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偶数列の4番手からスタートする宮田は、普段からあまりスタートダッシュを得意としている方ではない。おそらく先行していくであろうローソンや野尻に対して、どのような戦略で追い上げてくるか…そんなことを予想しながら、レース開始の時を迎えた。
すると、宮田は勝負どころの最終戦で見事なスタートダッシュを披露。逆にポールポジションのローソンが少し出遅れ、真後ろの野尻が行き場を失って減速した。その一瞬の隙をついた宮田は、2コーナーでアウト側から野尻を抜いて3番手に浮上。ローソンも2番手に下がったことから、このままの順位でいけば宮田がチャンピオンになる計算。ある意味で“第9戦のスタート”がチャンピオンの行方を決定づけたと言ってもいい瞬間となった。
レース後、37号車担当の小枝エンジニアに取材していると、普段は36号車を担当している大立健太エンジニアが、宮田のスタートデータを伝えに来た。その数値を聞いて「良いね!」と小枝エンジニアも驚くほど。それだけで彼のスタートダッシュが良かったということだろう。
さらに、名門トムスのチームワークも大一番で存分に発揮された。前日の第8戦で笹原が大クラッシュを喫し、第9戦は欠場となった。自分たちの担当するマシンがなくなった36号車のメカニック・エンジニアたちは、急きょ37号車のサポートにまわったのだ。
大立エンジニアをはじめ36号車エンジニアチームもサポートに入り、戦略面を中心に担当。その分、小枝エンジニアは宮田が必要とする情報を迅速に伝えることに集中でき、ピットストップのタイミング判断も的確に行えた。
結局、スタートから順位が大きく変わることはなく、3位でチェッカーを受けた宮田。今季6度目の表彰台で、念願のシリーズチャンピオンに輝いた。
「正直、今年はチャンピオンを獲れると思っていませんでした。スーパーフォーミュラにデビューしてから優勝とポールポジションを獲れていなかったので、それを獲るためには何をすべきかをチームと一緒に考えてきました。(第3戦の)鈴鹿で優勝することができて、それからクルマにも自信がつきましたし、僕としてもドライビングやメンタリティーの部分も自信がつきました」
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