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吉田広樹選手(No.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT)「抜かれたらごめん。だけど、これで行くしかない」 | SUPERGT 2023 第6戦 SUGO【SUPER GT あの瞬間】
モータースポーツコラム by 島村 元子多分、上位にいるチームは、(タイヤ)2本交換なり4本交換を絶対すると思ってたんです。だから、僕らは無交換は厳しいけれど、2本交換で一旦前に出て、あとは後半きつくはなっても、“耐えれるか、抜かれるか”っていうところで勝負ができたらと。抜かれたとしても、もう僕らにはそれしか前に出る方法がなかったんです。あのときは、“後半にきつくなるからやらない”という選択肢はなかった。“抜かれたらごめんね。だけど、これで行くしかないね”っていう作戦を立てていました。
── ピットインを終えたクルマの中でトップ……いわゆる“裏の1位”に立つ一方、レースは35周目に赤旗中断となり、広げてきたギャップが事実上消失。再開後、56号車や18号車の存在は意識していましたか?
吉田:一番怖かったのは、56号車(リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R)と18号車が、セーフティカー中に(ピットに)入った時(※1)、僕らの前に出るかもっていうことでした。『今、(56号車と18号車がピットで)作業してる』って無線でやり取りをしたんですけど、もちろんセーフティカー中なんで、僕は前のクルマを抜けないわけです。目の前に1台いたクルマがペースを上げてくれないと、その間に……(SC直前にピットインした)18号車と56号車に前に出られちゃうと思ったんで、(前方車両に)パッシングしました。伝わったかどうかわかんないですが、セーフティカー中ながら、無理のない範囲でペースを上げてもらえるように、と思って(パッシングを)やりました。ちょうど2コーナーを立ち上がって、3コーナーに入る時……3コーナーの出口には作業が終わったばかりの56号車がいて……。ほんとに1秒、2秒の差で、ギリギリ前に出られました。まずは、僕たちの目標が、 ギリギリで成り立ったっていう感じでした。そういう意味ではそこがひとつのキーポイントだったかなと思いますね。まぁ、“後半抜かれたらごめんね”、みたいな状況には違いなかったですけど(笑)。
※1:No.56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rは、赤旗の原因となったNo.100 STANLEY NSX-GTのクラッシュ発生直後、セーフティカー導入の前にピットイン。ルーティン作業を終えた。18号車も同じタイミングでピットインし、作業をしている。
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