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モーター スポーツ コラム 2025年5月29日

相撲協会とモータースポーツ界、再び

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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写真はイメージです。本文とは関係ありません

大の里が強かった。
14勝1敗。全勝優勝とはならなかったけれど、立ち合いからの圧力は、圧倒的だった。だから、相撲が短時間で決着がつく。腰が高いけれど、脚力が強くて、押し返されることがほとんどなかった。大関在位で二場所連続優勝。これにて横綱への昇進確実!!
史上最短で頂点へ。素晴らしい。久々の日本人横綱誕生。

千秋楽の夜。祝勝会を終えた頃だろうか。大の里関から電話が・・・。
「第十代大嶽親方のお孫さんの高橋さん。全勝は無理でしたが、楽しく、集中して15日間を闘えました。ありがとうございます」
「立派な場所でしたよ。これで綱を張れますね。おめでとう」
「まだ決定はしていませんが、推挙されれば、お受けして、責任をもって次の場所に進みます」

大の里の快進撃を見ていたモータースポーツ関係者が、F1と相撲の類似点というか、F1は、まるで相撲の機構を手本にして1950年に礎を築き現代に至る様を以前小欄で書いたのを読んでいただいたらしい。現在自動車メーカーのモータースポーツ部門が抱えているレーシングドライバーの育成について、相撲協会の機構がドライバー育成の一つの打開策としてなんとか日本のモータースポーツ界に導入できないだろうかと考え始めたのだろう。<そうだ、モータースポーツは相撲協会に習おう>という声が次々に上がった。凄い、凄いことが起きようとしている。と、その時。目が覚めた。ああ、夢か・・・。
大の里関から電話が来ることなど、あり得ない。それこそ夢の夢。
でも、レーシングドライバーの育成に相撲協会のシステムが活かせるのではないだろうか。

現在相撲部屋は、45。各部屋は、義務教育を終えた有望な若手をスカウトして入門させる。そして稽古を積ませて協会の新弟子検査を受けて、合格すれば、一員として迎え入れられる。しかし、協会に所属していても十両からしか給料は支払われない。十両以下(幕下以下)の力士は、各部屋が全ての面倒を見る。部屋は、【谷町】さんと呼ばれる後援会から運営資金を得る。そして、協会からも費用が支給される。

日本のモータースポーツ界には、相撲協会のような部屋に対する養成/育成費用のチームへの支給は、基本的には無い。自動車メーカーからの契約を得られたドライバーは、契約金を得られるが、それ以外のドライバーは、チームとの契約、レース毎の乗車手当やパーソナルスポンサーから得た資金でドライバーとして活動している。SUPER GTを例にとれば、GT500クラスのドライバーは、メーカーとの契約ドライバーであるけれど、GT300クラスのドライバーの一部にメーカーとの契約があるけれど、殆どがチーム&スポンサーから資金を得ている状況。

以上のような様子を見るにつけ、日本のモータースポーツ全体を統括してお金の流れのシステムを構築する必要があるのではと考える今日この頃。

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文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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