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モーター スポーツ コラム 2020年8月21日

37年前、イギリス、バース

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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写真はイメージです。

イギリスの古都バース。

冬のイギリスは、朝が遅く、夜が早い。常にどんよりとしていて、小雨まじりが当たり前。

その日の午後も曇り空の下でWRC最終戦RCAラリーの車検場へ歩いて向かっていた。街のスポーツセンターへはエイボン川沿いの小道がセンターへの近道と思って歩いていたのだが、それは違っていた。道案内したスタッフの一人が良かれと思って選んだのだが・・・。

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ボクとスタッフそして、チーム監督。突然監督が怒り出した。チームの車検の場に監督が間に合わないのを恐れて、スタッフを罵倒しまくった。その様を見て、今度はボクの怒りが爆発した。自分勝手な人とは分かっていた。しかし、監督が車検に間に合わなくとも他のスタッフが競技車と共に先に車検場に到着している。少し遅れても大きな問題ではないと思った。怒りをぶちまける監督に対して、自分でも驚くほどの大声で彼の怒りは自分勝手すぎると反論した。その途端、ボクはその場で【クビ】になった。監督たちとは反対の方向を歩み始めて、宿へ帰りはじめて数分。イギリスまで来て何をしているのだと考え直した。監督に謝るつもりは毛頭なかった。違う道を走ってセンターに到着して、まさに今車検を受けているところに合流。謝りもしなかったけれど、拒否もされなかった。

その翌日から5日間のラリーが始まり、バースから一気に北上してスコットランドまで行って、ウエールズを経て再びイングランドの地に帰ってきた。スタートポジションと同じ両側に古い建物が並ぶメインストリート。大きな拍手と共に迎え入れられたわれわれの競技車。カーナンバーは120。競技が進むにつれて上位へ進み、終わってみれば、グループAのクラス7優勝。初出場の海外ラリーでの快挙だった。

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ラリーが終わったその晩。ホテルでささやかな祝勝会。

その際に監督が、小さな箱を手渡してくれた。中にはSEIKOの初代クロノグラフが入っていた。インターナショナルアライアンスのOPEL社チームの監督と面会を予定していた。プレゼントとして持参した時計。けれど、それが叶わず、残った時計をボクにくれた。クラス優勝に貢献したからいただけたのかな?

参戦車両のいすゞASKA2000ターボ。FF車の新時代を切り開いた。ASKAは他社のOEM供給を受けながら、いすゞが販売した最後のセダンとなった。

1983年世界ラリー選手権最終戦RACラリー。チームいすゞ。車両ASKA。高柳泰雄監督の訃報が先週伝えられた。ラリー競技にスタッフとして参加するチャンスをいただいた。ラリーの期間中は大変で辛いことも多かったけれど、それよりもラリー競技の面白み楽しさを味合わせていただいた。お礼申し上げます。近年はお会いすることもありませんでした。ご冥福を祈ります。合掌。今年のお盆に37年前のことを思い出した。

文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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