい。もちろん悪質な暴力、無法を開き直るような意図的反則に対しては、まさに一切の妥協なく温情皆無のジャッジをくだす。赤、赤、赤のカードもよし。
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