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2016年、GT300チャンピオンを獲得。親子で流した涙はファンの感動を呼んだ。
晴れの国、岡山は、今年本当に【晴れの国】でした。
SUPER GTの開幕戦は、素晴らしいトップ争いでした。同い年山下健太選手と坪井翔選手。25歳のドライバーがデッドヒートを繰り広げてくれました。健太選手のブロックラインは、何度かかなり厳しかったけれど、レースダイレクターの判断は、【クリアー】でした。
このエッセイは、ある方とお別れをしてきてから書いています。
土屋春雄さんさんと、お別れをしてきました。
日本を代表するレーシングチーム、日本で一番長い歴史を持つ、つちやエンジニアリングの総士です。今年50周年を迎える同社。そして、開幕戦に合わせてムック本が発刊しました。「打倒ワークス」掲げ続けて50年。
現代表の土屋武士氏から決勝日の午前中にこのムック本を手渡ししていただきました。
土屋武士、ご存知ですよね。レーシングドライバーであり、エンジニアであり、つちやエンジアリングの代表です。ちょうどチームがピット前で記念撮影をしていたのを横からスマートフォンで盗み撮りしていました。その時に武士氏から声をかけられ、本をいただいた。
安らかに眠る春雄さんの横で、武士氏、弟(吉弘)さんと言葉をかわしていて、そのスマートフォン内の写真を見せると、時刻が11時05分。春雄さんがご逝去されたのが11時13分。吉弘さんが「ちょうど、父が開幕戦を見に岡山に行こうと準備していた時刻ですね。もう行ってしまっていたのかな」と笑顔で写真を覗き込んでくれた。「本当に眠るように逝ってしまいましたから。前の日も意識が遠くなることがあって、岡山からミッションが壊れたという情報があって、その後ミッションは大丈夫だったみたいだよ、と声をかけると意識が戻ったのです。壊れたと聞いて、岡山に行っちゃおうとしていたのでしょうね。でも大丈夫だったから戻ってきてくれた(笑)」と吉弘さん。
武士氏が「最後の最後まで心配で、岡山に行こうかどうしようかヤキモキしていたのでしょう(笑)。最後は、やっぱり見に行こうと、飛んで行ってしまったのでしょう」
今年50周年を迎えるつちやエンジニアリング。岡山での開幕戦は7位だった。
土屋春雄さんのこと、つちやエンジニアリングのことは、この小欄では到底書き尽くせるものではありません。株式会社 三栄刊のムック本をご覧ください。
ガレージにお邪魔して春雄さんに質問すると、言葉は決して多くなく、端的な言葉が返ってきた。そのほとんどの返答は、細かな点は自分で調べて勉強すれば分かるよ。という意味の笑顔に包まれていた。サーキットの現場では、挨拶はガレージと同じ笑顔。しかし、厳しい勝負師の顔も。
享年76歳。
合掌
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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