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モータースポーツ コラム 2026年8月18日

富士を買え!─奥田碩氏を偲んで

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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富士スピードウェイ(写真は昨年の富士6時間耐久レース時のもの)

元トヨタ自動車社長、会長の奥田碩氏が逝去されたと先週の各メディアは報じている。氏は28年ぶりに創業家の豊田家以外からトヨタ自動車の社長に就任した。社長時代に富士スピードウェイに訪れた際にマイクを向けさせていただいた。大柄で肩幅が広く、悠々と話される方という印象だった。後に、柔道六段で、麻雀やカラオケを好まれた方だと知った。

奥田氏とモータースポーツ。
1999年にトヨタがF1参戦を決断した際の社長が奥田氏だった。GOをかけた数年後の2002年に参戦が実現。その時は会長職。これだけが奥田氏とモータースポーツの強い関係性かと思っていたら、もう一つあった。

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現在、富士スピードウェイ(FSW)は、トヨタの子会社となっているのはご存知でしょう。しかし、かつて他の自動車メーカーがFSWの買収を計画していた。1965年の開設後、三菱地所グループの下で運営されていたが1990年代の半ばに買収の話が持ち上がった。それは日産自動車から。当時ル・マン24時間レースに参戦していた日産は、三菱地所の役員をル・マンに招待して、その場で買収後の計画をプレゼンテーションしていた。その青写真には、サーキットにプラスして遊園地、宿泊施設などが描かれていた。ボクは、その場に同席させていただいたので、そのやりとりを生で見ていた。FSWは80年代を前にして廃止問題があってレース関係者と地元の地主が廃止に反対、「富士スピードウェイ廃止問題連絡協議会」による活動などを通じて結果存続となったという歴史がある。買収によって新たな展開が行われると期待していた。

奥田氏が社長に就任して以降、トヨタの新たな方向性を模索し、改革を実践していた中にはモータースポーツは、ひとつのセグメントだったのでしょう。日産がFSWに接触を開始しているという情報をどこから得たのだろうかは知らない。

それを聞いた奥田氏は即断し、「富士を買え!」と指示したという。そこから先のトヨタの動きは早かった。

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日産がル・マンに招待した同一人物と接触、プレゼンテーションを行った。買収計画に加わった人物によれば、日産が描いた遊園地と宿泊等の施設は、採算が合わないと考えたという。トヨタと日産。三菱地所はトヨタを選んだ。そして2000年に資本参加、2023年に完全子会社とした。

現在のFSWは、2003年から2005年にかけてリニューアルされ、グレード1を獲得してF1GP開催へ準備を整えた。その後、豊田章男氏が2009年に社長へ就任し、「もっといいクルマづくり」を標榜。自らマスターテストドライバーとしてステアリングを握りながら、「MORIZO」のレーシングネームでモータースポーツにも参戦している。

文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会会長。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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