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SUPER GT第3戦GT500クラスを制した37号車Deloitte TOM’S GR Supra
パリ五輪が始まりましたね。
フランスのエスプリを効かした開会式の模様は、これまでの大会とは趣を異にするもので、ボクはいくつかの点で<これは相応しくないのでは…>というものがあった。
スポーツの祭典とされる五輪。スポーツであるから頂点に立つこと、金メダルを獲得することに注目が集まり、メディアはその点に喧しい。日本代表の選手が様々な競技でメダルを獲得する可能性があるため報道として、それを扱ってしまうのは仕方がないのか。
この小欄を書いている7月31日時点で日本は金メダル7つを獲得している。それは素晴らしいことなのだけれど、メダル獲得の歓喜以上に開会4日目でスポーツの厳しさ、酷さも見せられている。ご存じ、金メダル獲得が確実しされていた柔道競技の女子52キロ級。そしてフェンシングの女子サーブル個人であえなく敗退、メダルの可能性を失った。水泳女子バタフライ100Mでは、準決勝で敗退した2019年に白血病を発症してしまった選手の「頑張ってきた分、無駄だったのかな」というコメントがあまりにも切なすぎた。スポーツには勝者がいて敗者がいる。参加する選手全員が勝者であることなどあり得ない。勝者は大きな喜びを感じ、敗者は悲しみ、悔やみ、落胆、嘆き…喜びとは、反対の気持を感じることになる。皮肉なことにその選手が積み重ねてきた努力、経てきた時間の分だけネガティブな思いがのし掛かるのだろう。
モータースポーツもスポーツ。
何十台の参加車両がいようが勝つのは、1台とそのクルマをドライブしたドライバー(コ・ドライバー)だけ。他のスポーツと同じく勝者以外はみな敗者。しかし、モータースポーツは、五輪競技とは違う。一番違うのは自動車を使う点だ。道具=クルマを造り、調整(セッティング)、戦略(ストラテジー)がベースにあって、それを最終的にドライバーがゴールまで操り、突き進む。クルマ作りには自動車メーカー/レーシングカーメーカーの力があり、調整にはデータと最適なセッティングを生み出すエンジニアの頭脳が必要であって、戦略には状況を的確に判断する監督とスタッフによる競技の流れを読む力がなければならない。そして競技中には、整備とタイヤ交換などクルマを支えるメカニックたちの作業パフォーマンスが勝敗の分かれ目となることもある。モータースポーツの勝ち負けの背後には、ドライバーの何倍もの思いが詰まっている。
今週末のSUPER GT第4戦富士は、シリーズの中盤戦。この一戦においても勝者が生まれると同時に多くの敗者がドッと生まれる。五輪開催の最中にモータースポーツにおける勝者と敗者を見つめ直そうと思い、富士に向かう。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会会長。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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