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モーター スポーツ コラム 2021年8月12日

ジェンダーについて

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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8/8に閉幕したTOKYO 2020オリンピック。

日曜日(8月8日)にTOKYO 2020オリンピックが閉幕しました。
なんやかんやと問題を抱えつつ、開幕へまっしぐら。大会中にも問題を解決しつつ、閉幕までなんとかたどり着いたという感があります。開幕の直前になってボランティアを辞退した身としては、偉そうに批判はできませんが、辞退したのに連絡メールが届き、その内容を読むと、ボランティアに対する処遇におどろかされることが多々ありました。

さて、開幕前の女性蔑視とされる差別的な言動で組織委員会のトップが交代したり、開会式の主要スタッフが急遽辞退せざるを得なかったり。それも<差別・蔑視>というキーワードが・・・。特にジェンダーに関することを強く意識させられたオリンピックでした。

TOKYO2020のテレビ中継でMCさん達は、アスリートのパフォーマンス表現にとても注意を払っていたということを知りました。男性、女性、LGBT、そのいずれの性に対する差別的な表現にならないようにしていたのだそうです。

その中に「男らしい」という表現もまずいものだと知ってちょっとビックリ。子供の頃に母から年がら年中「男でしょ、メソメソしない!男らしくしなさい」と言われてきた自分が居ました。今だったら、母親に<母上、それは、性的差別に当たるコメントですので、訂正とお詫びをお願いします>と言わなくてはならない。でも、かなりの確率で「何を言っているの!バカね、男ならしっかりしなさい」と言われて、ハイ終わり。

時として、ここでは到底書けない表現の言葉が飛び出す。今から考えれば、<母上、それはご自身の性も侮辱する表現だと思われますが・・・>と返さなくてはならないものでした。内容はご想像にお任せします。親の時代のステレオタイプ。それが大きく変わってきて、大きな問題に発展してしまうかもしれないという怖さを感じる今日この頃です。ステレオタイプも時代によって変化するものなのですね。

モータースポーツの中継において、コメント表現をディレクターやプロデューサーから指摘されて、使わないこと/改めることはあります。視聴者の皆さんに誤解を与える、不快感を抱かせる表現は、まずいのは当たり前。ボクが仕事をいただいているピットリポートでは、コメント云々よりも女性リポーターの存在は、男性よりも遥かにタレント性が高いと思っています。男性では難しいことも成し遂げる。緊迫した状況の中でも関係者からコメントを引き出したりする能力。それは、男性と女性というジェンダーの違いに存在する関係性、ケミストリーが発生する故に成せる技なのだと思いますが、咄嗟の判断にしてもボクにはできないと思うことが多いです。

そして、父の言葉を思い出す。「女性は、男には絶対できないことができる。だから女性は凄い、大事にし、敬え」

文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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