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ナルバエス29歳、エクアドルのナンバーワンに。アクシデントで目標修正したチームの期待に応える|ジロ・デ・イタリア2026
サイクルロードレースレポート by 山口 和幸第2ステージでチームは総合優勝を断念、ナルバエスも落車している
まさかのアクシデントで自分のために動けるように
もし第2ステージの終盤で大落車が発生しなければ、ジョナタン・ナルバエスはエクアドルナショナルチャンピオンではあるものの、エースナンバーを着けるアダム・イェーツ(英国)の山岳アシストが任務だった。しかし大会2日目にチームの頼れるマルク・ソレル(スペイン)とジェイ・ヴァイン(オーストラリア)が傷ついてリタイア。イェーツも翌日にスタートできなかった。チームは総合優勝を目指すことをこの時点であきらめ、ステージ勝利の量産に方向転換した。
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「脚力やパワーだけでは勝てない。目の前で落車事故が発生し、それを避けるには高度な技術が必要だ。序盤でチームメート3人がリタイアし、すべてを台なしにする可能性があった。目標修正しても難局を乗り越えられるわけではない。でもこのチームはうまく立て直し、第3ステージ以降、新たなジロ・デ・イタリアの物語を紡ぎ出すことができた」(ナルバエス)
開幕地ブルガリアからイタリアに渡った第4ステージでナルバエスが少人数のスプリント勝負を制して2年ぶり3勝目を飾った。第8ステージではチームメートのミッケル・ビョーグ(デンマーク)、そして3年前にジロ・デ・イタリアでマリアローザを5日間着用して名を馳せたウノエックス・モビリティのアンドレアス・レックネスン(ノルウェー)とともに3人で抜け出した。
ビョーグが献身的にナルバエスを逃げに乗せ、数的優位に立たせた
ビョーグが献身的に走った。残り10km地点でナルバエスが独走し、レックネスンを振り切って独走勝利した。
「これまでのキャリアで、ミハウ・クフィアトコフスキやルーク・ロウのような優秀な選手から多くのことを学んできたので、今ではアタックを仕掛けるタイミングが分かるようになった。ただし、ほとんどの仕事をこなしてくれたビョーグがいなければ、勝てなかった」(ナルバエス)
イネオス時代にクフィアトコフスキらから走りを学ぶ
2017年にエリートロードのエクアドルチャンピオンになり、2018年にワールドチームのクイックステップに初加入。2019年にイネオス(当時の名称=以下同)に移籍して、ジロ・デ・イタリアのアシスト役として起用された。2025年にツール・ド・フランス、2021・2024年にブエルタ・ア・エスパーニャにも出場しているが、ジロ・デ・イタリアでは常連を務め、今大会が6回目の参戦だった。
第4ステージでは少人数のスプリントを制す
2020年のジロ・デ・イタリアはパンデミックにより10月に開催が延期されたが、冷たい雨に見舞われた第12ステージで初優勝を果たしたのが過酷な気象条件に強いナルバエスだった。一緒に走っていたバーレーン・マクラーレンのマーク・パデュン(ウクライナ)がパンク。「パデュンがパンクしたとき、チーム監督から待つようにと指示されたが、レース途中のアドレナリンでステージ優勝に突き進んでいると感じていた。長い間ステイホームを余儀なくされたので、ジロ・デ・イタリアを走ることが楽しかった。本当に素晴らしいレースだった」
2021年の東京五輪男子ロードにエクアドル選手は2人しか出場していないが、金メダルを獲得したのがリチャル・カラパス。そしてもう1人が4つ歳下のナルバエスであり、後続集団の47位でフィニッシュしている。
2025ジロ・デ・イタリアはナルバエスの強さが初めて注目されたレースだった。第1ステージでボーラ・ハンスグローエのマキシミリアン・シャフマン(ドイツ)、UAEエミレーツのタデイ・ポガチャル(スロベニア)とのゴール勝負を制して優勝し、初日にマリア・ローザを獲得したからだ。
「ポガチャルが世界最強の男であることは分かっていた。ポガチャルをマークしていたけど、ついていくのは大変だった。自分の戦いに持ち込む必要があった」とゴール後の勝利者インタビューで語った。
翌日にはポガチャルに首位の座を奪われ、そのポガチャルは最終日までマリア・ローザを独占することになるが、翌年にUAEチームエミレーツ・XRGに引き抜かれたのはナルバエスだ。
ステージ通算5勝で母国英雄カラパスの4勝超え
そして2026ジロ・デ・イタリアで新たなページがめくられた。第11ステージでナルバエスがモビスター チームのエンリク・マス(スペイン)との一騎打ちを制し、第4・第8ステージに続く今大会3勝目、大会通算5勝目をあげることになる。
ナルバエスはジロ・デ・イタリアでこれまでのカラパスの4勝を上回り、初めてステージ5勝を手にしたエクアドル選手となる。2020年のカイセドの1勝を含めるとエクアドル選手のステージ優勝はこれで10回となった。
今大会3勝目!
「才能だけではなく、ジロ・デ・イタリアに向けて準備してきた努力も重要。第11ステージはスタートから全力疾走になることは分かっていた。ブレークアウェイに参加するつもりでスタートしたが、3回もチャンスを逃してしまったので、チーム全員の力を借りてブレークアウェイに持ち込む必要があった。後方から集団が追い上げてきて、最後は一騎打ちにならないのではないかと不安になったが、特に誰かを恐れていたわけではない。ここまで3勝を挙げることができて本当にうれしい」
第2ステージではXDS・アスタナ チームのギリェルモ・シルバがウルグアイ出身選手として初優勝。マリア・ローザも手中にした。コロンビアを含めていま最も伸び盛りの南米大陸勢。そのリーダーシップを取るのがエクアドルチャンピオンのナルバエス。大会後半の超難関ステージでも台風の目となるか?
文:山口和幸
山口 和幸
ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。
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