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野球 コラム 2025年4月20日

菅野智之、考え方のシフトチェンジ

MLBコラム by 山田 結軌
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4月17日、ホームのボルティモアで初勝利を挙げた菅野

メジャー1年目の開幕、オリオールズ菅野智之(35)は順調にスタートを切った。ここまで4登板、大きく試合を崩したことはない。

メジャー初先発のブルージェイズ戦(トロント)では、両手がけいれんするアクシデントがあったが、いわゆる制球に苦しんだり、炎上するように打たれ続けたり、ということはない。安定してゲームメークし、シーズンを通してイニング数を投げる、というチームの要求を果たしてくれる、そんな期待感がある。

「球数的にもう1イニングいくと自分は思っていた」

4月17日、ホーム、ボルティモアのガーディアンズ戦、7回2失点で2勝目を挙げた。87球で交代を告げられていた。昨年まで投げていた日本なら、完投ペース。しかし、メジャーでは春先の時期に、7イニングを90球以内で投げたのは上出来も上出来。今後、中4~5日で30~32先発する責任のある投手としては、適切な交代のタイミングだった。

地元ファンも『この回で終わりだな』と感じたからこそ、7回が終わるとスタンディング・オベーションでダッグアウトに歩く菅野に声援を送った。しかし、本人は気づかず、「本当ですか? 僕はもう1イニングいくつもりだったんで、全然(客席を)みていない」と笑いながら明かした。

35歳でメジャー1年目を過ごしながら、多くの選手たちが順応に苦労してきたMLB公式球の扱いにも大きく苦戦している印象は受けない。登板直前のブルペン投球を含めて、捕手が構えた位置とは反対方向に投げてしまう、いわゆる逆球は試合を通じて、1~2球。

あえてその逆球を挙げるなら、3回のヘッジズに投じた外角を狙ったスプリットが、やや真ん中に寄り、その結果、2号ソロをレフトスタンドに運ばれた球だった。

その他の球は、精密な制球力を発揮。特に低めは両コーナーを突く正確さが印象的だった。それでもこの日のコントロールについての自己採点を求めると、「65点ぐらいじゃないですかね」とのシブイ自己評価。

本人では及第点の設定は「60点」としているそうだが、「もうちょっと上げていきたい」と、改善の余地を自身で感じているようだった。滑りやすいとされる公式球や環境に日々、適応を進めているが、今後はメジャー流の考え方へシフトしていく必要がある。

試合直前、米国国歌を聞く菅野

「前回も球数を投げていないし(4月12日ブルージェイズ戦では73球)、今日も投げてないんでね(87球)。日本だとこの球数で降りたら、中継ぎとか野手からブーイングを食らうと思います(笑)」

冗談めかしたが、それは多くの球数とイニング数を投げてチームを支えてきた投手だからこそ言える言葉。まだ、イニングと球数を投げられる気力と体力に余裕があったことは、大いに頼もしい要素だ。

一方でポストシーズンまで見据えた、長いシーズンを完走しなくてはいけない。日本でエースを張ってきた菅野にしてみれば、やや物足りない球数だったかもしれない。だが、これも受け入れて、離脱なくローテーションを回ることが課せられた責任だ。

菅野が持ち続ける『日本基準』を大切にしながら『米国流』の球数管理、イニング数、シーズン通しての評価への理解と適応が進めば、チームとしてはより一層、心強いことは間違いない。

今の菅野にとって、球数に関してはちょっと物足りない、くらいでちょうどいいのかもしれない。フルパワーで『ガス欠』までアクセルを踏み込むときは、この先に必ず訪れる。

文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。

X(旧:Twitter)
@YamadaMLB

Instagram
yukiyamada_mlb

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