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サイクル ロードレース コラム 2025年7月5日

【ツール開幕直前!タデイ・ポガチャル徹底分析vol.9】ポガチャルの走りに夢を見る、記録ずくめのキャリアにどんな偉業が加わるか

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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5勝クラブ到達が現実味を帯びてきた

5勝クラブ入りが現実味を帯びてきた

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ツール・ド・フランス4度目の頂点を目指すタデイ・ポガチャルUAEチームエミレーツ・XRG)の強さと人柄に迫るコラムの9回目。現代の自転車ロードレースシーンにあって、最高にして最強の男の歩みを振り返っていく。今回は、ポガチャルが保持するたくさんの記録とともに、今後達成することが期待される偉業を挙げてみる。26歳にして無数のタイトルを手にしているなかで、実はまだつかめていないものとは。

ツール5勝クラブに王手をかけるか

まず、ツール・ド・フランスにまつわる記録を見ておこう。

ポガチャルがツールを制したのは3度。2020年の初優勝時の21歳と364日は、近代ツール最年少記録。翌年も制して連覇を果たすと、これまた史上最年少でのツール連覇者となった。

2024年大会で3度目のツール制覇。そのときにはステージ6勝の離れ業を演じているが、これによって通算ステージ勝利数は17まで伸ばした。昨年はマーク・カヴェンディッシュがステージ通算35勝目の新記録を達成しているが、そこに追いつける可能性のある現役ライダーとしては当然ポガチャルの名が挙がる。カヴェンディッシュが冗談でポガチャルに「追いつかないでくれ」と言ったのが話題にもなったけど、幾分は本心も込められていることだろう。

2025年大会を制することになれば、「5勝クラブ」に王手をかける。その名の通り、ツールで5度の個人総合優勝を遂げているレジェンドたちの俗称で、これまで到達したのは4人。ジャック・アンクティル、エディ・メルクス、ベルナール・イノー、そしてミゲル・インドゥライン。彼らに迫ることができるか、全世界の目が注がれる。

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これまでの総合系選手と違いクラシックレースでも無類の強さを誇る

近年の総合系選手とは違いクラシックレースでも無類の強さを誇る

史上4人目のモニュメント全制覇も近い?

クラシックレースにも目を向けておくと、「モニュメント」と呼ばれる格式高きレースにおいては5つあるうちの3つで優勝を経験。リエージュ~バストーニュ~リエージュ、イル・ロンバルディア、ロンド・ファン・フラーンデレンでの圧巻の走りに魅せられた方も多いことだろう。

残しているのは、ミラノ~サンレモとパリ~ルーベ。ルーベは今年初めて出場し、2位。マチュー・ファンデルプールアルペシン・ドゥクーニンク)との激闘が記憶に新しい。このときは重要区間での落車が響きマチューから後れを取ったが、トラブルなく走り切れていればどんな展開になっていただろうか。その戦いぶりからすれば、ルーベ制覇も時間の問題だ。

ミラノ~サンレモは3位が最高位。毎年のように優勝候補筆頭に挙げられながら、なかなかに表彰台の一番高いところが遠い。最大の勝負どころ「ポッジオ」ではライバルの徹底したマークに遭い、アタックを決めきれないのがいつものパターン。このレースを勝つにはさらなる力業が必要なのだろうか。

なお、モニュメントをすべて制しているのはリック・ファンローイ、メルクス、ロジェ・デフラミンクの3人だけ。長いサイクルロードレースの歴史にあって、この人数。相当に難しいことが分かるだろう。

ちなみに、ポガチャルはアルデンヌクラシックでの同一シーズン全制覇の経験もない。こちらもダヴィデ・レベリンとフィリップ・ジルベールしか成し遂げていない偉業。この数年の走りを見る限り、近い将来達成する可能性は大いにあるとみて良いだろう。

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不可能と思われてきた同一シーズンのグランツール制覇もポガチャルなら夢ではないかもしれない

不可能と思われてきた同一シーズンのグランツール制覇もポガチャルなら夢ではないかもしれない

同一シーズン全グランツール制覇は可能か?

ポガチャルの走りに夢を見ている人は多いことだろう。誰も到達できていない壮大な記録。それは、「同一シーズン全グランツール総合優勝」だ。

大前提として、ポガチャルはブエルタ・ア・エスパーニャでの個人総合優勝経験がない。大事な話はそれを遂げてから…ともいえるが、そう遠くない未来にブエルタも勝つのではないだろうか。

果たして、同一シーズンでのグランツール全制覇は今後のキャリアであるのか。ポガチャル本人は、「イメージは十分にできている」とのこと。あとは、あらゆる条件が整えば…ということだろうか。

ただ、グランツールひとつ戦うのでも心身へのダメージは大きいわけで、それを1年間に3つこなす…ましてやトップを狙おうというのは、いまのサイクルロードレースシーンにあっては現実的ではない。それでも、現実的ではないことをいくつも可能にしてきたポガチャルならできるのではないか…と観る者は勝手に思ってしまう。

果たして、ポガチャルの野心はどこへ向いているだろうか。いずれにせよ、当面の目標は、ツール2025でのマイヨ・ジョーヌにあることは間違いない。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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