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モーター スポーツ コラム 2025年5月16日

【見どころ解説】3勝、ポール2回の絶好調!日産の地元優勝に高まる期待 | FIA フォーミュラE世界選手権 2024/25 第8、9戦 東京

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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今季絶好調の「ニッサン・フォーミュラEチーム」

今季絶好調の「ニッサン・フォーミュラEチーム」

2025年5月17日(土)、18日(日)の2日間、お台場のTOKYO STREET CIRCUITで「Tokyo ePrix」が今年も開催。今年も「J SPORTS」で放送される「フォーミュラE世界選手権」の生中継をぜひお楽しみください。今回は今季絶好調の「ニッサン・フォーミュラEチーム」について紹介していきたいと思います。

日本メーカーで電気自動車(EV)といえば、日産自動車を連想する人は多いことでしょう。同社は代表車の「リーフ」をはじめ、軽自動車の「サクラ」、そして人気SUVの「アリア」など近年のラインナップはEVを前面に押し出してきました。

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そんな日産自動車の経営危機、ホンダとの経営統合話がニュースで盛んに報道されたのが昨年の年末でした。そんな最中に「フォーミュラE」のシーズン11がスタート。昨シーズン、古巣復帰という形で「ニッサン」に戻ってきたオリバー・ローランドが初開催の「Tokyo ePrix」でポールポジションを獲得すると、その後、ミサノと最終戦ロンドンで優勝。調子を取り戻してきた「ニッサン」に大きな期待が高まっていました。

開幕戦・サンパウロ(ブラジル)では優勝こそ逃したものの、これまた「ニッサン」に再加入のノーマン・ナトと共にデュエル予選に2台揃って進出。同じニッサンパワートレインを積む「マクラーレン・ニッサン」の20歳、テイラー・バーナードが初表彰台を獲得するなどニッサン勢の今季のポテンシャルアップは明らかでした。

1月に開催されたメキシコシティ(メキシコ)ではオリバー・ローランドが今季初優勝。続く2月の第4戦・ジェッダ(サウジアラビア)でも今季2勝目をマークします。そして「Tokyo ePrix」凱旋目前の第6戦・モナコでローランドは3勝目を達成。第7戦・モナコでも2位表彰台を獲得し、今季は7戦中5戦で表彰台に登壇する大活躍です。

オリバー・ローランドはランキング首位。なんと2位に対し48点もの差をつけて日産の母国レース「Tokyo ePrix」に挑むことになりました。

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【決勝 ハイライト】FIA フォーミュラE世界選手権 2024/25 第7戦 モナコ(5月4日)

昨年の「Tokyo ePrix」では母国レースで「ニッサン」がポールポジションを獲得したことで大いに盛り上がりました。残念ながら決勝レースではマクシミリアン・ギュンター(当時マセラティ/現DSペンスキー)に敗れてしまいましたが、スリリングなレースを展開したオリバー・ローランド(ニッサン)に大きな拍手が送られていましたね。昨年よりも強さを増した「ニッサン」の優勝に大きな注目が集まります。

そんな「ニッサン」がフォーミュラEに参戦したのは2018年〜19年のシーズン5からです。ちょうど第二世代のマシン「GEN 2」がデビューしたシャシー変更のタイミングで「Nisaan e.dams(ニッサン・イー・ダムス)」としての参戦でした。

dams(ダムス)はレースの実働部隊であるレーシングチームの名前で、かつては国際F3000(現在のFIA-F2に相当するレース)に参戦したフランスの強豪チームでした。エリック・コマスやオリビエ・パニスなど数多くのフランス人F1ドライバーを輩出した名門で、一時期はF1への進出も計画していました。

F1参戦は実現しませんでしたが後にトヨタのF1ドライバー育成プログラムの受け皿となり小林可夢偉や中嶋一貴が走ったチームとしてもお馴染み。今もFIA F2に参戦するチームとして、日本のモータースポーツファンにはよく知られている存在です。

トヨタがF1プログラムから撤退した後は同じフランスの「ルノー」との結びつきを強め、ロマン・グロージャンがdamsからF1に昇格。ルノーとの提携は2014年にスタートしたフォーミュラEプロジェクトにも繋がり、初年度のシーズン1ではセバスチャン・ブエミ、ニコラス・プロストを擁してチームチャンピオンに輝きました。

パワートレイン開発が解禁となったシーズン2からはフォーミュラEのルノーワークスチームとしての立ち位置で「Renault e.dams(ルノー・イー・ダムス)」として参戦。シーズン2ではセバスチャン・ブエミがドライバーズチャンピオンを獲得し、さらに2年連続のチームチャンピオンも獲得しました。

シーズン1はルノーのパワートレインを使用するワンメイクだったため、フォーミュラE初期は優位性もありました。第一世代の有力チームとして活躍していた「ルノー・イー・ダムス」でしたが、ルノーがシーズン4をもって撤退。代わって同じグループの「ニッサン」がそこに加わりました。

日産自動車はグローバルな新世代モータースポーツであるフォーミュラEを積極的に宣伝に使い、電気自動車をアピール。チーム体制としてはダムスが実働部隊であることには変わらずという形で参戦。シーズン6にはチームランキング2位を獲得しますがチャンピオンには手が届きませんでした。

2019年にダムスのチーム代表が死去し、ダムス自体のチーム体制が変わり、シーズン7、シーズン8では成績が大幅に低迷。ついに2シーズンに渡って表彰台にすら登れない低迷期を迎えます。

シーズン9に日産自動車は大きな決断を実行。ダムスを買収し、完全なフルワークスチーム「ニッサン・フォーミュラEチーム」を結成して挑むことになったのです。スーパーフォーミュラで速さを示したサッシャ・フェネストラズを起用し、チームとしては新たな風を送り込んだ形でしたが、フルワークスになっても優勝ならず。

フルワークスチームが浮上する起爆剤として声をかけたのがオリバー・ローランドです。レーシングカート時代から注目を集めた逸材であったローランド。F1の道を諦め、フォーミュラEの道を模索します。そのフルシーズンデビューのチームが「ニッサン・イー・ダムス」です。シーズン6ではフォーミュラE初優勝を達成。3シーズンに渡り「ニッサン・イー・ダムス」で走り、5回のポールポジションを獲得するなど活躍。実はニッサンにとっては当時最後の優勝を達成したドライバーでした。

シーズン8、シーズン9は「マヒンドラ」に移籍したローランドですが成績は低迷。ついにシーズン9の途中でシートを喪失してしまいます。普通なら、いわゆる低迷期に入っているドライバーを再び起用するというのは考えにくいことですし、ましてやローランドはレーシングドライバーとしては割と大柄な体格をしています。そして年齢的にもベテランの領域に入ったタイミングでした。

ランキングトップを快走するローランド

ランキングトップを快走するローランド

しかし、それでも彼がかつてフォーミュラEで見せたパフォーマンスを信じていたのでしょう。ローランドの才能は「ニッサン」が作るGEN 3カーで爆上がりすることになります。

一発の速さがあり、初コースに強く、順応性が高いことがローランドの最大の強みです。それに加え、レースマネージメントの面でもクレバーで、ミスが少なく、特に今シーズンは結果を残すために一喜一憂することなく集中している感じが良いですね。

昨年の良いデータがベースになってスタートする「Tokyo ePrix」では予選からオリバー・ローランドの速さに注目しましょう。そして、東京という大舞台で日本国籍のチームが優勝する姿を見ることができる可能性はこれまで以上に高いと言えるでしょう。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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