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ランで突破を試みるSO清原
静岡ブルーレヴズが新しい船出を迎えた。1月30日(日)の「ジャパンラグビー リーグワン」第4節。開幕から3試合連続、新コロナの影響で試合ができなかった静岡ブルーレヴズが、ホストスタジアムである静岡・ヤマハスタジアムにNTTドコモレッドハリケーンズ大阪を迎え、ようやくリーグワン初戦を迎えた。
静岡ブルーレヴズはディヴィジョン1で唯一、ヤマハ発動機ジュビロから名前を変えて、企業名を外してクラブをプロクラブ化していた。なんとしてもホスト開幕戦を白星で飾りたいところだった。
一方のNTTドコモレッドハリケーンズ大阪も開幕からホストゲームで2連敗を喫し、前節は自チームからコロナの陽性者1名が出てしまい中止。なんとしても初勝利を挙げたいところだった。
ともに初勝利を目指して負けられない一戦は、まずNTTドコモレッドハリケーンズ大阪の選手がピッチに現れた。そしてレース用のヤマハのバイクのエンジン音とスモークの中、この試合が公式戦通算100試合目となったLO(ロック)大戸裕矢キャプテンを筆頭に静岡ブルーレヴズの選手たちが登場した。
バイクのエンジン音とスモークとともに選手が登場
海底噴火で被害のあったトンガの人々に黙祷が行われ後、試合は午後2:30にキックオフされた。試合はときおり「レヴニスタ」と呼ばれる静岡ブルーレヴズのファンの手拍子、足踏みが聞こえる中、進んでいた。
静岡ブルーレヴズ初トライを挙げたSO清原
先制したのはホストの静岡ブルーレヴズだった。前日練習は多くの選手が緊張でガチガチだったいうが、4分、キックカウンターからボールを継続し、最後はSO(スタンドオフ)清原祥がギャップを突いて中央右にトライ。ルーキーのFB(フルバック)奥村翔(帝京大学出身)のゴールも決まり、7-0とリードする。
11分、相手のSOジアニ・ロンバートにPG(ペナルティゴール)で決められるが、14分、静岡ブルーレヴズはゴール前のスクラムから、昨季のトライ王WTB(ウィング)マロ・ツイタマがトライを挙げて、14-3とリードを広げた。
前半の途中からペースをつかんだNTTドコモ
ただ、初勝利に向け、NTTドコモレッドハリケーンズも意地を見せる。ゲームキャプテンHO(フッカー)フランコ・マレー、NO8タイラー・ボールら、FW(フォワード)陣が接点で奮闘してペースをつかむ。
19分にはラインアウトを起点に右に大きく展開し、WTBラリー・スルンガがトライ。さらに30分にPGも決めて、1点差に追い上げる。前半終了間際、だが、再びPGのチャンスを得たが決められず、前半は静岡ブルーレヴズが、14-13と1点リードで折り返した。
後半、ホストのファンの前で負けられない静岡ブルーレヴズが再びギアを上げてペースを取り返す。武器であるスクラムで反則を誘い、相手陣に攻め込み、後半9分、SO清原のキックパスをWTBツイタマがスライディングしながらキャッチしてトライ。ゴールも決まり21-13とした。その後も静岡ブルーレヴズがディフェンスで相手のアタックを封じ込め、相手陣のプレーが続く。
ダイナミックなプレーでトライも挙げた新加入のNO8ナイサラニ
さらに15分にPGを決め、24-13とするが、その後は拮抗した状態が続く。粘るNTTドコモレッドハリケーンズ大阪の前に、なかなか追加点を挙げることができなかった静岡ブルーレヴズだが、試合終了間際の37分、ボールを継続してSO清原から新加入の元オーストラリア代表NO8イシ・ナイサラニが右中間に来日初トライを挙げて29-13。
2トライを挙げてPOMに輝いたWTBツイタマ
さらにホーンが鳴った後も、静岡ブルーレヴズはボールをタッチに蹴らず、攻撃を18回継続し、最後は途中出場のWTB石塚弘章がトライを挙げて36-13でノーサイド。新生・静岡ブルーレヴズはホストスタジアムで記念すべき初勝利を挙げた。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)は2トライを挙げた静岡ブルーレヴズのWTBツイタマが選出された。
静岡ブルーレヴズは3トライ差以上の勝利でボーナスポイントも含め、勝ち点5を獲得し10位となった。NTTドコモレッドハリケーンズ大阪は今節も初勝利、勝ち点を挙げることができず12位と最下位のまま。
ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1
【第4節ハイライト】静岡ブルーレヴズ vs. NTTドコモレッドハリケーンズ大阪
後半、失速してしまったNTTドコモレッドハリケーンズ大阪のヨハン・アッカーマンHC(ヘッドコーチ)は「前半は非常にいいゲームができていた。前半の最後PGを決めていればリードできていたので、その時点では接戦だったと思います。後半はなかなか自陣から抜け出すことができず、ペナルティも多く、その原因を究明していきたい。相手はチャンスをしっかりものにしていた。我々が成し遂げられなかったことをやり遂げていた」と悔しそうに話した。
コロナの影響で5日間練習できなかったことは「言い訳にできない」と話したゲームキャプテンHOマレーは「前半はドコモの方が優勢でしたが、後半入ってすぐにミスやペナルティをしてしまった。ネガティブなプレーを続けてはいけないし、そういうプレーがあった後はポジティブに切り替えなければならない。ペナルティの部分は修正していきたい」と前を向いた。
新たなスタートを切った静岡ブルーレヴズ
3試合の中止後、静岡ブルーレヴズとしての開幕戦を勝利で飾った堀川隆延監督は、まず、「コロナのクラスターが発生し、3試合できなかった。多くの方々にご迷惑をおかけしました。苦しい時期を選手たちは乗り越えて、今日の開幕までにできることをやろう、前を向いてできる限りの準備をしてくれました」と陳謝とともに選手への感謝を述べた。
OBでもある指揮官は「ホストゲーム、静岡ブルーレヴズとしての初戦ということで、何が何でも勝たなければならない、最低でも勝ち点5を取るということを強く思っていました。選手たちは最後80分間、走り続けるマインドを持って、しっかりトライを獲ってくれた。選手たちのことを誇りに思いますし、次につながる試合だった」と満足げに話した。
この試合でチーム100キャップを迎えたLO大戸主将
ホスト初試合、チーム公式戦100キャップ目を勝利で飾ったキャプテンのLO大戸は「結果として勝ち点5を取ることができ、ホスト開幕戦で静岡ブルーレヴズらしい熱い試合ができた。雰囲気作りだったり、入場の時にバイクで盛り上げてくれたり、モチベーションが上がる演出をやってくれて、僕らも勝利で恩返しができたのでホッとしています。これからも、ファンのみなさんとチームを一緒に戦っていくスタイルを作っていきたい」と満面の笑顔を見せた。
ようやく迎えた開幕戦で白星スタートを切った静岡ブルーレヴズは、2月5日(土)の第5節はビジターゲームで、東京・駒沢オリンピック公園総合運動場で、6位の東芝ブレイブルーパス東京と対戦する。
苦しい戦いが続いているNTTドコモレッドハリケーンズ大阪は6日、ホストのヨドコウ桜スタジアムに、開幕から4連勝で首位に立つ東京サントリーサンゴリアスを迎える。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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