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サイクルロードレース コラム 2026年5月30日

過去2大会でデンマーク勢はステージ勝率25%!ジロ・デ・イタリアはもう北欧勢を無視できない|ジロ・デ・イタリア2026

サイクルロードレースレポート by 山口 和幸
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1971ジロ・デ・イタリアを北欧選手が制していた

ジロ・デ・イタリア

チームメートの勝利にガッツポーズのヴィンゲゴー

ジロ・デ・イタリアで現在最も注目されているのがデンマーク、ノルウェー出身の選手たち。まだ国際的ではなかった55年前には、スウェーデン勢がこの大会で総合優勝している。熱きラテンの大地で活躍する北欧スカンジナビア3カ国にスポットを当ててみた。

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2026ジロ・デ・イタリアでは第19ステージを終了した時点で、国別のステージ勝利数は地元イタリアの3勝を抑えてデンマークがトップの5勝(チーム ヴィスマ・リースアバイクヨナス・ヴィンゲゴーハンセン4勝、EFエデュケーション・イージーポストのミケル・ヴァルグレン1勝)。

2025年もデンマークはマッズ・ピーダスンが4勝、カスパー・アスグリーンが1勝していて、2025年の第1ステージから2026年の第19ステージまでの40ステージ中なんと10勝。つまり勝率は25%になる。2026年第17ステージのヴァルグレンの勝利はデンマーク勢にとって大会通算24勝目となり、国別の勝利数ランキングで12位に急浮上した。

ノルウェーのフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ウノエックス・モビリティ)も1勝を挙げている。今回の第14ステージからスカンジナビア出身選手が4ステージ連続で勝利を収めるというジロ・デ・イタリア史上初めての記録も誕生した。ヴィンゲゴー、ドゥヴァーシュネス、ヴィンゲゴー、そしてヴァルグレンでステージ4連勝だ。

ジロ・デ・イタリア

逃げ切り勝利をしたドゥヴァーシュネス

サイクルロードレース界で最初に頭角を現したのは、実はデンマークではなくスウェーデンだ。1910年代〜1920年代にハリー・ステンクヴィストが1920アントワープ五輪の男子個人ロードレースで金メダルを獲得している。グランツールでスウェーデン選手が初めて総合優勝したのは1971年。イェスタ・ペーテルソンがジロ・デ・イタリアで総合優勝。スウェーデン選手の総合優勝はこの時が初めてで、今日においても惟一の記録だ。

デンマークは世界のサイクルシーンの先頭を走る

デンマークが自転車強豪国となった立役者はビャルヌ・リースだろう。1996年のツール・ド・フランスで前人未到の6連覇を狙ったスペインのミゲール・インデュラインに待ったをかけ、リースがデンマークに初めてマイヨ・ジョーヌをもたらせた。

リースとほぼ同じ時代、ワンデーレーサーとしてロルフ・ソレンセンがいて、ロンド・ファン・フラーンデレンやリエージュ~バストーニュ~リエージュで優勝。

これらの活躍がきっかけで、デンマークに自転車ブームが到来した。比較的平坦な地形もあって、スポーツの道具としてだけでなく日常の足として定着。近年は地球温暖化防止策の決め手として、国をあげて自転車に快適な都市整備を実施。多くの国民が自転車に愛着心を持っていて、首都コペンハーゲンは世界随一のサイクルシティへと発展していく。

2022年にデンマークのコペンハーゲンはツール・ド・フランス開幕地ともなった。世界一のサイクルシティ。どんな道にも自転車専用レーンがあるのだが、その幅員は2人のサイクリストが並走しながらゆっくり会話している脇を、別のサイクリストが追い抜ける広さが基準だという。食料品の買い出しもカーゴをつけた三輪車があればクルマを使う必要はない。これだけ快適に移動できたら市民は自転車を使うはずだ。その効果は絶大で、首都なのに緑が多く、空気が澄んでいることにも気づいた。

ジロ・デ・イタリア

グランツール初優勝をしたヴァルグレン

それと同時に多くの若者たちがプロ選手としてのサイクルロードレーサーを目指してこの世界に飛び込んできた。デンマークは後にツール・ド・フランス覇者を輩出することになる。

ノルウェーチャンピオンの名誉にかけて勝利を狙い続けて

2026年にUCIワールドチーム昇格を果たした北欧拠点のチーム、ウノエックス・モビリティ。所属はノルウェー21選手、デンマーク9選手のみで構成されるが、今回のジロ・デ・イタリアには全ノルウェー選手で挑んだ。ゼネラルマネージャーは2010年の世界チャンピオン、ツール・ド・フランスで2度のポイント賞獲得などノルウェーの自転車ロード黎明期を築いたトル・フースホフトだ。

大会で連日存在感を見せつけているのは、ノルウェーのナショナルチャンピオンジャージを着用するアンドレアス・レックネスン(ウノエックス・モビリティ)だ。2023年のジロ・デ・イタリアでは、第4ステージから第8ステージまでマリア・ローザを着用し続け、世界のトップクラスに名を連ねた。2025ツール・ド・フランスでも逃げを見せるなど常に攻撃する姿勢が信条。

今回はここまで第8、第13、第17ステージとわずかにステージ優勝を逃して2位。しかしいつ大勝利を修めても不思議ではない才能だ。

ジロ・デ・イタリア

勝利にあと少し手が届いていないアンドレアス・レックネスン

欧州を主戦場とするサイクルロードレースは時代によって活躍する大陸が変遷していく。かつては南米コロンビアのアマチュアチームが主催者推薦でツール・ド・フランスに参加し、高地で生まれ育った才能をアルプスやピレネーで開花させた。グレッグ・レモンがツール・ド・フランスを3勝して米国やカナダでロードバイク旋風が巻き起こり、ベルリンの壁崩壊により旧東ドイツや旧ソ連勢が西側に。続いて南半球のオーストラリア。さらには東欧に勢力が移り、スロベニアが自転車大国ベルギーと肩を並べるほどに躍進した。

グランツールに関しては開催国の選手が総合優勝できない時代が続くが、それでも沿道の観客は途切れることがない。世界中で多くの人たちが気軽にペダルを漕ぐ。そんな機材でとんでもなく速く走るプロレースがある。さまざまな民族がいるからさまざまなエピソードが生まれ、レースをますます興味深いものにしてくれる。世界中に浸透している自転車だからこそその魅力は尽きない。

文:山口和幸

山口 和幸

ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。

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