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大観衆を集めた今年のWEC富士。
今年の世界耐久選手権(WEC)第7戦 富士6時間レースは、6万人を超える大観衆を集めた。9月も半ばなのに真夏の暑さ。猛暑日までには至らなかったけれど、酷暑は老年のピットレポーターにはきつかった。
今シーズンから一気にハイパーカークラスの参加マニュファクチャーが増えている。そして、各車のパフォーマンスは、毎回変化するBOPによって拮抗する状況が演出されている。富士スピードウェイのサーキットキャラクターによっても第7戦は予選からどのメーカー、マシンが覇権を握ることができるのかは分からなかった。これまでWEC富士で圧倒的な強さを誇るTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は2番手、4番手のスターティンググリッドから決勝をスタートした。これまでも決勝に強みを発揮するTGRが地元の大応援団を前にしてトップでコントロールラインを通過し、チェッカードフラッグを振り下ろされるのかなという予想もあったけれど、そうはいかなかった。時間の経過とともにレースの様相が変化し、予想できないインシデント=FCY、SCによって明暗を分けた。BOPに対して人事を尽くしても天命を待つしかないのかなというシーンが見られたのは事実だったと思う。決勝でトップを争うだけのパフォーマンスを有していたマシンにアクシデント、インシデントが起こって、それ毎に戦況に変化が起きた。今回のレースを取材していて、どれほど素晴らしいレースを展開していたとしても、運に恵まれなかったら勝つことはできないのかという思いを強くした。
近い将来には新たなマニュファクチャーがハイパークラスに参入してきて台数が増えることとなる。現状と同じようにBOPによって拮抗した状況が演出されるのならより複雑なレース展開となった分だけ運が必要になってくるのではないだろうか。こんなことを書くと、毎戦マシンのセットアップに努力している各チームには申し訳ないが、自分たちにはどうすることもできない<タラレバ>の要素も戦略に組み込まなければならないのかもしれない。
このような考えに至るのは、それだけ現在のBOPというシステムが素晴らしい拮抗の状況を生み出しているからだろう。参戦している各チームはレースを終えて虚しさを感じつつも次戦の勝利に向けて進むしかない。WECは、残すところ最終戦のみ。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会会長。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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