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野球 コラム 2026年9月8日

『調査書はドラゴンズからの1通だけ』 球団密着カメラが迫った“スカウト”の裏側

野球好きコラム by 岡田昌尚
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中日ドラゴンズ 岡野スカウト

皆さんこんにちは!フリーディレクターの岡田昌尚です。プロ野球はシーズン終盤、ペナントレースは残り1カ月。前回のコラムでは、日に日に野球の知識が増えている3歳半の息子の話をさせていただきました。

中日ドラゴンズ | 放送・オンデマンド配信 | J SPORTS【公式】     

朝起きると毎日「今日誰投げる?」とドラゴンズの先発投手を聞かれ、リプレイ検証の審判までモノマネしています。試合の無い月曜日は、あからさまにつまらなそう。もうすぐシーズンオフ、パパは迫りくる彼の“野球ロス”を恐れています…。

IDENTITY of Dragons

【EP4 #スカウト 】『IDENTITY of Dragons』 #IOD_EP4 #ドキュメンタリー #岡野祐一郎

IDENTITY of Dragons EP4 スカウト編

私が制作を担当したドキュメンタリー動画がドラゴンズ公式YouTubeで公開されました。今年4月より新シリーズとして配信している『IDENTITY of Dragons』。エピソード4の今回は、スカウトに密着しました。

プロ野球のスカウトは2種類あります。トレードや現役ドラフトに向けて、他球団の戦力調査を行う「プロスカウト」。昨季現役を引退した岡田俊哉さんはこの役職に就いています。もう一方が「アマチュアスカウト」。全国の高校、大学、社会人、独立リーグの試合や練習を視察し、10月末に行われるドラフト会議に向けて有望な選手をリストアップします。

ドラゴンズでは球団本部スカウト部という部署が「アマチュアスカウト」であり、部長・チーフ含め14名で編成されています。その中で今回は、2023年現役引退後に現職に就いた岡野祐一郎さんに焦点を当てました。

「超黄金世代」の野球エリートが持つ大きな武器

2019年ドラフト3位。その年の1位は石川昂弥選手、2位は橋本侑樹投手、4位は北海道日本ハムファイターズの背番号「3」郡司裕也選手、5位は岡林勇希選手。現在、一線で活躍する同期たちの中で、岡野さんは最年長、社会人を経て25歳で入団しました。同学年は、ドラゴンズでは柳裕也投手、球界に広げると大谷翔平選手や鈴木誠也選手、近本光司選手といった「超黄金世代」です。

IDENTITY of Dragonsスカウト編より

岡野さんは高校時代、強豪・聖光学院のエースとして甲子園に春夏連続出場。そしてU-18日本代表に選出され、大谷選手らと共に世界一を目指しました。その後青山学院大学から社会人野球の名門・東芝に進み、1年目から主戦投手として活躍。そして3年目にドラゴンズから指名を受けます。この「野球エリート」の歩みこそが、彼の強みです。

「自分は活躍できなかったかもしれないんですけど、活躍した選手と一緒に野球はできたので」

プロ通算32試合に登板、アマチュア時代も輝かしい成績を残したにも関わらず「自分は活躍できなかった」と前置きするのに私は少し引っ掛かりを覚えますが…各カテゴリーでトップ選手たちとプレーをし、間近でその人となりまで見てきた目はスカウトとして大きな武器。「そういった経験を基準にこれからさらに学んで、より良いスカウティング活動ができたらいい」と、岡野さんは決意を語ります。

他球団が“引いた”選手を最後まで追い続けた理由

スカウト就任2年目の去年、自身初となる担当選手がドラゴンズに入団しました。1位、2位を含め、支配下6名中4名が岡野さんの担当でした。ドラフト後の手続きや入団会見へ向けた家族への案内なども担当スカウトの仕事。「結構バタバタしてしまったので、今後に活かしたいですね」

中西聖輝投手と岡野スカウト

動画では、東洋大からドラフト6位指名の花田旭選手とのエピソードを取り上げました。各球団が獲得の意思を示す「調査書」。実は花田選手のもとに届いたのは、ドラゴンズからの1通のみでした。「結構悩みがプレーに出ているのを確認できましたし、そういう姿を見て他球団のスカウトさんは引いていったのかなと想像はしています」と、岡野さんはちょうど一年前を振り返ります。

IDENTITY of Dragonsスカウト編より

そういった他球団の動向の中でも「長打力を含め高いポテンシャルがある」と評価しました。その姿が重なったのは、かつてのチームメイトや対戦相手の「遅咲きの長距離砲」たち。青学大時代の先輩で30歳にしてブレイクしたオリックス・バファローズの杉本裕太郎選手や、岡野さんと同学年で右投右打のある外野手が社会人に進み、20代後半で打棒を開花させた例も「頭にあった」と言います。

「何かのきっかけ一つで、活躍する選手になる」と、花田選手を追い続けました。そして志望届提出後の面談を経て、花田選手を最後まで指名リストに残したのです。

IDENTITY of Dragonsスカウト編より

「自分が獲ったわけではないですからね」と、岡野さんは謙遜します。もちろんドラフト当日、指名状況は刻一刻と変化し、最終判断を下すのは卓上にいる上層部です。それでも、他球団と同じように岡野さんがリストから名前を消していたら、『ドラゴンズの花田旭』は誕生していません。

IDENTITY of Dragonsスカウト編より

今季、花田選手は一軍でHR3本、二軍でも9本を放ち、下位指名ながらドラゴンズの未来を担う存在として、ファンの皆さんからの期待が日増しに高まっています。「兆しはあると思うので、何か壁にぶち当たった時にはサポートしたい」 その言葉通りナゴヤ球場では、担当選手に何気なく話しかける岡野さんがいました。入団後の選手のケアも、スカウトの重要な仕事。ちなみに花田選手への一言目は「お母さんにちゃんと連絡してる?」でした。

「まだ何一つ恩返しができていない」 胸に秘める“IDENTITY”

「戦力外通告を受けたときには、まだ現役をやりたいという意思はもちろんありました」それでも、その通告と同時にアマチュアスカウト就任の打診を受け、選手引退を決断しました。「ドラゴンズは幼い頃から憧れたプロになる夢を叶えてくれた球団。まだ何一つ恩返しができていないので、優勝のために少しでも力になりたい」 岡野さんは今日もアマチュア選手たちを見つめています。

IDENTITY of Dragonsスカウト編より

視察時の必需品や選手を評価するときに大切にしていることなども、動画内では触れています。この特集を見れば、また違ったドラフト会議の楽しみ方ができるはずです。

今年も岡野さんが“IDENTITY”を貫き、ドラゴンズを勝利へ導く戦力を送り込みます。

密着中に訪れた球場

 

中日ドラゴンズ公式YouTubeチャンネル

【IDENTITY of Dragons 番外編】

文 岡田昌尚(フリーディレクター)

岡田昌尚

1986年2月1日生まれ。愛知県名古屋市出身。キー局制作会社で10年間勤務し、2021年4月中日ドラゴンズに入社。25年4月よりフリーで映像制作などを行う。

テレビ制作では、旅・バラエティ番組のADを経て、スポーツ番組を担当。2016年頃から長編ドキュメントVTRを制作するようになり、密着取材の経験を積んだ。中日ドラゴンズでは、未開拓であった動画コンテンツの制作・発信に従事。22年には球団初となるドキュメンタリームービーを制作した。最近ハマっているYouTubeチャンネルは『うじとうえだ』。

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