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サイクルロードレース コラム 2026年5月18日

最終盤にステージ優勝狙いに切り替えたヴィンゲゴー ステージ2勝目を挙げマリア・ローザとのタイム差を縮める|ジロ・デ・イタリア2026 レースレポート:第8ステージ

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ジロ・デ・イタリア

大会2勝目で休息日を迎えるヴィンゲゴー

大会第1週最後の3日間は、連続で山頂決戦。前日は逃げ切りが容認されたが、第9ステージは2日前と同様に総合系ライダーによる優勝争いへ。ここへきて2強との見方が強くなりつつあるヨナス・ヴィンゲゴーハンセンチーム ヴィスマ・リースアバイク)とフェリックス・ガル(デカトロン・CMA CGM チーム)とのマッチアップになって、フィニッシュ前900mでアタックを成功させたヴィンゲゴーに軍配。第7ステージに続く今大会2勝目を挙げるとともに、マリア・ローザをキープしたアフォンソ・エウラリオ(バーレーン・ヴィクトリアス)との総合タイム差を2分24秒として第2週へと向かう。

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第1週最終日は1級山岳頂上フィニッシュ

イタリア半島を北上しているプロトン。この日はアドリア海に面したチェルビアを出発し、すぐに内陸部へ。レイアウト的には少しずつ上っているように見えるが、選手たちからすればさして気になるような勾配ではないはずだ。

それが一変するのは、160km地点を過ぎたタイミング。3級山岳クエルチョーラ(登坂距離11.3km、平均勾配4.3%、最大勾配15%)を上り、ほんのわずかばかり下ったのちに勝負どころとなる1級山岳コルノ・アッレ・スカーレへ。登坂距離10.8km、平均勾配6.1%の登坂は、ところどころで10%前後の急坂が顔をのぞかせる。フィニッシュ前2kmで、最大勾配15%区間をこなすことになる。レース距離は184km。

「逃げが容認されるのでは?」とのスタート前の予想を示すように、リアルスタート直後からアタックとキャッチの繰り返す。一時的に3人が先行を続けると、40km地点を過ぎようかというところでエイネル・ルビオ(モビスター チーム)らが含まれた追走グループが形成される。先頭3選手が後ろの動きを待ったこともあり、早々に最大8人の先頭グループへ。メイン集団はリーダーチームのバーレーン・ヴィクトリアスとデカトロン・CMA CGM チームがコントロールを担った。

ジロ・デ・イタリア

チッコーネのブリッジに着いていったのはウリッシとアールツ

しばらくは先頭グループとメイン集団とがタイム差2分台後半で推移していたが、110km地点に待っていた無印の登坂区間でジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック)がアタック。2選手を引き連れてペースアップを図ると、労せず先頭グループに合流。11人のリードに膨らむが、集団とのタイム差は大きな変動がないまま進行をしていった。

劇的な変化がないままレースは終盤戦へ。いよいよ山岳区間へと入っていくと、3級山岳クエルチョーラでルビオがアタック。これをチェックしたのが5選手。おおよそ半分の6人に絞り込まれた先頭グループではルビオが攻めの姿勢を貫き、3級山岳の頂上を1位で通過している。

この日のレッドブルKM(172.6km地点)直前にチッコーネがアタックすると、唯一ついていけたのはルビオ。ルビオ、チッコーネの順にレッドブルKMを抜け、その後も逃げ切りにかけて登坂ペースを維持していった。

ヴィンゲゴーはキャリア通算50勝目

さして意識せずともメイン集団は先頭2人とのタイム差を縮小傾向とする。デカトロンとヴィスマが前を固めてペースメイクをすると、ジュリオ・ペリツァーリ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が少しずつ集団内のポジションを下げていく。また、マリア・ローザのエウラリオも位置の上げ下げを繰り返して安定しない。

先頭では、頂上まで7.5kmのポイントでチッコーネがアタック。ルビオも懸命に追うが、勢いはチッコーネが上回っている。さらに1.5km進んだところでチッコーネとメイン集団との差は1分9秒。逃げ切りか、集団が加速してチッコーネに迫るか、きわどい状況となった。

集団牽引がデカトロンからヴィスマに代わったところで、ペリツァーリとエンリク・マス(モビスター チーム)が後退。この状況を知ってか知らずか、ヴィスマは集団のペースを引き上げていく。残り2.5km、ヴィスマのアシスト陣をかわしてアタックしたのはガル。「ガルが最大のライバル」と直々に指名したヴィンゲゴーが番手につけた。

ジロ・デ・イタリア

フェリックス・ガルのアタックにヴィンゲゴーが着いていく

「本当は自分からアタックするつもりはなかったんだ。ただ、急勾配の部分がマップで見たより長く感じて、これはみんな苦しんでいるんじゃないかと思ったんだ。ハードな展開にしてみようと思ったのと、自分自身への挑戦だった。結果的にはうまくいったと思う」(ガル)

ガルは自身の背後につくヴィンゲゴーを気にする素振りを見せているものの、登坂ペースは変わらない。逃げ切りに賭けていたチッコーネは、フィニッシュ前1.8kmでガルとヴィンゲゴーに追いつかれてしまった。

こうなると、ステージ優勝争いはガルとヴィンゲゴーに絞り込まれる。最後の1kmを切ってもガルが前を走り続けたが、残り900mでヴィンゲゴーがついに腰を上げた。

「スタート前は優勝を狙うつもりではなかったのだけど、走っているうちにチャンスがめぐってきていることに気づいたんだ。それからは全力で踏んだよ」(ヴィンゲゴー)

この900mだけでヴィンゲゴーはガルに対し12秒つけることに成功。もはやおなじみとなったバイクと家族に向けたキスでウイニングセレブレーション。第7ステージに続く、今大会2勝目を挙げた。

「これがプロ通算50勝目。間違いなく大きな節目を迎えたよ。僕にとっては信じられない数字だし、本当にうれしい。ジロで2勝を挙げられたのも特別だよ。チームとしては1人少ない状況だから、もう少しディフェンシブに走っても良いと思っていたんだ。そうしたら、デカトロンが牽引を担ってくれたから、良いペースで上りに入ることができた。力強い走りをしたフェリックス・ガルにも感謝しているよ」(ヴィンゲゴー)

ヴィスマは、山岳最終アシストを務めたダヴィデ・ピガンゾーリがステージ3位の好走。右の拳を突き上げて、チームの強さを誇示してみせた。

「ピガンゾーリの3位は自分のこと以上にうれしい。彼はナイスガイで、チームメートとして誇らしい存在だよ。個人・チームともに総合成績は良い状態にあるのは、彼らの努力のおかげだよ」(ヴィンゲゴー)

ジロ・デ・イタリア

区間勝利が欲しいチッコーネ

最終局面で先行を許してしまったガルだけど、その走りには満足しているという。超人的な強さを誇るヴィンゲゴーに対峙し、その他ライダーたちには先着した。

「レベルの高い走りを見せられたと思う。僕より前を走ったのはヨナスだけだからね。その事実がうれしいよ。ヨナスにアタックされた瞬間は悔しかったけど、少し時間が経ったら“まぁ良いかな”という気分になっているよ(笑)」(ガル)

第10ステージでのヴィンゲゴー首位浮上は既定路線?

デカトロンとヴィスマの牽引で集団内でのポジションを下げていたエウラリオだが、粘りの走りでステージ5位。ヴィンゲゴーから41秒差でまとめて、総合タイム差2分24秒で第1週を終えた。第2週初日(第10ステージ)が42kmの個人タイムトライアルだが、ここでマリア・ローザを手放すのは織り込み済みだとたびたび口にしている。もっとも、ピンクのまま第1週を終えることが目標だったというから、まずは大成功である。

「ここまでは完璧だったよ。僕のジロはいったん終わり。マリア・ローザを着て休息日を迎えることができる」(エウラリオ)

実は、この活躍を受けてポルトガルから家族が急遽イタリアへわたることを決めたという。ただ、あまりに急な決定だったので、第10ステージには間に合わないという。「マリア・ローザを着た姿を見せることはできないと思う」とはエウラリオ談だが、5日間に渡って首位を走ったその事実を共有はできる。24歳にとって、最高のジロ・デ・イタリアを演じている。

なお、この日はヴィンゲゴーの走りによって多くの総合系ライダーがタイムを失うことになったが、ペリツァーリのタイムロストが一番大きなものとなった。このステージだけで1分28秒差をつけられてしまったが、何やら胃の調子が悪かったのだとか。休息日を経て、回復させられるかどうかが、この先上位争いをするうえでのポイントになる。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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