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サイクル ロードレース コラム 2025年5月17日

最強チームであるが故の悩み…。ポガチャル不在のなかUAEの総合エースは誰に?|ジロ・デ・イタリア2025

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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第7ステージを制したアユソがエース候補筆頭か

第7ステージを制したアユソがエース候補筆頭か

ジロ・デ・イタリア2025最初の山頂フィニッシュが設定された第7ステージ。1級山岳タリアコッツォの頂上を目指し選手たちは駆け上がった。

前日までは主にスプリンターが中心となってステージ優勝争いを繰り広げてきたが、いよいよ総合系ライダーたちの出番がやってきた。第7ステージは、フアン・アユソUAEチームエミレーツ・XRG)が勝利。個人総合成績にもシャッフルがあって、プリモシュ・ログリッチレッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が首位へ。第2ステージ以来となるマリア・ローザに袖を通している。

個人総合トップ15にアユソ含む4選手を送り込むUAE

第7ステージスタート段階で個人総合トップ10に3人を送り込んでいたUAEチームエミレーツ・XRGは、同6位でスタートしていたアユソがステージ優勝のボーナスも生かして2位に浮上。イサーク・デルトロが3位で続き、それぞれログリッチとの総合タイム差は4秒と9秒。ブランドン・マクナルティも34秒差につける。さらには、アダム・イェーツも、48秒差の15位に位置している。

戦いはまだ第1週の後半戦。第2週・第3週と進行していく中で、今大会随一の戦力を誇るUAEチームエミレーツ・XRGがさらに大きなアクションを見せてくることだろう。

もっとも、アユソは今大会のマリア・ローザ候補の中でも最上位クラスの注目度を集めている。22歳にしてすでに十二分な実績を有していることはもちろん、今季はティレーノ~アドリアティコを制し、ボルタ・ア・カタルーニャで個人総合2位。ジロの前哨戦を目された両レースで最高の成績を挙げて、その存在価値を一層高めている。カタルーニャに関しては、プリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)と激闘を演じており、両者のライバル関係がそのままジロへと反映されている。

当然、本人もその気だ。トップを本気で意識して走るグランツールは初めてで、「未知の領域」と表しながらも、「ログリッチやエガン(ベルナル)の動きは常に追っていかないといけない。(アントニオ)ティベーリもかなりの力がある」と分析。それらライバルに第7ステージではタイム差をつけて先着。この先の総合争いへ優位な状況を築きつつある。

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「戦える力は自分にもある」と自信をのぞかせるアダム・イェーツ

「戦える力は自分にもある」と自信をのぞかせるアダム・イェーツ

際立つアユソの走り 複数リーダー制の“解除”はいつに

ただ、チームとして全権をアユソにゆだねるかは、もう少し彼らの戦いを見ていかないと分からない。スポーツディレクターのファビオ・バルダート氏は「アユソもアダムも最高レベルでジロに臨んでいる」と述べ、アダム本人も「僕たちは複数リーダー制を採用している」ことを強調している。

2年前にはツール・ド・フランスで総合表彰台にも上がったアダムだが、今季は2月にツアー・オブ・オマーンを勝って以来不発。ティレーノ、カタルーニャともにアユソと共闘したが、リザルトだけ見れば両人を並列で語るのは難しいのは否めない。それでも、アダムとしては「計画通りに仕上げてジロに臨んでいる」とのこと。「大本命ではないだろうけど、戦える力は自分にもある。おいおい分かると思う」とも。

とはいえ、両人の総合タイム差は現時点で44秒あり、山岳・TTとオールラウンドにこなすアユソを軸に戦術を組み立てていくのがセオリーといえよう。また、アユソはデルトロやマクナルティについて「彼らはライバルではない。最強ライダーのひとりとして、彼らの走りからライバルにプレッシャーを与えていくことができるはず」と述べ、マリア・ローザを目指すうえでの重要な仲間であるとしている。

大会随一の戦力を誇るUAEの動向からは最後まで目が離せない

大会随一の戦力を誇るUAEの動向からは最後まで目が離せない

第9・第10ステージで変化があるか

大会前は棲み分けが注目されたアユソとアダムだが、チームとしてマリア・ローザを狙う以上、どこかのタイミングで両者に序列をつけなければならない。それが早くに訪れるのか、終盤まで待つこととなるのか。加えて、デルトロとマクナルティをどのように生かしていくのかも、最強チームとしての見せどころだ。

彼らの形勢に変化が起こるとするなら、未舗装区間が採用される第9ステージや、28.6kmの個人タイムトライアルで競う第10ステージか。本格的な山岳勝負を前にある程度“メド”が立った方が、このジロにおいては戦いやすいかもしれない。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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