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【アムステルゴールドレース/レビュー】 途中棄権者続出のシビアなレース。ガスパロットが、チーム初のワールドツアー優勝
サイクルNEWS by 寺尾 真紀日曜日に行われたアムステル・ゴールドレース第51回大会は、2012年勝者のエンリコ・ガスパロット(ワンティ・グループゴベール)が最後(4回目)のカウベルグの上りでアタックでをかけ、ともに集団を抜け出したミカエル・ヴァルグレン(ティンコフ)とのゴールスプリント対決を制して優勝した。
先週末に行われたアルデンヌ・クラシック前哨戦のブラバントス・パイルで2位と好調なところを見せていたガスパロットが、チーム初のワールドツアー優勝を挙げた。また、レース中の事故がもとで3月27日に亡くなったチームメート、アントアーヌ・デモアティエに勝利を捧げる、というチーム一同の悲願を、ここで果たした。
レースの展開
4月17日、日曜日。10時15分。春の陽射しの中、アルデンヌクラシック3連戦の1つめであるアムステル・ゴールドレースがスタートした。多くの人が集まったマーストリヒト中心部を、総勢200人の選手たちが通り抜けていく。
コース全長248.7km。息をつく間もなく、34の上りが次々に登場するこのレースは、狭い道、カーブや曲がり角だけでなく、路上設置物(分離帯や標識など)の多さでも知られており、ただタフというだけでなく、選手にとってはかなりナーバスなレースとして知られている。
出走間もなく、ニュートラルゾーンでの激しい落車でファビオ・フェリーニ(トレック・セガフレード)がリタイア。顔面を負傷し、病院に搬送された。ティシュ・ビノート(ロット・ソウダル)も体調不良のため、早々にリタイアを決めた。
レース序盤は、かなり速いペースでレースが展開。ワンデーレースの常ではあるが、その日の逃げグループが確定するまで、チーム間の綱引きが続く。スタートの1時間後、この日4つめの上り(ベルグスウェグ)に入る手前の35km地点で、マッテオ・ボノ(ランプレ・メリダ),ローレン・デヴリーゼ(アスタナ)、マッテオ・モンタグーティ(Ag2r・ラモンディアル)、ローレンス・ワーバス(IAMサイクリング)、アレックス・ハウズ (キャノンデール・プロサイクリング)、ローラン・ディディエ(トレック・セガフレード)、ケヴィン・レザ(FDJ)、トム・ドゥヴリント(ワンティ・グループゴベール)、ジャコモ・ベルラート(ニッポ・ヴィーニファンティーニ )ヨゼフ・チェルニー(CCCスプランディ・ポルコウィチェ)、ファビアン・グルリエ(ディレクトエネルジー)の11人からなる今日の逃げグループが決まった。
この日後半の舞台となる周回ルートに足を踏み入れ、アムステル・ゴールドレースの代名詞でもあるカウベルグ(合計4回登場する)の1回目をこなし、フィニッシュラインを通過したところで、メイン集団と5分差。
しかし、レース距離200kmを残してのこの5分差は、さらに50km進んだところで4分半程度、レース残り100kmとなる150km地点で3分台半ばと、チームスカイ、オリカ・グリーンエッジが中心となったペースメイキングで大幅に削られていく。
チームスカイが、今年はフランドル・クラシックにも出場し、E3ハレルベケで優勝を飾ったミカル・クヴィアトコウスキーで前年に続く2連勝を狙う一方で、オリカ・グリーンエッジには、マイケル・マシューズとサイモン・ゲランスという2枚のカードがある。この2チームが、逃げグループとのタイム差をかなりタイトにコントロールしながら、レースは進んでいく。
レースが、2回目のカウベルグを越え、3つめの周回コース(※)に入ったあたりで、だんだんと空模様が怪しくなってきた。大きな雨雲がファルケンブルグの上空に近づいてきたのだ。
※ 同じコースをぐるぐる回る【周回コース】ではないが、このレースは、カウベルグを越えて、フィニッシュラインをまず一回通過したあと、部分的には重複するルートを辿りながら、ファルケンブルクを中心に近郊を3ループする。(コースマップ上の緑ループ・赤ループ・黒ループ)
この時点ではまだときどき薄日がさし、選手たちの影がうっすらと道路に映し出されていたが、行く先には雨の白いカーテンが見える。レースは残すところ85kmだが、空は持ちそうにない。風が強まり始め、12〜13℃あった気温は、急激に下がり始めた。
選手たちはひしめき合い、肩を並べながら、ベメレルベルグの坂道を上っていく。頂上を越え、下り始めたところで、とうとう雨粒が落ちはじめた。
レースは残すところ65km。ダニー・ファンポッペル(スカイ)とルーク・ダーブリッジ(オリカ・グリーンエッジ)の牽引で、メイン集団は次第にスピードアップする。先行する逃げグループとのタイム差が3分に縮まったところで、集団からトッシュ・ヴァンデルサンド(ロット・ソウダル)が飛び出し、ニッコーロ・ボニファズィオ(トレック・セガフレード)、ジャンニ・メールスマン (エティックス・クイックステップ)、ビョルン・トゥーラウ(ワンティ・グループゴベール)が追随する。4人は先を急ぎ、10kmほど進んだところで、先頭を行く逃げグループから2分、後ろのメイン集団から1分のところにつけた。
ゴール前41.3kmに登場する27番目の上り、クルイスベルグを前に、メイン集団は再びスピードを増す。クルイスベルグの上りに入る直前に、それまで走行していた広いメイン道路から街中に入り、左・右・左とタイトなターンをこなさなくてはならない。少しでも有利なポジションを守りきろうと、広い道路の端から端まで各チームが展開し、我先にと左ターンへ飛び込んでいく。
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