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新米マネージャー ゲラント・トーマス 好調ネットカンパニー・イネオスのモチベーターとしてチームを盛り立てる|ジロ・デ・イタリア2026
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介ガンナのTTトレーニングにつきそうゲラント・トーマス
中盤戦に入っているジロ・デ・イタリアで、順調な戦いぶりを示しているチームのひとつに、ネットカンパニー・イネオスが挙げられる。多くのチームがアクシデントなどで選手たちを失っていく中、彼らは第14ステージを終えた段階でひとりも欠けることなく戦いを続けている。フィリッポ・ガンナが第10ステージを勝ち、テイメン・アレンスマンは個人総合で上位戦線の顔となりつつある。そんな彼らのチャレンジ精神を盛り立て、背中を押しているのが、今シーズンからレーシングディレクターの職に就くゲラント・トーマス氏である。
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かつてはツール・ド・フランスを制し、2年前のジロでは個人総合3位にも入ったビッグスターはいま、新米マネージャーとして奮闘を続けている。
TTステージのワン・ツーフィニッシュに手ごたえ
チームのムードは穏やかながらも、それぞれが熱い想いを抱いて毎ステージのスタートラインについている。総合エースと目されていたエガン・ベルナルが前半戦で順位を落としたのは誤算だったが、立場を入れ替わるようにしてアレンスマンが浮上。第9ステージの1級山岳コルノ・アッレ・スカーレで4位とまとめると、第2週初日・第10ステージの42km個人タイムトライアルで2位。この日はガンナが圧倒的な走りを見せていて、チームとしてワン・ツーフィニッシュを飾っている。
「彼らならこれくらいはやれると思っていた。そうだね、ここからだよね。これまで通りの走りを続けて、難しいレースにあってもライバルに食らいついていく。そして、どんなチャンスも逃さないよう準備を続けていくことが重要だ」(トーマス氏)
チームを率いるトーマス氏は選手たちの走りに手ごたえを得るとともに、今後に向けても自信を深めている。大会が進むにつれてプロトン内で体調不良者が頻発している状況にあっても、ネットカンパニー・イネオスのライダーたちはここまでノートラブル。苦戦していたベルナルも、大会のなかばに差し掛かって復調傾向にあるという。
アレンスマンの走りをチームの未来へとつなぎたい
トラック競技で五輪メダルを欲しいままにしたトーマス氏だが、キャリアのピークではグランツールレーサーとして数々の栄光をつかんだ。2018年のツールでは会心の走りを連発して夢のマイヨ・ジョーヌをパリのポディウムで戴冠。ジロでは、2023年大会では最終日前日までマリア・ローザを着ていながら、山岳タイムトライアルで敗れ個人総合2位。翌2024年も好走を見せて、個人総合3位で終えている。
TTで好成績を出したアレンスマン
そんな彼は、この大会でアレンスマン(第14ステージ終了時点で個人総合4位)に強い信頼を寄せ、個人総合での上位進出を後押しする。ジロを得意とし、過去2回個人総合6位を経験している26歳の飛躍の時期がやってきていると確信している。
「昨年のツールで2回ステージ優勝(第14・第19ステージ)したことが、彼を大きく変えた。実力はすでにあったのだけれど、精神的なところで相当に自信を深めたんだ。日々のトレーニングも停滞することなく続けられている。グランツールレーサーとしては、少しエンジンのかかりが遅いところが課題なのだけれど、このジロでそれも克服できるかもしれない。個人総合の上位で走る意味を理解して、プレッシャーの中でも戦える術を身につけてほしい」(トーマス氏)
アレンスマンは今大会の結果次第で、トーマス氏の後継者として一本立ちする未来が待っているかもしれない。
チームスカイとして2010年に立ち上がったチームは、これまでグランツールの総合に特化したチームとして多くのタイトルをつかんできた。トーマス氏もその流れを汲んだひとり。近年は上位からほど遠い結果となることもあるが、チームの意識はかつてと変わっていない。新たにネットカンパニー社がタイトルスポンサーとなり、チーム予算拡大を図っているのもその一端である。
トーマス氏は他業務の都合で、近々ジロを離れるという。メンターがいなくとも、8人のメンバーがそれぞれの役回りで走り続けられるか。選手・チームそれぞれに大事な日々が待ち受けている。
文:福光 俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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