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パヴェや激坂フィニッシュをこなし、ツールは決戦の地アルプスへ|辻啓のStravaデータから読み解くツール・ド・フランス
ツール・ド・フランス by 辻 啓ハイペースを刻むメイン集団の中から、ラスト1kmを切って先頭に立ったポガチャル。最大のライバルであるヴィンゲゴーのアタックに食らいついてペースを上げると、序盤から逃げていたレナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)をあっけなくラスト100mでパスしてしまいます。そのまま踏み続けたポガチャルがヴィンゲゴーを差し切ってステージ2連勝。ポガチャルのSTRAVAログを見ると、登坂距離7km/平均勾配8.7%の登坂タイムは19分37秒のセグメントトップで、その平均スピードは21.2km/h。
1級山岳ラ・シュペール・プランシュ・デ・ベルフィーユでのポガチャルのVAM(平均登坂速度=1時間あたりの上昇量)は1,830に達しています。この登坂スピードを(空気の薄さや勾配を無視して)単純に乗鞍ヒルクライムに当てはめると、乗鞍高原から頂上まで41分18秒で登ってしまうという驚異的な数字。ちなみにスプリンターたちを含むグルペットのVAMは1,100から1,300程度で、乗鞍ヒルクライムを58分〜1時間8分で登ってしまう計算です。
第8ステージ ドル 〜 ローザンヌ(スイス)
ファンアールトがトップスピードで駆け抜け勝利
スイスに向かう第8ステージは再び逃げ向きと見られながらも蓋を開けてみれば集団スプリントに。とはいえ最後は3級山岳(登坂距離4.8km/平均勾配4.6%)を駆け上がる登りフィニッシュ。最大勾配が12%に達する3級山岳でピュアスプリンターたちが脱落する中、精鋭集団に残ったマイヨ・ヴェールのファンアールトが安定感抜群の加速で今大会ステージ2勝を飾っています。ファンアールトのSTRAVAログを見ると、残り200mから本格的に踏み始め、勾配2.2%の緩斜面をトップスピード57km/hで駆け抜けての勝利でした。
ステージ3位に入ったのはマイヨ・ジョーヌのポガチャルで、着実にボーナスタイムを稼いで総合リード拡大に成功しています。なお、ポガチャルはスイス入国後の下り区間でトップスピード89.3km/hをマークしており、これは一般車両であればスピード違反で罰金を支払うレベル(もちろんレース中は適用されない)。この日は集団内で走行していただけにもかかわらず、ポガチャルは合計5つのKOMを獲得しています。
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