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――ラグビーからいったん離れたのはなぜですか。
「2003年に皆川鍼灸整骨院を開業して、専念しようと思ったからです。トップリーグが始まる年で永友洋司さんがサントリーの監督になって慰留されたのですが辞めました。それなのに、永友洋司さんがキヤノンイーグルスで監督になり、トップリーグに昇格したシーズンに声をかけてもらってラグビーの現場に戻ることができました。秩父宮ラグビー場のロッカールームからグラウンドに出る通路は、いったん暗くなってグラウンドに出ると急に明るくなりますよね。あの雰囲気を久しぶりに味わったら最高に気持ちよくて、感動して、嬉しくて、うっすら涙が出ました」
――皆川さんはリーグワンに向かう横浜キヤノンイーグルスでもアスレチックトレーナー(メディカルアドバイザー)を務めます。どんな役割になるのですか。
「チームメンバーの健康管理、体調管理、障害予防、外傷障害の応急処置、コンディショニングなどです。トレーナーの業務体制に関するアドバイスもします」
皆川彰さん
――トレーナーをしていて、一番の喜び、やりがいは何ですか。
「怪我をした選手が復帰して活躍してくれるのが喜びですが、一番は、試合で怪我無く勝利をつかむことですね。試合での緊張感はなかなか味わえないし、それもやりがいの一つですね」
――トレーナーを目指す人たちに、アドバイスをお願いします。
「とにかく現場に出てほしいです。現場で得るものがすべて自分の実になります。僕は及川先生、松尾雄治さん、日本代表選手たち会って良い経験をしました。現場では教科書に載っていないことをたくさん教えてもらえます。そして、トレーナーはコミュニケーションのテクニックが一番大事です。それは現場でしか学べません」
――最後に今後の目標を聞かせてください。
「横浜キヤノンイーグルスの優勝です。サントリーの頃から縁のある永友洋司さんがGMで、沢木敬介さんが監督です。少しでも力になれたらと思っています。そして、ラグビーをより安全に行える環境の整備、各チームが取り組んでいるアカデミーのサポート、女子ラグビーの強化とサポートもしていきたいです。ラグビーの力になりたいのは、松尾雄治さんのテーピングを巻かせてもらったという、ラグビーに対する恩義を感じるからです。それはずっと変わりません」
★プロフィール
皆川彰(みながわ・あきら)・58歳
1984年新日鉄釜石ラグビー部菅平合宿からトレーナーとして本格的に活動。日新製鋼、高校日本代表を経て、1989~2003=サントリーラグビー部フルタイムトレーナー。1992~97=15人制日本代表、1994~98=7人日本代表を担当。2013年よりキヤノンイーグルスのトレーナーを務める。皆川鍼灸整骨院院長、恵比寿 WITHボディメンテ治療院
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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