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モーター スポーツ コラム 2025年5月15日

【見どころ解説】元F1ドライバーも多数参戦!フォーミュラEは超一流ドライバーのサーカスだ。 | FIA フォーミュラE世界選手権 2024/25 第8、9戦 東京

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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若干20歳のルーキー、テイラー・バーナード(マクラーレン・ニッサン)

若干20歳のルーキー、テイラー・バーナード(マクラーレン・ニッサン)

2025年5月17日(土)、18日(日)の2日間、お台場の特設コースで「Tokyo ePrix」が今年も開催されます。「J SPORTS」では今年も東京を舞台にした闘いを余す所なく生中継でお届けします。今回はそのフォーミュラEの見どころ紹介としてドライバーの魅力に迫っていきたいと思います。

今年でシーズン11を迎えた「フォーミュラE世界選手権」ですが、シリーズがスタートした2014年当初から、このレースには元F1ドライバーが多数参戦してきました。古くはヤルノ・トゥルーリ、フェリペ・マッサなど有名なF1ドライバーも参戦していましたし、スポット参戦ではありますが日本人F1ドライバーの佐藤琢磨、小林可夢偉、山本左近らが参戦したこともありました。

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元F1ドライバーの多さから「フォーミュラE」はF1でシートを失ったドライバーの再就職場所と思われがちです。確かにそんな一面はありますが、彼らが二流あるいは三流なのかと問われれば、それは真っ向から否定したいですね。世界に20人しかいないF1ドライバーになれるだけでも超一流ですよ。そして、限られたチャンスをものにしたF1ドライバーの中で、10年以上F1で闘い、F1でドライバーとしてのキャリアを終えるドライバーの方が圧倒的に少ないわけですから、F1の次に別カテゴリーのレースでプロドライバーとして再挑戦するというのはごく自然な道筋だと思います。

フォーミュラEにはこれまで全部で9人のチャンピオンが誕生していますが、そのうち6人が元F1ドライバーです。具体的には初代チャンピオンのネルソン・ピケJr.、セバスチャン・ブエミ、ルーカス・ディグラッシ、ジャン・エリック・ベルニュ、ストフェル・バンドーン、そして昨年王者のパスカル・ヴェアラインです。そしてシーズン7の王者だったニック・デ・フリースはフォーミュラEのチャンピオン獲得で評価が高まり、後にF1のチャンスを掴んだ逆パターンです。これまでチャンピオンを取ったドライバーでF1のレギュラーとして走っていないのはアントニオ・フェリックス・ダ・コスタとジェイク・デニスの2人だけです。

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【決勝 ハイライト】FIA フォーミュラE世界選手権 2024/25 第7戦 モナコ(5月4日)

この事実は元F1ドライバーたちが高い能力を持ち合わせていることを顕著に表す、一つの指標だと思います。そして、そんな彼らに競り勝つことができる「元F1という肩書きを持たないドライバーたち」の存在も忘れてはいけません。限られたシート数しかないF1ですから、実力があったにも関わらずタイミングが合わず、シートをつかめなかったというドライバーは無数にいて、そんなドライバーたちがフォーミュラEでは大半を占めています。

現役ドライバーで言えば、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(ポルシェ)は2012年にレッドブルF1のテストドライバーを務めていましたが、レギュラーシート獲得には至らず、2014年からフォーミュラEに参戦。マカオF3で優勝した経験から市街地コースを得意とする彼は2019年〜20年のシーズン6で見事フォーミュラEチャンピオンに輝きました。

そして、今季3勝をマークし、圧倒的なランキング首位の状態で「Tokyo ePrix」に挑むオリバー・ローランド(ニッサン)はレーシングカート時代からマクラーレンの育成プログラムの一員として青田買いされていたドライバーでした。実はニック・デフリース(マヒンドラ)と一緒に鈴鹿・南コースの国際カートレースに参戦し、優勝を争ったこともあるんです。ローランドはその後、フォーミュラEに軸足を移し、ベテランとなった今、その速さと堅実さで今やこの道で孤高の存在になりつつあります。

また、昨年の「Tokyo ePrix」で優勝したマクシミリアン・ギュンター(DSペンスキー)は早い段階でF1への道に見切りをつけ、フォーミュラEに転向。今年の「Jeddah ePeix」を含む通算5勝をマークしています。ちなみに22歳と200日というフォーミュラE最年少優勝記録はギュンターが持っています。

その記録を今年塗り替えそうなのが、若干20歳のルーキー、テイラー・バーナード(マクラーレン・ニッサン)です。レーシングカート時代にはニコ・ロズベルグに育てられ、昨年モナコのFIA F2でも優勝し、F1への道は近い将来やってくると考えられる高い実力の持ち主です。昨年、マクラーレンで代役出走し、最年少フォーミュラEドライバーの記録を樹立。レギュラーシートを掴んだ今年は7戦終えて表彰台が3回、ポールポジションが2回という大旋風を巻き起こしています。今シーズン中に優勝すればギュンターの最年少記録はバーナードが塗り替えることになります。ルーキーイヤーでここまでやれる実力は只者ではありません。マクラーレンF1はなかなかシートに空きが出なさそうですが、他のF1チームから声がかかってもおかしくないくらいの活躍を見せています。

、昨年ランキング4位を獲得したゼイン・マローニ(ローラ・ヤマハ)

、昨年ランキング4位を獲得したゼイン・マローニ(ローラ・ヤマハ)

また今年のルーキーとしてはFIA F2で優勝も経験し、昨年ランキング4位を獲得したゼイン・マローニ(ローラ・ヤマハ)も本来はF1に乗ってもおかしくない実力の持ち主。まだフォーミュラEにアジャストしきれておらず苦戦してはいますが、その秘めたポテンシャルはいつか花開くことでしょう。

このように近年はF1への道をまだ諦める年齢ではない実力派の若手がフォーミュラEの有力チームに起用される例が増えてきています。その理由は今季のマシン「GEN3 Evo」の進化はもちろん、2026年末から始まるシーズン13に導入予定の「GEN4」カーはさらにポテンシャルが高いマシンであるため、即戦力にもなり、次の時代の覇権を握る可能性のある人材を確保しておこうという動きです。

もはや元F1ドライバーのネームバリューと経験では勝てない時代になりつつあるフォーミュラE。経験豊富なドライバーをいきなり凌駕していく若手たちもまた一流の逸材であり、これからのフォーミュラEの魅力向上を担っていると言ってよいでしょう。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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