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ナルバエス29歳、エクアドルのナンバーワンに。アクシデントで目標修正したチームの期待に応える|ジロ・デ・イタリア2026
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逃げ屋ドゥヴァーシュネスが地元イタリア3選手を制して初参加チームに初勝利をもたらす|ジロ・デ・イタリア2026 レースレポート:第15ステージ
サイクルロードレースレポート by 山口 和幸大逃げを決めてみせたドゥヴァーシュネス、ジロ初勝利
第109回ジロ・デ・イタリアは2026年5月24日、ボゲーラ〜ミラノ間の157kmで第15ステージが行われ、ウノエックス・モビリティのフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー)が初優勝した。総合成績ではチーム ヴィスマ・リースアバイクのヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク)が首位を守った。25日は最後の休息日で、26日から最終週の6ステージが行なわれ、31日に終幕する。
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シクラメン色のリーダージャージの行方は
ナルバエスがポイント賞首位へ
前日はアルプス山脈を上った第14ステージ。休息日をはさんで行なわれる第16ステージはスイスの山岳。その間に設定された第15ステージはイタリア随一の大都市ミラノにゴールする平坦区間だ。49.6km地点に中間スプリントポイント、114.8km地点にレッドブルKMが設置されているが、山岳賞ポイントはない。91.8km地点でミラノに突入し、1周16.3kmの周回コースを4周してフィニッシュする。まさに絵に描いたようなスプリンターのためのステージだ。
この日の興味どころはマリア・ローザを争う総合成績における戦いよりも、ポイント賞の紫シクラメンジャージ、マリア・チクラミーノの行方だ。第1ステージで優勝したスーダル・クイックステップのポール・マニエ(フランス)がずっと着用してきたが、第14ステージでUAEチームエミレーツ・XRGのジョナタン・ナルバエス(エクアドル)がマニエをついに逆転した。
ナルバエスは第14ステージの中間スプリントポイントで1位通過の8点を積極的に取りに行き、ステージ3勝のポイントなどと合わせて累計131点に。マニエの130点をわずかな差で逆転した。3位ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)76点、ヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー、スーダル・クイックステップ)71点と続いている。
ポイント賞の得点は平坦ステージのほうが山岳ステージよりも高得点が配分されるので、この日終わればマリア・チクラミーノの行方も変わる公算が高かった。しかし大会最終週は最終日をのぞいて山岳ステージの連続で、連日上位でゴールすることが可能なクライマーのナルバエスにもチャンスがある。この日の中間スプリントポイントと最終フィニッシュで両者がどんな着順になるのかが興味深かった。
逃げ切りの名手はイタリアで再び本領を発揮
逃げの名手のイタリア人選手たち
スタート地点のボゲーラは気温32度の晴天で、真夏を思わせる暑さの中を159選手が出発したが、レース開始からスピードが速い。バルディアーニ・CSF・7サベールのマルティン・マルチェルージ(イタリア)、チーム ポルティ・ビジットマルタのマッティア・バイス(イタリア)とミルコ・マエストリ(イタリア)、ドゥヴァーシュネスが4km地点で先頭に立ち、メイン集団から抜け出した。
39km地点で、逃げ集団4人のメイン集団に対するリードは2分38秒。49.6km地点に設定されたパヴィアの中間スプリントポイントではマルチェルージ、バイス、ドゥヴァーシュネス、マエストリの順で通過し、12・8・5・3点を順に獲得。2分27秒遅れたメイン集団の先頭では1点を取るためにナルバエスとマニエが激闘。ここはスプリントパワーに優るマニエが5位通過して、この時点でポイント賞争いでナルバエスと同点になった。
イタリア勢3選手とノルウェーのドゥヴァーシュネスで構成された逃げ集団は、ミラノの周回コースに入ってもメイン集団から2分前後の差で先行を続ける。タイムボーナス6秒・4秒・2秒が懸けられたレッドブルKMはドゥヴァーシュネス、バイス、マエストリ、マルチェルージの順で通過。メイン集団は1分55秒遅れだ。
残り20kmでその差は1分10秒。残り1周の時点で58秒。残り8kmで38秒。5kmで30秒。2kmで22秒に縮まった。しかし逃げ切った。残り1km地点に掲げられた赤い逆三角形の旗、フラムルージュを通過すると、4選手はステージ優勝をかけて激しい戦いを繰り広げる準備を整えた。
フィニッシュではドゥヴァーシュネスがマエストリ、マルチェルージ、バイスを抑えて優勝。平均時速は51.063kmで、これは大会史上2番目に速いロードステージ記録。2020年にマテーラからブリンディジまでで行なわれ、アルノー・デマールが優勝したステージで記録された時速51.234kmに次ぐ記録だ。
ユニベットが集団先頭でタイム差を詰める
ドゥヴァーシュネスは2025ティレーノ〜アドリアティコ第5ステージで逃げを見せ、追いかけるマチュー・ファンデルプールを7秒引き離して優勝した逃げ切りの名手だ。今回のジロ・デ・イタリアで再びその手腕を発揮した。
プロ通算7勝目、ジロ・デ・イタリア初勝利、そして2025年8月のノルウェー・アークティックレース第4ステージ以来の勝利だった。
ノルウェー勢にとってジロ・デ・イタリアでは14回目のステージ優勝。2009年のエドヴァルド・ボアソンハーゲン以来となる17年ぶりの勝利だ。ウノエックス・モビリティにとってジロ・デ・イタリア初参戦での初勝利となった。
「僕は逃げ集団に入るのが得意なんだ。逃げ集団でイタリアの選手たちにすごく助けてもらった。彼らは今日本当に強かった。でもこれはチャンスだと分かっていた。残り5kmくらいのところで勝てるかもしれないと思ったけど、希望を実現させるためにどうすればいいか最後まで考え続けなければならなかった」とドゥヴァーシュネス。
「イタリアでは逃げ切りが得意になりつつある。チームマネージャーのトール・フースホフトはゴールラインで大喜びしてくれた。ジロ・デ・イタリア初出場のチームにとって大きな成果となった。チームメンバーは全員ノルウェー人とデンマーク人で、母国語で話しているので、雰囲気は最高。残り5km地点で後ろの集団が見えなくなったので、逃げ切れるだろうと確信した。先頭を走っている間、誰も一言も発さず、全員が自分に集中していた」
マニエがマリア・チクラミーノを奪い返す
大都市ミラノの周回コースは危険で、アクシデントの発生が予感されるため、マリア・ローザを着用しているヴィンゲゴーがチーフコミッセール車両に近づいてその危険性を指摘。ステージ最終周回における選手の安全に関わる問題を防止するため、主催者とチーフコミッセールは最終周回(139.7km地点)に入った時点のタイム差を総合成績に適用することを決定した。
マリア・ローザを着用して走るヴィンゲゴー
「私たちの安全のためにタイムを中立化すべきだと思ったので、意見に耳を傾け、タイムを中立化してくれた主催者と審判員の方々に感謝したい」とヴィンゲゴー。
メイン集団は先頭の4選手が見える位置まで近づいていたが、記録上は57秒差に。マニエがメイン集団のトップとなる区間5着を取り、ナルバエスは不得意なスプリント勝負に加わらなかった。マリア・チクラミーノを1日で奪還したマニエは、ペーター・サガンと並んで14枚目の2位タイとなる。
バルディアーニ・CSF・7サベールのエンリーコ・ザノンチェッロ(イタリア)はゴールスプリントのときにヘルメットを着用した頭で他の選手を打って落車を引き起こしたことで、危険行為により失格となった。
一方、最終周回がニュートラルとなったことで総合成績の上位は動かず、ヴィンゲゴーは2度目のマリア・ローザを手にして、3回目の休息日を迎えることになった。
「もちろんマリア・ローザを着ることができたのは夢が叶ったようなもの。昨夜はあまりよく眠れなかった。優勝して興奮していたからではなく、とても暑かったからね。ホテルには少し遅く着いたが、美味しい夕食のおかげで疲れが取れた」とヴィンゲゴー。
「こうしてマリア・ローザを着てミラノに入城するのは、サイクリング界で特別なジャージに敬意を表する素晴らしい方法だ。今日は自転車に乗っていてとても調子がよかった。とても暑かったけど、なんとか乗り切ることができた」
5月25日は最後の休息日。翌26日からいよいよ最後の6区間となる。第16ステージはスイスアルプスでの戦い。コース中盤に4つの山岳ポイントがあり、ゴールはスキーリゾートのカリまで上る。距離は113kmで、こういった短い山岳ステージでは総合優勝争いが急展開する可能性がある。絶景の中で戦うジロ・デ・イタリアが目撃できるはずだ。
文:山口和幸
山口 和幸
ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。
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