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マン・オブ・ザ・マッチに選出されたSHハーシェル・ヤンチース(スプリングボクス)
南半球の最強4カ国が激突する「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」が、7月20日に開幕した。ヨハネスブルグのエミレーツエアラインパークでおこなわれた開幕戦では、南アフリカ代表スプリングボクスと、オーストラリア代表ワラビーズが対戦。ホームのスプリングボクスが、素早く前に出るディフェンスでプレッシャーをかけ続け、35-17で快勝した。
際立つ活躍だったのが、代表デビューとなったSHハーシェル・ヤンチースだ。スーパーラグビーのストーマーズで今季15試合に出場したヤンチースは、167cm、75kgという小さな体格ながら、素早いパスさばきで味方を走らせ、好サポートから前半11分に先制トライをあげた。後半22分にも、ラックサイドのディフェンスがいないとみるや、すかさずタッチライン際を駆け抜けてトライし、マン・オブ・ザ・マッチ(最優秀選手)に選ばれている。
スプリングボクスは、前半は粘りのディフェンスで耐え、ターンオーバーからトライ。後半はボールを7割がた支配した。一方のワラビーズは肉弾戦でもやや押され気味で、交代出場のPRタニエラ・トゥポウが、笛が鳴ったあとにラックにいた相手選手を弾き飛ばす危険な行為でシンビン(10分間の一時退場)となるなどフラストレーションのたまる戦い。後半31分、SOバーナード・フォーリーのトライは、交代出場のFBカートリー・ビールの突破から生まれた。SHウィル・ゲニアなど経験豊富な選手が揃えば魅力的なアタックができることも証明。今後のメンバー編成も注目される。
ブエノスアイレスのエスタディオ・ホセ・アマルフィターニで行われたアルゼンチン代表プーマス対ニュージーランド代表オールブラックスの一戦は予想に違わぬ僅差勝負になった。28回の対戦成績でまだ一度もオールブラックスに勝ったことがないプーマスは、SOニコラス・サンチェスのPGで先制すると、前半6分、FBエミリアノ・ボフェリが約50mのロングPGを決めてリード。地元の観客を大いに沸かせた。オールブラックスも前半17分、CTBンガニ・ラウマペがトライを返し、SOボーデン・バレットがPGを連続で決める。38分には、LOブロディー・レタリックが相手パスをインターセプトして約50mを走り切ってトライ。前半を20-9とリードで終えた。
しかし、後半はプーマスの懸命のディフェンスにあって得点できず、逆にプーマスはFBエミリアノ・ボフェリが、オールブラックスの守護神であるFBベン・スミスとハイパントを競り合ってキャッチし、そのままインゴールへトライ。サンチェスのゴールも決まって、20-16と差を詰めた。その後も何度か攻め込んだが、トライは奪えず、そのままノーサイドとなった。初勝利はならなかったが、プーマスの地力アップを証明した。
27日(土曜)の第2節は、ニュージーランドの首都ウェリントンでオールブラックス対スプリングボクス、オーストラリアのブリスベンでワラビーズとプーマスが対戦する。ラグビーワールドカップ(RWC)日本大会を見据えれば、オールブラックスとスプリングボクスは同じプールBに属し、9月21日、横浜スタジアムで対戦する。優勝を狙う両チームにとって負けられない戦いだ。スプリングボクスの激しく前に出てくるディフェンスの中でオールブラックスがどう得点するのか。一方、オールブラックスから7点差以内の負けに与えられるボーナス点をゲットしたプーマスにとり、調子の上がらないワラビーズはなんとしても倒したい相手。変幻自在の攻撃を仕掛けたい。ここで勝利することでRWCの同プールとなる、イングランド、フランスにプレッシャーをかけることもできる。メンバー編成、試合内容ともに気になる2試合。RWC日本大会を楽しむためにも、見逃せない。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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