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大会記録に並ぶ8者連続三振を記録した渡辺和大
全日本大学野球選手権の準決勝で、前回王者・東北福祉大学との一戦に臨んだ慶應義塾大学。
中2日で先発したエース・渡辺和大(商4・高松商業)が初回からエンジン全開の投球を見せると、4回に林純司(環3・報徳学園)の左前打を皮切りに無死満塁のチャンスを作り、相手の暴投から先制に成功する。
6回にも吉野太陽(法4・慶應)の適時打で追加点を奪うと、渡辺和は7回途中1安打1失点、15奪三振という圧巻の投球でエースの矜持を示した。渡辺和の降板後、東北福祉大の機動力を駆使した攻撃で1点を返されるも、3番手・水野敬太(経3・札幌南)の火消しでリードを死守。
するとその裏、打線が相手のプロ注目右腕・猪俣俊太(総マネ4・明秀日立)を攻め、一宮知樹(経2・八千代松陰)の適時打、丸田湊斗(法3・慶應)の押し出し四球で、さらに2点を追加する。このリードを守り切り、チーム今津は『二冠目』に王手をかけた。
◆試合結果
東北福祉大学|0 0 0 0 0 0 0 1 1|2
慶應義塾大学|0 0 0 1 0 1 0 3 X|5
第75回 全日本大学野球選手権記念大会
初戦に続いて準々決勝でも打線が爆発し、切れ目のない猛攻を見せ2試合連続のコールド勝ちで準決勝へと駒を進めた慶大。
日本一の称号を手にするまであと2勝に迫る中、前回王者・東北福祉大との一戦に臨んだ。『チーム今津』が目標に掲げる『四冠』を達成するべく、エース・渡辺和大(商4・高松商業)をマウンドに送る。
初回、渡辺和が先頭打者を3球三振に切って取ると、後続も空振り三振、遊ゴロに打ち取り、疲労を感じさせない投球を見せる。渡辺和は最速148キロの直球に、切れ味抜群のカットボール、ツーシームを駆使して的を絞らせず、2回先頭からイニングをまたいで8者連続三振を記録するなど圧巻の投球を披露。
しかし、打線も緩急を自在に操る東北福祉大の先発・船曳壮汰(総福1・高川学園)を攻めあぐね、手に汗握る投手戦が展開される。
エースの好投に応えたい打線は4回、先頭の林純司(環3・報徳学園)がチーム初安打となる左安打で出塁すると、続く小原大和(環4・花巻東)が2ストライクと追い込まれながらもしぶとく三遊間を抜いてチャンスを拡大。
さらに4番の主将・今津も安打で続き、無死満塁の絶好機を迎える。すると、2死から7番・横地広太(政4・慶應)の打席で、相手の暴投の間に小原が生還し、待望の先制点を奪う。
援護をもらった渡辺和が5回も2三振を含む三者凡退に打ち取ると、その裏、先頭の吉開鉄朗(商4・慶應)が四球を選ぶ。続く、上田太陽(商4・國學院久我山)が犠打で走者を二塁に送るが、後続が続かず無得点。
ロースコアのまま試合は後半戦に突入する。6回表、渡辺和が1死から死球を与え、この日初めての走者を背負うも、ここでギアを上げて2者連続の空振り三振。相手を寄せ付けない支配的な投球を見せる。
追加点が欲しい慶大は6回、1死から今津が四球で出塁すると、牽制に釣りだされながらも全力疾走で二塁を陥れ、得点圏に走者を置く。
ここで打席には準々決勝で5打点を挙げている吉野。カウント1-0から外角へのカーブを強振すると、これが適時右前打となった。ラストイヤーに懸ける4年生の活躍でリードを2点に広げる。
7回表、1死から四球で走者を出した渡辺和だったが、もう1段階ギアを上げて後続を打ち取る。その裏、東北福祉大はプロ注目の右腕・猪俣俊太(総マネ4・明秀日立)が登板。2死から丸田湊斗(法3・慶應)が四球で出塁し、二盗で走者を得点圏に進めたが、後続が倒れ追加点とはならない。
8回表、ここまで無安打投球を続けてきた渡辺和が、先頭の代打・藤原天斗(総マネ3・八戸学院光星)に安打を許すと、1死から四球で走者を貯めたところで投手交代を決断。
今季は主に第2戦の先発として活躍してきた広池浩成(経4・慶應)をマウンドへ送る。しかしここで東北福祉大に重盗を仕掛けられると、捕球ミスの間に二塁走者の生還を許し1点差に詰め寄られる。
ピンチをしのぎ試合を締めた水野敬太
さらに内野安打で1死満塁の窮地を迎えると、広池に代えて右のリリーフエース・水野敬太(経3・札幌南)を投入し、火消しを託す。
今季のリーグ戦で防御率6.23と苦しんでいた水野だったが、150キロに迫る直球でバットをへし折りゴロを打たせると、二塁手・今津と遊撃手・林の好フィールディングで併殺となり、水野はマウンド上で大きな雄たけびを上げた。この日最大のピンチを全員の力で乗り越え、リードを死守する
ピンチの後にはチャンスあり。勢いに乗った慶大はその裏、先頭の小原が綺麗なセンター返しで出塁すると、小原に代走・藤田一波(環1・智辯和歌山)が送られる。続く今津が外角の変化球を逆らわずにはじき返し左安打を放つと、藤田が快速を飛ばして三塁に到達。
ここで若き大砲・一宮知樹(経2・八千代松陰)に打席が回る。この日はここまで無安打に抑えられていたが、カウント1-2と追い込まれた4球目、高めに抜けたスライダーをシャープに振り抜くと、打球が一二塁間を破り、大きな追加点を挙げた。
さらに、2死から吉開が放った打球が三塁手と投手の間の絶妙なスペースへ転がり失策で出塁すると、9番・上田も左安打で続き、二死満塁として猪俣を降板に追い込む。打順は先頭に帰り、丸田が四球を選んで1点を加え、スコアを5-1として最後のイニングに向かう。
前の回に完璧な火消しを見せた水野が引き続きマウンドへ上がったが、先頭から連打を浴びて無死一、二塁のピンチを招く。左飛で1死となった後、チーム初安打を放った藤原にフェンス直撃の適時打を浴び、1点を返される。
しかし、この打球を処理した左翼手・一宮が強肩を発動。一塁走者を三塁で刺すファインプレーを見せて2つ目のアウトを取ると、最後は水野が伝家の宝刀・フォークで空振り三振を奪って試合終了。チーム今津の『二冠目』に王手をかけた。
エース・渡辺和が7回途中、15奪三振無失点という圧巻の投球で試合を作り、打線も大量得点とはならなかったものの先制、中押し、ダメ押しと着実に得点を重ね、要所で好守も飛び出すなど、総合力で前回王者を上回った慶大。
第2試合の結果、決勝の対戦相手は関西大学に決まった。グレーのユニフォーム、帽子の「K」のイニシャル、そしてプロ注目の左腕を擁することなど、2校の間には共通点も多い。
両校のエースが準決勝で先発したことを踏まえると、決勝は総力戦となるだろう。目標に掲げる『四冠』の折り返し地点はすぐそこに見えている。慶大らしい泥臭い野球で天王山を制し、神宮に日本一の”ファンファーレ”を響かせろ!
文:髙木謙/写真:鈴木啓護、林佑真(慶應スポーツ新聞会)
◆渡辺和大(商4・高松商業) 試合後インタビュー
―― 今日のピッチングを振り返って
ノーヒットノーランや大会最多記録の19奪三振などを期待されていたかもしれませんが、9回投げられるとは思っていなくて、いつも通りワンアウトでも多く、1イニングでも多くということを考えて投げていました。終盤になってフォアボールが増えたり、明らかに(ストライクを)取りに行ってまっすぐが多くなったことは反省しています。
―― 8回あたりから疲れは感じていたか
感じてはいましたが、そこでもう少し粘ることができないと良くないと思います。(ボールが)抜けてきてもうダメというのではなく、抜けてきたから今度はこういう球で打ち取っていこうというような、引き出しは見つけていかないといけないかなと思います。
―― 変化球のキレも抜群だったが今日の状態は
かなり状態もよく腕も振れていましたし、ストレートもミットにしっかり収まっていたので序盤は良かったと思います。
―― リーグ戦でも三振は多かったが、三振を取り続けているときの心境は
特に意識はしていませんが、一人ひとりに向かっていき、無駄な球や甘い入り方で流れを渡さないように、1球ずつ丁寧に投げていきました。8者連続三振も気づいていませんでした。5回6回あたりでノーヒットだとは思いましたが、やることは変わらず、1本(のヒット)で流れが変わるので、そこは集中していこうとキャッチャーと話し合っていました。
―― 捕手・吉開とはどのような話をしていたのか
変化球で空振りをとれていた分、ストレートに張られているので、不用意にストレートで行くよりも変化球を含めていこうということであったり、一人ひとりに合わせて攻め方や入り方を話し合いました。
―― 降板のタイミングでコーチが来たが、どのような話し合いをしていたのか
もう少し行かせてくれると思っていましたが、話の終わりに広池に代わるということを伝えられました。最初はうまくいっているときこそ、このような展開になってしまうという話で、(後続は)抑えていこうという話だと思いきや、広池に代わると伝えられました。もう少し体力があれば、あとツーアウトだけ取らしてくださいと言えたが、そう言えるような感じでもなかったです。
―― 今年の進化や改善の要因はどう感じているか
どんな球でも甘く入らずストライクを取れるようになったことが一番良くなったと思います。練習でも頑張っていたが、最近は経験が一番大きいと感じています。ずっと先発をやってきて、プレッシャーのかかる場面で投げることであったり、場数や経験が大きいと思っています。
―― 上田コーチの存在は技術やメンタル面で大きいか
シーズンに入る前は球種や投げ方であったり、色々提案してくださったりそれを試したりと、本当に引き出しが多く、それのおかげで今の自分はあると思います。技術が上がった分、抑えられるという自信やメンタルが強くなっていると思います。
―― 中2日での登板だったが気持ちや身体の作り方で意識したことは
まずは疲労を抜くということと、ただ身体はある程度張らさないといけなかったので、ジョグや体幹などを多めにしたり、少しウエイトをして張らせるというような形で調整しました。身体の疲労はそこまでなく、大丈夫でした。
―― 高校時代に逃した日本一への思いは
日本一というのは実力だけではなく、良い仲間やチームといったものが全て合わさらないと取れないと思いますし、今年はそれができていると思うので、秋も獲るつもりではいるが、今季しかないと思って全身全霊で頑張りたいと思います。
慶應スポーツ新聞会
慶應義塾大学文化団体連盟所属の公認サークル。通称ケイスポ。全40ある体育会の取材から記事の執筆、年7回の新聞製作まで全て学生の手で行う塾内唯一のスポーツ新聞サークル。部員数約50名、35年の歴史を持つ。»慶應スポーツWebサイト
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