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ヴィンゲゴーハンセンがジロ・デ・イタリア初優勝。史上8人目のグランツール全制覇|ジロ・デ・イタリア2026 レースレポート:第21ステージ
サイクルロードレースレポート by 山口 和幸総合優勝を飾ったヴィンゲゴー
チーム ヴィスマ・リースアバイクのヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク)が初出場の第109回ジロ・デ・イタリアで総合優勝を遂げた。休息日を含めて全24日間におよぶ長丁場の戦いは2026年5月8日にブルガリアで開幕し、31日にイタリアの首都ローマに到着。5分22秒遅れの総合2位にフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロン・CMA CGM チーム)、6分25秒遅れの同3位にジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)。
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ポガチャルも果たしていない三大大会全制覇を達成
2022・2023ツール・ド・フランス、2025ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝の実績を持つヴィンゲゴーが3つ目のグランツール、ジロ・デ・イタリアに初参加することで話題になった今大会。ヴィンゲゴーは最初の本格的山岳コースで行われた第7ステージで初勝利すると、首位にいたアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス)に3分17秒差の総合2位に浮上した。
大会中盤の山岳ステージでもヴィンゲゴーの強さが際立った。第9ステージでマリア・ローザをねらうガルがアタックすると、それに反応。ゴール900m手前でガルを12秒突き放してステージ優勝し、エウラリオとの差を2分24秒に。その翌日には首位に27秒差まで接近し、第14ステージの3勝目で総合成績を逆転して首位に。さらに第17ステージ、第20ステージと合計5勝を挙げて、総合2位に浮上してきたガルに大差をつけてマリア・ローザを着用してローマに凱旋した。
こうしてヴィンゲゴーはグランツールを全制覇した史上8人目の選手となり、ジャック・アンクティル(フランス)、フェリーチェ・ジモンディ(イタリア)、エディ・メルクス(ベルギー)、ベルナール・イノー(フランス)、アルベルト・コンタドール(スペイン)、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)、クリストファー・フルーム(英国)の英雄の仲間入りを果たした。
特別賞ジャージの4選手
デンマーク勢としてもジロ・デ・イタリア初の総合優勝だった。デンマークはジロ・デ・イタリアで優勝者を輩出した18番目の国になった。デンマークのこれまでの最高成績は2020年にヤコブ・フルサンが記録した総合6位だった。
それにしてもチーム ヴィスマ・リースアバイクの組織力を後ろ盾にしつつ、危なげない走りを見せつけたヴィンゲゴーの強さが際立った。過去50年間のジロ・デ・イタリアで1大会5勝以上を挙げた非スプリンターはわずか2人。2024年に6勝を挙げたタデイ・ポガチャル(スロベニア)と、2026年に5勝を挙げたヴィンゲゴーだ。
チーム全体でお祝いをするヴィスマ
チームマネージャーのリチャード・プラグは、チームの活躍を高く評価した。
「我々が成し遂げたことは本当に素晴らしい。ワウト・ファンアールトがパリ~ルーベを制覇し、今度はヨナスがジロ・デ・イタリアを制覇した。彼はツール・ド・フランスでも再び優勝候補の一人となるだろう。まずはこの勝利をじっくりと噛みしめたい。このチームを心から誇りに思う」
●4賞ジャージ
■マリア・ローザ(個人総合成績)ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、チーム ヴィスマ・リースアバイク)
■マリア・チクラミーノ(ポイント賞)ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)
■マリア・アッズーラ(山岳賞)ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)
□マリア・ビアンカ(ヤングライダー賞)アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス)
ジュリオ・チッコーネは2019年以来2度目の山岳賞獲得。「ローマで山岳賞のマリア・アッズーラを着て、コロッセオやアルターレ・アッラ・パトリアを走れるのは本当に特別なことだ。イタリア人にとって、これはまさに夢のような出来事だ。このジャージのために、特にここ1週間は本当に多くの戦いを繰り広げてきた。初めてマリア・アッズーラを獲得してから7年経った今でも、こうしてここにいられることは私にとって大きな意味がある」とコメント。
この大会で一躍名を挙げたのはアフォンソ・エウラリオだ。波乱の第5ステージでUAEチームエミレーツ・XRGのイゴール・アリエタ(スペイン)とともに寒くて雨の降る中で抜け出した。それぞれが転倒し、アリエタはミスコース。疲労困憊した2人は最終的にアリエタが勝利を収めたが、エウラリオが総合優勝候補に6分以上の差をつけてマリア・ローザを獲得した。
エウラリオは第14ステージでマリア・ローザをヴィンゲゴーに手渡すが、第5ステージからトップになっていたヤングライダー賞部門を守りきった。最終的に9分39秒遅れの総合6位。ヤングライダー賞ではチーム ヴィスマ・リースアバイクのダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア)に1分13秒差をつけて初受賞した。
「信じられない日々だった。ヤングライダー賞のマリア・ビアンカを手に入れた。マリア・ローザだって着ることができた。この素晴らしいレースはボクの人生のかけがえのない勲章になるはずで、ずっと記憶に残っていくだろう」と充実の24日間を振り返った。
ミランが最後の最後にステージ優勝を飾った
最終ステージで勝利を手に入れたミラン
ジロ・デ・イタリアの最終到着地点は4年連続でローマとなった。最終ステージは距離131km。スタート地点からまずフィニッシュラインを通過し、オスティアの海岸訪れてからスタート地点に戻り、その後首都ローマ市内を周回するコース。一部に中央分離帯がある広い道路を使い、9.5kmの周回コースを8周する。短い起伏と長い直線区間と交互に現れ、時には難易度の高いカーブが出現する。路面は大部分がアスファルト舗装だが、一部に舗装石区間がある。
ブルガリアを出発してから3週間後、生き残った151選手がイタリアの首都を走った。大勢の観衆が沿道に詰めかけ、今大会を完走した選手たちに拍手を送った。最終ステージではスポーツドラマも数多く繰り広げられた。待ちに待った集団スプリントは、ローマ中心部を猛スピードで駆け抜けるアタッカーと集団との長時間の戦いの末にようやく実現した。
ローマを盛大に盛り上げた終盤のアタック
最も大きな動きを見せたのはネットカンパニー・イネオスのフィリッポ・ガンナ(イタリア)で、スーダル・クイックステップのヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー)とリドル・トレックのマッテオ・ソブレロ(イタリア)とともに終盤にアタックを仕掛けた。ガンナはその卓越したタイムトライアル能力を活かし、コースの多くのコーナーを最大限に活用しようとしたが、結局集団の容赦ないペースには及ばなかった。最後はスプリントフィニッシュになった。
ユニベット・ローズ・ロケッツはディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)のために見事な働きをしたが、スプリントが始まると、最速でスパートしたのはミラン。ジロ・デ・イタリア開幕以来追い求めてきたステージ優勝をついに手にした。チーム ポルティ・ビジットマルタのジョヴァンニ・ロナルディ(イタリア)と> グルパマ・FDJユナイテッドのポール・ペンウェット(フランス)がステージ表彰台を飾った。
「このジロをこのような形で終えることができて、本当にうれしい。私たちは常にベストを尽くし、目標達成を目指してきた。マッテオ・ソブレロは逃げ集団のカバーに徹してくれた。フィリッポ・ガンナがアタックした時、彼がそこにいてくれたのは本当に心強かったし、チーム全体の努力も完璧だった。3週間かけてローマで勝利を掴み、こうして優勝できたのは本当に素晴らしいこと」とミラン。
ポール・マニエは「小さなミスでスプリントがうまくいかなかった」とこの日は集団に埋もれたが、ポイント賞史上2番目に若い22歳47日での受賞者となる。歴代最年少は1979年のジュゼッペ・サローニ(イタリア)で21歳256日だった。マニエはまた、1999年のローラン・ジャラベール、2014年のナセル・ブアニ、2020年と2022年のアルノー・デマールに続き、この賞を獲得した4人目のフランス人選手に。
「マリア・チクラミーノを着て無事にローマに到着できたことがうれしい。3つのステージ優勝と、マリア・ローザとマリア・チクラミーノを着られたことは忘れない。素晴らしい3週間のレースで、ポイント賞で2番目に若い受賞者になれたことは、これまでの短いキャリアの中で大きな成果」と語っている。
ジロ・デ・イタリアに新たな歴史が加えられた
2026年のジロ・デ・イタリアはヴィンゲゴーにとってこれ以上ない最高の形で幕を閉じた。デンマーク出身のヴィンゲゴーは、グランツール三冠を達成し、ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャの3大会でそれぞれ少なくとも1回ずつ優勝した史上8人目の選手となった。
総合表彰台
6つの山頂フィニッシュのうち5つで勝利を収めたヴィンゲゴーに対してガルもヒンドレーも最後まで戦うことをを忘れなかった。
「今回のジロ・デ・イタリアはこれまでで最高のレースだった。自分の力を最大限に発揮できただけでなく、チーム全体が日を追うごとに強くなり、自信を深めていった」とガル。
「この結果を本当に誇りに思う。当初の目標は表彰台争いだった。ほぼ完璧な走りができた。タデイ・ポガチャルに次いでヨナス・ヴィンゲゴーは我々の時代の最高のステージレーサー。彼と表彰台で並ぶことができたのは大きな名誉」
3位のヒンドレーは「ジロ・デ・イタリアの表彰台に立つのは2022年以来。結果にもチームにも誇りを感じている。戻ってこられて本当にうれしい。ヨナス・ヴィンゲゴーは3週間を通して素晴らしい強さを見せたし、彼のチームも同様だった。でも最後まで戦い抜いた。私はこのレースが大好き。おそらくカレンダーの中で一番好きな。素晴らしいレース、素晴らしい人々、素晴らしい国」と語った。
そして総合優勝者が手にするトロフェオ・センツァ・フィーネに自分の名前が刻まれているのを見て「本当に感動的だ。一生忘れられない思い出になる」とヴィンゲゴー。
「沿道に集まった多くの人々とともに、とても特別な一日を過ごした。ローマの街でマリア・ローザを着ることができたのは、この上ない光栄だ。妻と子供たちとこの瞬間を分かち合えることが、本当にうれしくて涙が出そうだ。彼らはいつも私のそばにいてくれる。三大グランツールすべてを制覇したわずか8人のライダーの一人になれたことは、本当に素晴らしいことだ」
7月4日に開幕するツール・ド・フランスで総合優勝も視野に入れる。今大会には出場しなかったUAEチームエミレーツ・XRGのタデイ・ポガチャル(スロベニア)、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエのレムコ・エヴェネプール(ベルギー)らとマイヨ・ジョーヌを争う。3年ぶり3度目の総合優勝なるか?
文:山口和幸
山口 和幸
ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。
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