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【Cycle*2022 ジロ・デ・シチリア:レビュー】驚異の「アッズーリ旋風」 4日間に人生を賭けた男たちがシチリアの英雄カルーゾに勝利をもたらす
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介表彰台中央のダミアーノ・カルーゾ
これからの競技人生、生活、そして人生がかかっていた。所属チームの垣根を越えて集められた7人の男たちは、主催者特権で出場が認められる地元ナショナルチームとしてシチリア島へと乗り込んだ。
メンバー中5人が事実上無所属の選手たち。ロシアによるウクライナ侵攻で、同国籍だったガスプロム・ルスヴェロに所属していたイタリア人選手たちは、国際自転車競技連合(UCI)の決定によってチームの資格が停止するとともに、レース出場の機会がなくなっていた。
彼らには、無資格となったチームが新たなスポンサーを獲得することによる状況の変化を待つか、自ら新たな所属チームを探すしかプロシーンで競技を続ける方法はない。なかには「キャリアを終える」という究極の選択まで視野に入れている選手までいる。
だから必死だった。イタリアンカラーの青一色に染められた代表ジャージにすべてを乗せ、第1ステージから己の存在を誇示した。ともすれば早まったアクションに走りかねないメンバーをまとめるため、首脳陣は日頃バーレーン・ヴィクトリアスで走るダミアーノ・カルーゾを召喚。昨年のジロ・デ・イタリアで個人総合2位と躍進したシチリア島出身のスターをキャプテンに据え、意気に感じたカルーゾ自身もこの大会の個人総合優勝を目指しながら、無所属組の走りをサポートした。
そうして気持ちが1つになった「アッズーリ」(イタリア代表チームの愛称)は、すぐにプロトンの主導権を握った。第1ステージでは最終局面で前線を固めると、マッテオ・マルチェッリを発射。行き場をなくしている28歳のスプリンターの勝利は、チームに勇気と希望を与える大きな光となった。
「これがプロキャリア最後の勝利にならないことを祈っている。チーム(旧ガズプロム・ルスヴェロ)の再生につながれば、よりうれしい」(マッテオ・マルチェッリ)
丘陵地帯に入った第2ステージでさらに勢いを増した。終盤の長い上りで二コラ・コンチとアレッサンドロ・フェデーリがペースを上げて集団の人数を減らすと、最後は“御大”カルーゾが総合系ライダーたちによるフィニッシュ勝負を制してリーダージャージを受け取った。
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