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サイクルロードレース コラム 2026年8月6日

ポガチャルがブエルタ帰還! 「始まりの場所」で新たな物語を記す|ブエルタ・ア・エスパーニャ2026

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ツール・ド・フランス

5勝クラブ入りをしたポガチャル

ツール・ド・フランス2026での完勝劇からおおよそ1週間、王者が新たなトピックを世に放った。

タデイ・ポガチャル ブエルタ・ア・エスパーニャ2026出場


スペインが誇る3週間のステージレースに、2019年以来7年ぶりとなる出場を表明。先のツールでは「5勝クラブ入り」を果たし、ジロ・デ・イタリアでも1度の個人総合優勝。現役のロードレース世界王者でもあるタデイ・ポガチャルUAEチームエミレーツ・XRG)にとって、ブエルタは手にしていないビッグタイトルのひとつ。全グランツール制覇がかかる今回、当然のことながら個人総合優勝候補の筆頭としてスペインへと乗り込むことになる。

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7年ぶりのブエルタ出場を決断

ポガチャルのブエルタ出場は、数年来の噂でもあった。7月下旬に閉幕するツールと、8月半ばに開幕するブエルタ。そうしたレーススケジュールも関係し、ツールを走り終えるとブエルタへの参戦はどうなのか、ポガチャルの反応と答えを見聞きするのがファンにとっても、報道陣にとっても楽しみのひとつであった。

今シーズンはとりわけツール・ブエルタ連戦の可能性が高いと言われてきた。昨年12月の時点で彼のレーススケジュールにブエルタが入っていると一部で報じられたこともあって、その期待値は一気に高まっていく。何より、今年のブエルタ開幕地はモナコ。ポガチャルが拠点を置き、日常生活からレース活動まで、すべての基盤になっている地である。スポーツに篤いモナコ公・アルベール2世もポガチャル参戦への強い想いを口にしたほど。ツール閉幕時に「ブエルタ出場については、時間をかけて考える」としていたポガチャルの決断を、誰もが待っていた。

そして8月3日、ポガチャルのブエルタ2026参戦がチームから発表された。灼熱のスペインの地へ立つのは7年ぶり。その7年前は、タデイ・ポガチャルの名が全世界に知られた大会だった。

ポガチャルの最強ストーリーは、ブエルタ2019から始まった

いまから7年前、ブエルタ2019でポガチャルはグランツールデビューを飾った。当時20歳の彼は、「将来有望な若手ライダー」と評価はされていたけど、まだ世界的な注目を集めるほどの選手ではなかった(前年のジャパンカップサイクルロードレースに出場していたこともあり、日本での注目度はそこそこ高かった)。この年はツアー・オブ・カリフォルニアで勝っていたけど、ブエルタでの立場はファビオ・アルのための山岳アシスト。

ツール・ド・フランス

モンマルトルの丘を駆け上がるポガチャル

ただ、始まってみると、第1ステージのチームタイムトライアルで21位に終わり、アルの調子もいまひとつ。やがてリーダーの座が入れ替わり、ポガチャルが勝負する局面が増えていった。隣国アンドラを駆けた第9ステージで勝つと、ロス・マチュコスを上った第13ステージで2勝目。

衝撃は最終日前日、第20ステージ。大会第3週に入り総合順位を下げるなど調子を落としていると見られたなか、フィニッシュ前39kmでアタックすると最後まで独走。圧倒的な長距離独走で魅せる現在のスタイルにも通ずるその走り。ステージ3勝目を挙げて、個人総合でも3位とすると、翌日マドリードの総合表彰台に立ったのだった。

イマドキの表現をするなら“バレた”とでも書くべきだろうか。今日に至るまでのポガチャルの最強ストーリーは、観る者を驚かせ、心を惹きつけたあの3週間から始まった。

ポガチャルはブエルタ2026出場にあたり、チームを通じて「2019年のブエルタでグランツールデビューできたことが、その後にもつながった。いまが戻るべき最高のタイミングだ」と述べる。初のブエルタ制覇、そして全グランツール制覇へ、機は熟している。

9人目の全グランツール制覇者へ

偶然か必然か(おそらく必然)、すでにブエルタに向けた準備もおおよそ整っている。

スペインのスポーツ紙・アス(ツール期間中の記者会見など、ポガチャルへのアプローチが最も多かったメディアのひとつ)は、「ツール前に行ったシエラネバダ山脈でのトレーニングキャンプ時に、ブエルタ2026のコースをいくつか下見している」と報道。「ブエルタ出場の最大の決め手は、ツールでエネルギーを出し切ることなく終えられたこと」とも分析する。

また、アスは2027年のレーススケジュールのイレギュラー化にも触れ、世界選手権大会がすべての自転車競技が一堂に会する「スーパー世界選手権」として8月に行われる関係から、ブエルタが全日程を9月に行う見通しであることを指摘。ポガチャルにとって、本来のレースカレンダーでブエルタに臨むには今年が最適であるのではないか、との見立てだ。

ツール・ド・フランス

チームメートと喜びをわかちあうポガチャル

フランスのスポーツ紙・レキップは「9月下旬に控える世界選手権大会ロードレースへの新たなアプローチ」と述べ、個人総合争いに加わることはもちろんとして、マイヨ・アルカンシエルの防衛に向けたコンディション調整の場にもなるとする。

さまざまな見方はあれど、これらをすべて計算に入れてブエルタ出場を決めていても、いまのポガチャルなら何ら不思議ではない。本番では、相応の強さを見せることだろう。

ポガチャル自身も認める、「始まりの場所」ブエルタ。7年ぶりに戻るその地で、どんな走りを見せるだろうか。いささか気の早い話ではあるが、ツールとブエルタの2冠となれば史上4人目。そして、全グランツール制覇は史上9人目の快挙である。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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