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サイクルロードレース コラム 2026年8月17日

ポガチャル参戦で勢力図が激変 グランツール史上最も過酷と言われる3週間|ブエルタ・ア・エスパーニャ2026

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ブエルタ・ア・エスパーニャ

マイヨ・ロホを懸けて過酷な3週間をたたかう

2026年のサイクルロードレースシーズン最後のグランツール、ブエルタ・ア・エスパーニャが8月22日に開幕する。今回はモナコを出発し、フランス、アンドラ、そしてスペインと4カ国をめぐるルート。全21ステージの総距離は3275kmで、総獲得標高は58000m超。過去のグランツールとは比較にならないと言われるほどの山岳比重の高い大会で、「史上最も過酷な3週間になる」との関係者評もあるほど。最終目的地・グラナダへ向かう日々に、どんなドラマが待っているだろうか。今大会の注目ポイントを確認していこう。

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モナコ開幕 4カ国をめぐる3週間

まず、ブエルタ2026の大枠をチェックしておきたい。

今大会は前記の通り8月22日にモナコで開幕。第1ステージは同地での9.4km個人タイムトライアル。その後フランス南部で2ステージを走り、スペインとフランスにはさまれたピレネーの小国・アンドラへ。第5ステージで本来の舞台であるスペインへと入るが、それまでにタフな山岳ステージをいくつかこなしており、マイヨ・ロホ争いに動きが生じているはずだ。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

全体図

スペイン入国後、第1週の終わりまでは地中海沿いを南下。第2週以降は同国南部での戦いになる。第12ステージでは、すっかりおなじみとなった難所カラル・アルト天文台を目指す本格山岳コースが登場。第14ステージで上るシエラ・デ・ラ・パンデラでは、猛烈な暑さとの戦いになるとの予想も。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

第20ステージ コースプロフィール

最終・第3週では、第18ステージで今大会2回目の個人タイムトライアル(32km)が待ち受け。第19・第20ステージの山岳2連戦がマイヨ・ロホを賭けた最終決戦となる。

そして9月13日、最終目的地のグラナダへ。個人総合順位は前日の第20ステージで実質決定するので、最後を飾る第21ステージの前半は華やかなパレード走行が見られそうだ。

毎ステージのように上りが連続する今大会。グランツールレーサーやクライマーの活躍の場となりそうだ。マイヨ・ロホは果たして誰の手に。過酷を極めるスペインの路で、壮大な覇権争いが展開される。

ポガチャルが中心のマイヨ・ロホ争い 大会序盤からエンジン全開も

大会の最高栄誉、マイヨ・ロホ争いがいつも以上の見ごたえとなる。

ツール・ド・フランス

ブエルタへの参戦表明、タデイ・ポガチャル

何といっても、タデイ・ポガチャルUAEチームエミレーツ・XRG)の参戦が大会への注目度を一気に上げた。ツール・ド・フランスで5度目の制覇を果たし、次なる目標に据えたのが今大会。史上4人目となるツール・ブエルタ2冠を目指してスペインへと乗り込む。

ツール後は自身の名を冠したサイクリングイベントへの参加や短めの休養を経て、ブエルタに向けた調整へ。前哨戦への出走は行わないまま開幕を迎えるが、レース勘やコンディションに関しての心配は一切必要ないだろう。むしろ、日頃から拠点とするモナコでの開幕に照準を定めている可能性さえある。第1ステージの個人タイムトライアルからエンジン全開で走るか。

もっとも、大会序盤から本格山岳コースが設けられており、総合成績を見据える選手たちは早くから勝負に出ることが求められる。ポガチャル、さらにはUAE陣営としては早めにマイヨ・ロホを獲って、その後のレースをコントロールしていく、ツールで見せたような戦法を企てているかもしれない。ピレネーを駆けた今年のツール第6ステージでポガチャルは衝撃の“43km独走劇”を演じたが、その再現を成しても不思議ではない。コースの一部を試走済みとの情報もあり、きっと戦いのイメージを固めていることだろう。ちなみに、今大会を勝てば史上9人目の全グランツール制覇だ。

ポガチャルに限らず、今回は“勝てば”新たな歴史を作る選手たちばかり。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

2026年はスペイン北西部から南部を巡る

前哨戦のブエルタ・ア・ブルゴスでワン・ツーを占めた、フェリックス・ガル(デカトロン・CMA CGM チーム)とオスカー・オンリー(ネットカンパニー・イネオス)は、ともに初のグランツール制覇を目指す。ガルは5月のジロ・デ・イタリアで個人総合2位で終えた段階からブエルタへの意欲を示してきた。ブルゴスでは“通常運転”で個人総合優勝し、すっかり自信をつけている。オンリーは体調不良でツールを回避し失意したが、夏の間に復調。ブルゴスでのガルとの好勝負で状態の良さを確信し、満を持してブエルタを迎える。

ポガチャル、ガル、オンリーは勝てば初優勝なら、こちらは前人未到の5度目の頂点を視野に。プリモシュ・ログリッチレッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が戦い慣れたスペインでの3週間に挑む。

今年は3月のシーズンイン以降目立った成果を挙げていないが、すべてはブエルタのため。ジロとツールの「総合エース枠」をチームメートに譲り、大記録がかかるこの大会に早くからフォーカスしてきた。自国の仲間でもあり、長くライバル関係にあるポガチャルとの激闘が見られるか。得意とするタイムトライアルで先行し、序盤戦の山岳からどんどん仕掛けていきたいところ。

ただ、ログリッチに関しては不安な情報も。トレーニング中の落車によって、当初予定していた2レースの出場を取りやめ。負傷度合いを見ながら調整しているようで、ブエルタの出場も不透明な情勢。最終決定は開幕直前になる可能性もあるとしており、動静を注視していく必要がありそうだ。

このほか、ツールを個人総合6位で終えたマティアス・スケルモース(リドル・トレック)や、2年前のこの大会で総合表彰台を押さえたエンリク・マスモビスター チーム)らも上位戦線に加わってくる。伏兵や新鋭の躍進にも期待したい。

チャンスを模索するスプリンターたち TT巧者は初日マイヨ・ロホも

山岳勝負の一方で、「ほとんど出番がない」とまで評されてしまっているのがスプリンターを中心としたスピードマンたち。彼らがどうやって勝負の場を構築していくのか見ていくのも、今大会の面白味のひとつ。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

スペインは世界遺産の数では世界第3位(イタリア、中国に次ぐ)

条件的には、ある程度の登坂力があり、それでいてフィニッシュ勝負ができる脚を有していること。チーム ヴィスマ・リースアバイクは、ワウト・ファンアールトとマシュー・ブレナンを擁しステージ優勝量産を図る。ワウトは感染症の影響でツールをパスしたが、先に控える世界選手権ロードを見据えてブエルタ参戦を決めた。前哨戦ブルゴスで2勝したブレナンは、初のグランツール勝利がかかる。

マッズ・ピーダスン(リドル・トレック)は、ポイント賞でのツール・ブエルタ2冠の大きなチャンス。過去に2度、この大会で同賞を獲っており、山岳比重が高いレースでの立ち回り方を心得ている。集団スプリントにとどまらず、状況次第では逃げに乗ってそのまま勝ちにいくスタイルも持っており、その走りは自在。

ちなみに、今大会最初のスプリントチャンスは第5ステージ。その後の機会も限られており、勝負強さと勘がものを言う3週間となる。

また、タイムトライアルを得意とする選手にとっては、第1ステージを勝って最初のマイヨ・ロホ着用の栄誉にあずかりたい。ポガチャルやログリッチといったグランツールレーサーはもちろん、ワウトやシュテファン・キュング(チューダー プロサイクリングチーム)、イーサン・ヘイター(スーダル・クイックステップ)といったスペシャリストたちも気合いが入る。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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