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ナルバエス29歳、エクアドルのナンバーワンに。アクシデントで目標修正したチームの期待に応える|ジロ・デ・イタリア2026
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34歳ヴァルグレンがグランツールで初の区間優勝。同じデンマークのヴィンゲゴーがマリア・ローザを守る|ジロ・デ・イタリア2026 レースレポート:第17ステージ
サイクルロードレースレポート by 山口 和幸ミケル・ヴァルグレンが嬉しいグランツール初区間優勝
第109回ジロ・デ・イタリアは2026年5月27日、カッサーノ・ダッダ〜アンダロ間の202kmで第17ステージが行われ、EFエデュケーション・イージーポストのミケル・ヴァルグレン(デンマーク)が初優勝。総合成績ではチーム ヴィスマ・リースアバイクのヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク)が他の有力選手らとタイム差なしでゴールして首位を守った。
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ジロ・デ・イタリアの象徴、いよいよドロミテ山塊へ
スタートのカッサーノ・ダッダは、ロンバルディア州東部にある町で、ミラノ大都市圏の一部。コースはカテゴリー3級の山岳賞ポイントが3つ。63.9km地点にトレテルミニ峠、88.1km地点にコッカ・ディ・ロドリーノ、191.3km地点にアンダロレベルがある。ゴールのアンダロは古くから観光地として栄えてきた山岳リゾート。標高1000mを超える高地にあり、牧草地や森林、ドロミテ山塊の主峰群のパノラマビューが広がる。獲得標高は3300mという山岳ステージだ。
143.8km地点に中間スプリントポイントがある。ポイント賞のトップはスーダル・クイックステップのポール・マニエ(フランス)だが、2位で追うUAEチームエミレーツ・XRGのジョナタン・ナルバエス(エクアドル)が前日の中間スプリントポイントで12点を獲得。両者の差は2点しかなく、ナルバエスが中間スプリントで再びポイントを取りに行くことが予想された。マニエが首位を守るためには苦手な峠を2つクリアして対抗していかなければならないだろう。
晴れた午後、気温32度の中、157選手がスタートした。0km地点を通過するとペースはすぐに上がり、アタックが飛び交うがどれも成功しない。34km地点でヴァルグレン、ウノエックス・モビリティのアンドレアス・レックネスン(ノルウェー)、グルパマ・FDJユナイテッドのレミ・カヴァニャ(フランス)らが先頭に躍り出る。レース開始から1時間の平均速度は53.300km。62km地点で11選手が先頭に合流。63.9km地点にトレテルミニ峠でヴァルグレンらの逃げ集団はメイン集団から1分40秒先行して通過した。
人数のある先頭グループが形成された
ステージ勝利をねらう選手たちがその後次々と合流し、85km地点で先頭集団は29人となった。87km地点でカヴァニャが単独で先頭に立つ。88.1km地点のコッカ・ディ・ロドリーノでカヴァニャは山岳賞ポイントをねらうジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)ら追走集団を48秒リード。その後ろを走るマリア・ローザ集団には4分50秒差をつけている。114km地点でカヴァニャは追走集団に2分08秒、マリア・ローザ集団6分03秒差。しかし143km地点でカヴァニャは追走集団に吸収された。
注目の中間スプリントポイントでは、先頭集団に加わっていたナルバエスが1着通過してポイント賞の12点を獲得。マリア・ローザ集団は5分35秒遅れで通過した。
161km地点を通過すると逃げ集団の動きが慌ただしくなっていく。バーレーン・ヴィクトリアスのダミアーノ・カルーゾ(イタリア)、ヴァルグレンら4選手が抜け出すと、162km地点でレックネスンが逃げ集団に追いつく。マリア・ローザのメイン集団は6分18秒遅れていて、この日の逃げ集団からステージ優勝者が誕生することが濃厚となった。
ヴァルグレン、UAEチームエミレーツ・XRGのイゴール・アリエタ(スペイン)、モビスター チームのエイネル・ルビオ(コロンビア)が200km地点で先頭を走り、残り1kmの赤い逆三角形の旗フラム・ルージュでヴァルグレンがペダルを踏み込んで、人数が減った集団から抜け出した。最後はヴァルグレンがポケットに入れていたチームカラー色のモンスターボールを掲げるウイニングポーズ。4時間41分33秒(平均時速43.047km)でステージ優勝した。レックネスンは差を縮めようと試みたが3秒届かず、この大会で3度目の2位に終わった。さらに6秒遅れでカルーゾがゴール。
グランツール初勝利、ゲットだぜ!
ヴァルグレンは2014年にプロ入り。2018年にアムステル・ゴールドレースで優勝している。低迷期を経て2026ティレーノ〜アドリアティコでワールドツアー勝利を収めてカムバック。そして34歳にしてグランツール初ステージ優勝を果たした。プロ通算10勝目。直近4勝はすべてイタリア国内のレースで挙げたもので、2021年のジロ・デッラ・トスカーナとコッパ・サバティーニ、2026ティレーノ・アドリアティコ第5ステージ、そして今回のジロ・デ・イタリア第17ステージ。
「グランツールのステージ優勝は私の経歴に欠けていた。私が最も多くの成功を収めたイタリアでそれが実現できてうれしい」
レミ・カヴァニャが独走していた時間に天候は崩れた
デンマーク勢にとって大会通算24勝目となり、国別の勝利数ランキングで12位に相当する。2025年のマッズ・ピーダスンとカスパー・アスグリーンと同様、今年も2人の異なる選手が勝利を収めた。もう1人はステージ4勝を挙げているヴィンゲゴーだ。
デンマーク選手は、2025ジロ・デ・イタリア開幕以来、全37ステージ中10ステージで勝利を挙げている。2025-2026年シーズンでは、デンマークが最も多くの勝利を挙げている国となる。2位以下はエクアドル、イタリア、オランダで、それぞれ4勝を挙げている。さらにはジロ・デ・イタリア史上初めて、スカンディナビア出身選手が4ステージ連続で勝利を収めた。ヴィンゲゴー、ノルウェーのフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ウノエックス・モビリティ)、ヴィンゲゴー、そしてヴァルグレンがそれぞれステージ優勝を果たした。
「ポケモンを幸運のお守りとしてポケットに入れていた。スプリントで勝つには自分は遅すぎると思っていたので、残り1kmでしかけた」とヴァルグレン。
「先頭集団が大勢で、不思議な一日だった。本当にきつかったので、リタイアするんじゃないかと心配になることも。最後は限界ギリギリだった。レースがあと500m長かったら勝てなかった」
EFエデュケーション・イージーポストはかつてのガーミンチーム時代を含めて、ジロ・デ・イタリアにおける通算15回目のステージ優勝となる。昨年は、カステルノーヴォ・ネ・モンティでリチャル・カラパス、ノヴァ・ゴリツァでカスパー・アスグリーンがそれぞれ優勝している。
「ステージ開始前はいい予感がしていた。このステージは長い間目標にしていて、まずは逃げ集団に入ることが目標だった。その後29選手となったが、あとは脚力次第で、運も自分で掴み取ることができた。負けるリスクを冒すことも重要で、実際にそうした。エイネル・ルビオは私より少し強かったので、最後の登りで彼に引き離されるのではないかと心配していた。最後の登りで彼がアタックしてこなかったのは本当に幸運だった。一度捕まったが、スプリントで彼やアリエタに勝てる自信がなかったので、しかけた」(ヴァルグレン)
ポイント賞は再びナルバエスがトップに
マリア・ローザを着用するヴィンゲゴー
ジロ・デ・イタリア史上初めて、デンマーク選手がステージ優勝を果たすと同時に別のデンマーク選手がマリア・ローザを着用するという快挙も達成した。ヴィンゲゴーが若い頃に加入したデンマークのサイクリングクラブにいたのがヴァルグレンだ。ヴィンゲゴーにとってヴァルグレンは当時のヒーローだった。家族やキャンピングカーで一緒に休暇を過ごしたこともあり、友情は続いているという。
「自転車競技ですでに成し遂げたことは、子どもの頃に夢見ていた以上のもの。もし私が今、子どもたちが自転車競技を始めるきっかけになっているのなら、うれしく、誇りに思う」とマリア・ローザを守ったヴィンゲゴー。
「これから2つの非常に厳しい山岳ステージが控えている。特に金曜日は長く厳しいステージだ。総合成績の変動は必ず出てくる。それでも私はただジロ・デ・イタリアでのレースを楽しんでいきたい。最初の1週間は天候に恵まれなかったけど、それ以降はとてもいい天気だ。勝てるものは勝つ。ステージ優勝が4回でも5回でも6回でも構わない。チームメートのダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア)のレベル次第だが、彼が優勝するかヤングライダー賞のマリア・ビアンカを獲得するためなら、私は自分のステージ優勝を譲ってもいい」
ポイント賞争いはナルバエスが中間スプリントポイントの12点に加え、ゴールでも2点を獲得して合計157点に。この日マニエは得点がなく、145点のままでナルバエスが逆転。紫シクラメン色のマリア・チクラミーノを奪い返すことに成功した。
マリア・チクラミーノを纏うナルバエス
翌18ステージはファーイ・デッラ・パガネッラ〜ピエーヴェ・ディ・ソリーゴ間の168kmで、起伏の激しい地形が続く。チヴェッツァーノの登り坂でアディジェ渓谷とブレンタ渓谷を結ぶ。その後、ルートはプリモラーノまでほぼ下り坂だが、アップダウンを繰り返す。スカーレ・ディ・プリモラーノへの短い登り坂を越えると、ピアーヴェ川の渓谷へ。ヴァルドッビアーデネを過ぎると、コンバイ、タルツォ、カ・デル・ポッジョ(ゴールまで9km地点)への短い登り坂をクリアし、ピエーヴェ・ディ・ソリーゴのゴールを目指す。
第19、20ステージが2連続の超難関山岳となるので、18ステージでマリア・ローザを争う有力選手は温存とするか? それを見透かしてステージ勝利をねらう選手が続出するか? ナルバエスがさらに中間スプリントポイントを狙っていくか? 第5ステージからマリア・ビアンカを着用するバーレーン・ヴィクトリアスのアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル)に対してピガンゾーリが逆転をねらってくるか? 大会は残り4区間。31日に首都ローマで終幕する。
文:山口和幸
山口 和幸
ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。
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