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ラグビー コラム 2023年10月11日

敗退も退歩ではなし~ラグビーワールドカップ準々決勝を前に~

be rugby ~ラグビーであれ~ by 藤島 大
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さて。土、日のパリでは準々決勝という名のふたつの決勝が行われる。アイルランドニュージーランドフランス南アフリカ。ここでまた遠ざかる「偏見」について考える。

かつてのアイルランドは「ハイパントの雨嵐。猛烈な闘争心で強国に襲いかかり、でも自分たちがリードするとどうしてよいかわからなくなる」なんてジョークの対象にされた。愛されてはいた。しかし、おそれられはしなかった。

2023年の緑のジャージィは様変わりしている。攻守の方法やスキルを細部の細部まで突き詰め、獰猛な巨獣がちゃんと吠えて暴れながら、科学者みたいに理を貫く。対スコットランド、決して悪くはない相手の満々の気迫を正確なスキルがあっという間に消火した。

「このアイルランドのラグビーなら、これからの5年、10年、世界を支配できるだろう」(スコットランドのグレガー・タウンゼントHC)

新時代到来を阻む最初の矢はオールブラックスである。10月14日。サンドニの午後9時。日本時間では翌午前4時。「パニックの押しつけ合い」というスポーツが始まる。

フランスも充実している。昔、1970年ごろ、ウェールズの不世出の天才スタンドオフ、バリー・ジョンはレ・ブルーの料理法をこんな内容の言葉で表わした。

「連中はソースをつくると素晴らしいシェフだ。しかしジャガイモの皮むきには向かない。だからパントを上げて下働きをさせる」

いまのフランスは違う。皮をむくどころか土に苗を植えて生産する。うっとりとするソースをこしらえるが、レトルトの濃縮ブイヨンでも味を整えてみせる。10月15日、こちらも午後9時(日本時間16日午前4時)。スプリングボクスは無骨な屋外バーベキューのごとき肉弾戦を仕掛けて、厨房ごと破壊しにかかるだろう。 

文:藤島 大

藤島大

藤島 大

1961年生まれ。J SPORTSラグビー解説者。都立秋川高校、早稲田大学でラグビー部に所属。都立国立高校、早稲田大学でコーチも務めた。 スポーツニッポン新聞社を経て、92年に独立。第1回からラグビーのW杯をすべて取材。 著書に『熱狂のアルカディア』(文藝春秋)、『人類のためだ。』(鉄筆)、『知と熱』『序列を超えて。』『ラグビーって、いいもんだね。』(鉄筆文庫)近著は『事実を集めて「嘘」を書く』(エクスナレッジ)など。 ラグビーマガジン、週刊現代などに連載。ラジオNIKKEIで毎月第一月曜に『藤島大の楕円球にみる夢』放送中。

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