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「そこから差を詰めていくには、ミスを恐れずにアクセルを踏むしかないと思って、守りに入らないようにしてアタックしたら、スプーン2つ目で少しリヤが滑りました。ミスというよりは攻めた結果です」
37号車担当の小枝正樹エンジニアによると、セクター3とセクター4で0.3秒くらいのロスがあったのではないかとのこと。仮にスプーン2つ目がうまくいっていれば、2番手タイムを出せた可能性もあった。そう考えると、悔やまれる結果といえばそうなのだが、宮田自身はネガティブに捉えることなく、決勝での不安要素を克服するために動いていた。
第9戦の予選が終わった後、明らかにサーキットは「ローソンのポール獲得で、チャンピオン争いがますます面白くなった」という雰囲気になっていたが、当人たちにとっては、大きな変化はなかったのだ。
【チャンピオンを大きく手繰り寄せた“スタート直後の2コーナー”】
宮田は見事なスタートダッシュを披露した。
白熱の予選から約4時間後。第9戦決勝レースに向けたスタート進行が始まった。“今回は三つ巴のチャンピオン争い”、“F1帰りのリアム・ローソン参戦”、“エンジョイホンダ併催”、“ABEMAでスーパーフォーミュラ広報大使を務める日向坂46・富田鈴花さんによる国歌独唱”と話題が盛りだくさんなこともあり、2万5500人が来場。最終決戦の行方を見守った。
昨年からマシンがグリッドへ試走する際、予選トップ3が最後にコースインする演出がされているが、今回はランキングの3位、2位、1位の順にコースイン。ローソンと野尻がピットを後にすると、少し間を置いて宮田のマシンが動き出した。普通なら、そのままゆっくりとピットアウトするのだが、初チャンピオンに王手がかかったポイントリーダーは、ピット出口脇にマシンを止め“最後のスタート練習”を敢行。いつもにも増してスタートに対して入念に準備している宮田に、会場の緊張感も一気に高まった。
この時期の鈴鹿サーキットは、偶数番グリッドが並ぶイン側が日陰になる。いつもアウトオブキッザニアのお仕事体験プログラムで、スタート前の気温と路面温度を測るという体験枠がある。そこに参加している子どもたちに協力してもらい、アウト側(日向)と、イン側(日陰)をそれぞれ計測してもらった。その結果、路面温度に5℃(アウト側が路温31℃、イン側が26℃)の差があることが分かった。
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