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ラグビー コラム 2023年10月11日

敗退も退歩ではなし~ラグビーワールドカップ準々決勝を前に~

be rugby ~ラグビーであれ~ by 藤島 大
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フランスで子どものラグビーの練習を見た。ナントの土曜。日本代表のトレーニング場の隣で小学生の低学年と思われる女の子や男の子が走り回っている。

横一列での走りながらのパス。ボールが芝の上に落ちるとコーチが「腕立て伏せ3回」を命じる。というか、もう慣れていて、みな、自然に始める。あー、自由と平等と博愛の国でもそうなんだ。と、まず思い、よく目を凝らすと、失敗をした組だけでなく、そこにいる全員が地面に肘を曲げているのに驚いた、というほどではないが、感心した。

小さな子が落球したからといって全体に「罰」を与えるなんて。ここが、たとえば東京や秋田や佐賀だったら、したり顔の評論家が「こういうところが日本のスポーツ界はダメなんです」と唱えそうだ。

だから少し安心した。フランスだってそうじゃないか。仲間の失敗をチームのしくじりと考えてみる。それもスポーツだ。それがラグビーである。

よくよく観察すると、子どもたちは楽しそうに腕立て伏せをしている。3回が規則。ただし、そんなに真剣に取り組む者はおらず、きゃっきゃっと軽ーく顔を地面に近づけては離す。そこをとがめる指導者はいない。このあたりの加減がよい。

個の国、フランスは、ラグビーでも全体の罰をとことん嫌悪する。あるいは同調の国、日本はそいつが大好きだ。というような「偏見」は、冗談の範囲なら、スポーツ観戦の喜びである。しかし、ことワールドカップのような最高度の勝負の場では、各国それぞれの代表らしい古来の匂いは残るものの、どこも総じてスキのない準備を積み上げている。

ジャパンアルゼンチンもそうだった。あらためて27ー39の敗北。結果は残酷に敗者と勝者を引きはがすのだが、互いに引かぬ攻防の質は高かった。

伝統的に浮かれた表現を嫌うフランスのル・モンド紙がこう書いた。

「アルゼンチンと日本はここにきて意欲と活気を試合に注ぎ込み、このワールドカップにおいて最も息を呑むスペクタクルな試合をやってのけた」

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