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モーター スポーツ コラム 2025年6月10日

【ル・マン特集 | 決勝まであと4日】チーム代表も兼任、小林可夢偉はトヨタで10回目のル・マン

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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決勝レーススタートまであと4日

決勝レーススタートまであと4日

世界の名だたる自動車メーカーが参戦する「ル・マン24時間レース」。2025年6月14日(土)〜15日(日)に開催される「第93回ル・マン24時間レース」は「J SPORTS」で生中継。FIA WEC(世界耐久選手権)の中で最も重要なこのレースを今年も24時間完全生中継でお届けします。このレースをより楽しんでいただくために、決勝レースがスタートするまでの間に24個のトピックスを取り上げ、今年のル・マンの見どころをご紹介。第21弾は「日本人ドライバーでありトヨタのチーム代表、小林可夢偉」についてです。

ご紹介するまでもない日本人F1ドライバーとして日本グランプリで3位表彰台を獲得したレーシングドライバー、小林可夢偉。日本グランプリを沸かせたのは2012年のこと。もう13年も前のことです。時が経つのは本当に早いですね。

表彰台に乗った時、すでに小林可夢偉の将来は不透明でした。リーマンショックの影響でトヨタ、ホンダがF1から撤退。さらに多くの日本企業がF1から距離を置いていた時代でした。そんな時、小林可夢偉がアプローチをしたのがフェラーリでした。

2013年、LM GTE Proクラスに参戦したフェラーリ「AF CORSE」のドライバーとしてFIA WECにフル参戦。F1から未経験のGTカーでのレースへと転向し、ル・マン24時間レースに出場しました。

それから数えてル・マン参戦は11回目。今年は2016年から参加している「Toyota Gazoo Racing」のドライバーとしてはちょうど10回目のル・マンということになります。ル・マンでの優勝は2021年の1回のみ。ル・マンでは不運に見舞われることが多く、悲願の優勝でした。

現在はドライバーとチーム代表を兼任する立場です。トヨタのマシンは日本で研究・開発が行われていますが、チームの拠点はドイツのケルン。その橋渡し役となるのがTGR-E副会長の中嶋一貴であり、現役のドライバー目線からチームをまとめていくのが小林可夢偉です。ドライバーとしてもトップレベルにある人物がチームの代表として意見をし、マシンの開発を進めていく。この組織が作れたことがトヨタの強みでもあると思います。こういったあまり前例のない組織が実現できたのは豊田章男会長がプロドライバーに対して最大のリスペクトを持っているからに他なりません。

「HYPERCAR」クラスに先んじて参戦したトヨタは後発のメーカーに比べれば圧倒的に不利です。時にはLMP1カーとの性能調整を受け入れ、ライバルのHYPERCARの優遇とも取れる調整を受け入れてきました。マシンの大幅なアップデートができない現状では戦略で攻めるしかありません。レースの中で接戦を戦うドライバーだからこそ発見できる世界。ダイレクトにそれがチームや開発陣に伝わることは、戦略面はもちろん次のHYPERCAR開発にも役立つはずです。

昨年はドライバーズタイトルこそ逃したものの、チームとしてチャンピオンを獲得したのはやはりチーム代表としての手腕。劣勢な時もチームとして攻めの姿勢を示し、結果に繋げたからこそのチャンピオンです。

小林可夢偉は昨年のル・マンではニック・デ・フリース、そして代役のホセ・マリア・ロペスと共に2位表彰台を獲得。そして、スーパーフォーミュラでも今季出場したレースでは全てポイントを獲得していますし、速さが光る若手ドライバーが数多く参戦する中でドライバーとしての実力は今もトップクラスです。

トヨタで10回目となるル・マンでは小林可夢偉が乗る7号車がTS020/GT-Oneをイメージしたリバイバルカラーを纏います。日本のトヨタファンが夢を見たあの名車が取り逃がしたル・マン優勝をぜひ再現して欲しいですね。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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