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春季キャンプ中、ブルペン投球する山本由伸
中0日の伝説。ドジャースの山本由伸投手(27)はワールドシリーズ(WS)第7戦、4-4の9回1死一、二塁のピンチからマウンドに向かった。前夜、第6戦で6イニング、96球を投げ、1失点で勝利投手になっていた。一夜明け、2回2/3を無失点に抑え、連覇の立役者になった。
山本のタフさが目立った最終章。第7戦後、シャンパンファイトが終わってから、出演したMLBネットワークでは「2日続けてこれだけ投げることはどうしたらできるのか?」と聞かれた。
「正解というのは、分からないですけど、もともと僕が19歳くらいの時に日本の1軍の試合で初めて投げて、1試合投げたら10日くらい(右)肘が伸びないくらい(張って)パンパンだった」
若き日から、自分の体と向き合い、進化を求めてきた。オリックス時代から矢田修トレーナーに師事した。体の力を効率よく使うフォームを追い求めてきた。今も探求を続けている。
「そこからトレーニングだったり、フォームをちょっと変えてりして、どんどん負担なく、全身を使ったフォームで投げられるようになった。今日こんな結果になったので、積み重ねてきたのは間違いじゃなかったんだな、と思いました」
春季キャンプでの山本由伸
山本にとって、矢田氏は重要な存在。2年前、山本の獲得を検討した複数の球団幹部に、代理人を務めるワッサーマンのジョエル・ウルフ氏は一つの要求をした。
「大阪にいって、矢田先生に会って、山本がどういうトレーニングをしているのか、球団としてそれを理解して、矢田先生の教えを受け入れられるのか」
つまり、それができるなら、山本は交渉のテーブルにつく、という意味合いだ。それほどまでに投手・山本には、矢田氏が必要不可欠だった。矢田氏は、レギュラーシーズン中、日米を往復しながら山本を指導する。
ドジャースタジアムでは球団施設に出入りし、ドジャースのチームウエアを着て、山本の練習を見守る。つまり“ドジャースのスタッフ”として、山本のコーチングを任されている。
第6戦で96球を投げ、まさか第7戦で登板するとは、山本自身は思わなかった。
「まず、昨日(第6戦)投げ終わって、最終登板だと思っていたので、ずっと練習を教わっている矢田(修)先生に1年間ありがとうございました、と伝えたんですけど、明日ブルペンで投球できるくらいには持っていこうか、といわれて。矢田先生が、最後ブルペンで投げられる姿を見せられるだけでも、勝負っていうのは何か空気が変わったり、そういうのもある、と」
治療や動作確認をして、万が一に備えた。8回に軽く、体を動かし始めた。ドジャースが9回、3-4からロハスが同点ソロ。山本は本格的にウォーミングアップを再開した。
「ブルペンで作り始めた時は、まだ投げられる確信はなかった。体調的にも。この第7戦という試合で絶対に落とせなかったので、その責任もありますし、まだどうだろう?という迷いというか、そういったものがあった」
プロ入り直後、中10日が必要だった右腕は、超異例の中0日でWS連覇の胴上げ投手になった。後世に語り継がれる伝説の2夜。由伸はドジャース黄金期を支えるエースになる。
文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
X(旧:Twitter)
@YamadaMLB
Instagram
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